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三日目3


「……いよいよだわ」


 ついに競りにかけられた神の眼。

 聖金貨五十枚。銀貨や銅貨一枚でのやりくりに苦労してきた私にとっては驚愕な金額だ。

 先ほどまで騒がしかった会場が静寂に包まれる。

 そして痺れを切らしたように一人の参加者が番号札をあげると、一斉に大声が会場内を飛び交った。


「五十部五!」

『八十四番、五十部五』

「五十一部!」

『十三番、五十一部』

「五十一部二の一!」

『五十七番、五十一部二の一。他にはございませんか?』


 次々とこの三日間で常連になった大量落札者が名乗りをあげる。しかし……。


「……六十部」

『一番のかた、六十部です』


 一番の老紳士の一言ひとこえに、三人は小動物のように縮こまり後が続かなくなった。

 ……さてと、そろそろ私の出番かな。

 セルディーヌ卿はもちろんだが、一度競りが終わってしまうと誰の手に渡ろうと後々面倒ではある。

 あの二人からの書類をソフィアが受け取るまで私が時間を稼ぐわよ。支払い能力の無い時点で半分くらい罪にはなるんだけど。

 もうヨキに偉そうに言えないわね。

 これはちょっとした私の駄々と賭け。


「六十五部!」

『七十番、六十五部』


 問題はこのまま張り合ってもらわないと私が落札してしまう。


「六十七部五!」


 私の後にあがった札の番号は八十六番。今回のオークションで初めて声をあげた男は、あの魔法で顔を変えたセルディーヌ卿。

 彼の評判は頭がキレて打算的で用心深いらしいけど、もう敵はいないと高をくくり浅はかさと油断が見てとれるわ。


「ーーよしっ」


 ここからしばらくは私達の競り合いが繰り返えされる。

 一番の老紳士は八十部までは私達と競り合ったが、悔しそうに拳を握りしめながら渋々勝負を降りた。

 これは前代未聞、過去に類をみない高額落札が予想される。

 ……あくまでも落札が起こればだけど。

 実際に破産するわけでも、私が破滅好みでもないのだけれど。なんだかテンション上がってきたぞ。

 私いま無敵なんじゃないかしら?


「……九十九部八の一」


 セルディーヌ卿の声に覇気がない、さすがに限界が近付いてきたか。


「百部!」


 私が百部を宣言したその時、再び会場が静まり舞台上に人が集まりだす。

 しばらく舞台上でオークション関係者達の話し合いが続き、程なくして競売人からオークションの終了が告げられた。

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