二日目6
幽霊図書館での盗難事件の真相はこうだ。
犯人の名前は魔術の求道者・セルディーヌ卿。
第一大陸フィーネルフでは有名人で今回の事件の黒幕、つまり諸悪の根源である。
第二大陸カルボルトなどを含めた世界で御三家と呼ばれる者達がいて、ローズマリー家、サモン家、そしてセルディーヌ家。特にセルディーヌ家が一番黒い噂が多いと聞く。
ヨキは彼の側近で、実行犯は補佐をしている別の男。
彼は神々の知識を欲するセルディーヌ卿の依頼で死者の書を使用、蘇生目的ではなく生け贄およそ百人を利用することで悪魔宿しとも呼ばれている呪いの重ねがけを実行した。
それによって自らに死のさらなる死を施し霊体化、図書館に侵入して魔術結界を抜け、閲覧禁止の本【神の眼】を盗み出すことに成功。そこまでしないと結界を破ることが出来ないのだ。
この禁忌呪術は黙認できないわね。法に触れる死者の書を密に所持していたとは、不死身の兵士軍団でも作る気だったのだろうか?
世上に隠し通せない、万が一悪用されれば……いや、もうされているわ。
しかし話は急展開する。
呪いの代償で男はその呪いを解くことが出来ず、そのままではやがて存在が消えて本当の死を迎えてしまう。本人はそのことを知らなかったようで、なんともマヌケな話ね。
そして彼は存在が消えてしまう前にセルディーヌ卿への腹いせにと本を手放すことを決意する。
その時には本に掛けられた結界と図書館でのルールが解除されていたようだ。
捨てる燃やすといった選択ではなく、オークションへの出品を試みた彼の考えはなんともお粗末。
あまりにも強大な存在である神の眼に、そんな方法を選ぶことくらいが関の山だったのだろう。
ちなみに補佐の男はすでにこの世から消えてしまっている。
そしてセルディーヌ卿は出品を阻止するべく手を回したようだが後の祭り。
神に関する知識を得ようとすることも禁忌、代理に頼れず、側近のヨキだけは連れて仕方なく自ら本を競り落とすために顔を変える魔法で身元をバレないようにし、行く末を見に来た愚者としてオークション会場に現れたということだ。
そして今しがた転移魔法で移動して逃げた……と。
う~ん、これ聞いたらたぶん師匠は腹を抱えて笑いそうだな。
一言メモ【……商人さん。なぜか助けたくなってしまう……あの人が気に入るのも頷けるわ】プラトー




