二日目3
キレイな星空の下。しばらく尾行アイテムのサテラを追いかけていた私は、いつの間にか人気のない道を歩いていることに気が付いた。街灯もない。
サテラが建物に入る気配もなし。
こんな時間に外出? ますます怪しい。一人かしら?
なんだか嫌な予感がする。もしかして誘い込まれてる?
◇
たどり着いた場所は街外れのとある古びた教会、階段を下った地下墓地跡。
今はもう利用されず誰もいない。
「ようやく建物に入ったけど……」
地下の広い場所に出た私は周囲を見渡す。
ジメジメした天井や壁、まるで下水道にいるみたいだわ。
途中まで掘られている墓穴、無造作に落ちているロザリオ、壊れた椅子、原形を留めていない石像。死者を冒涜できるほどの散らかりよう。
なかなかに不気味だ。
こんな大きな街だもの。手入れがされず伸びた雑草もほったらかし、ずさんな扱いの場所もそりゃあるわよね。
なんだかダンジョンに挑もうとしてる気分。財宝は無さそうだけど。
一度引き返すか、それとも勇気を出して進むか。
……戦闘になっても私魔法とか使えないからなぁ。
『コツコツ……』
「…………!」
人? ハッキリと姿は見えなかったけど人影は見えた。その先の道は狭くて薄暗い。
私は鞄からランタンと火打ち道具そして油を取り出し、すぐに火を付けて後を尾けた。
追跡対象は例の男に間違いはないけど。なにか見落としてる気が。
「ーーーーっ!」
再び広い場所に出た私は目を疑う。
行き止まり! 消えた? サテラも見当たらないし完全に見失った。
「ドブネズミめ。文字どおり袋のネズミだな」
急な圧迫感、そして背後からの気配と声に私はその場で振り返る。
追いかけていた男とは別の男が姿を現した。
少年? 何者にしろ罠だったか。
初めての尾行にしては及第点だと思っていたけど早計だったわ。相手の方が一枚上手だった。
「……チュ、チュ~」




