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二日目2


「ーーーーダメです!」

「やっぱり?」

「危機感が足りません」


 夜の食道街。今夜はちょっと奮発ふんぱつして高めのお店でコース料理を堪能する。少し外食に慣れちゃったなぁ……。

 前菜はトルンの実のルジェランソース添え、炎香草スープ、白ソーセージのペルペ、メインディッシュのパロ海老ムースと鹿肉包み、デザートにはココナッツミルクのクレープケーキなど。

 豪華な食材、素材の質、味付け、見栄みばえ、芸術性の高い素晴らしい職人技。

 明日は軽めの食事で済ませる予定で、今夜はご馳走にしたのだけれど。ソフィアのお説教も添えられてしまった。

 夕方のオークションで目をつけた怪しい男。

 会場を出る前に彼の魔力の痕跡こんせき、視認できる“におい”のようなモノを【サテラ】という紙のアイテムに覚えさせることに成功した。

 あとはその紙を水で浸すと、宙を舞って例の男を追える手筈なのだが、私一人での尾行を試みたい申し出をソフィアに断られる。


「確かに一人でなら尾行にバレる可能性は低くなりますが、私はお嬢様の護衛を兼ねて同行したのです。もしお嬢様の身に何かあれば」

「わかってる。危険は承知の上、でもどうしても一人でやってみたいの。私が受けた依頼だもの。もうソフィアには十分ここに来て助けてもらってるし、私も責務をまっとうしたい。今はタリスマンのお嬢様じゃなくてソフィアと立場が同じ庶民よ。それに親友として二人で協力し頼り合う存在でいたいの」

「…………」


 ソフィアは少し黙り込むと、強張っていた表情が少しやわらいだ。


「わかりました。承認も納得も少々致しかねますが、お嬢様の決意も固いようですので」

「ありがとうソフィア。深夜にでも手配の報告があるかもしれないし、そっちの対処をお願い」

「はい。ですが万が一の場合は駆けつけます」

「うん。知らせる手段があれば必ず……」



 街の人々が寝静まり、準備を整えた私は街灯の明かりを頼りに尾行を開始した。

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