一日目4
ジャビスウォーレンに来て二度目の夜。
昨日と違い、ゆっくりと飲食店を探すことが出来たので、舌の肥えたお客が多く訪れるという食道街にたどり着いた。
その中で老舗の創作料理店を見つけ、私達はさっそく店内へ。
一通り注文を済ませてから私はソフィアに夕方に読んだ新聞の内容を話す。
「随分と落ち込んでいらっしゃいますねお嬢様」
「そりゃそうよ。有名な行商人オズモンド兄弟が詐欺罪で逮捕されたのよ。憧れてたもん、会ったことないけど……」
次々とテーブルに料理が運ばれ、いい匂いが鼻を刺激する。
落ち込むの終わり。食べよう食べよう。あ、この食器のデザイン素敵。
「うん。この料理美味しいわ、シナモンとナツメグが入ってる」
「こちらの料理はセージが程よく効いています。美味しいですよ」
私達は昨日のように食事を楽しみながら、話をオークションでのことに切り替えた。
互いに思うところと今後のことなどを決める。
「確認できたわけね。ありがとう」
「はい。不透明なことも若干ありますが、まず間違いないかと」
ソフィアのおかげで【神の眼】の出品は三日目、おそらく午後の部の後半に競売にかけられるということが“確認”できた。
関係者や常連の客から聞き込んで手に入れてくれた情報。あとはこちらの“手配”のみ。
「引き続きお願いねソフィア。助かるわ」
「そのために来たのですから、それに手配の件は全てお嬢様の口利きですので」
「動くのは“あの二人”だけどね。あと明日辺りにそっちの動きもあると思うの」
「犯人の……ですね」
「ん、勘だけど」
取り返すのは着々と準備が出来ている、師匠の要望とは別でこっちはオマケなんだけど。本の所在も勘頼りだったし、盗んだ犯人がオークションに現れるなんて思うのも本当に私の勘で確証はない。
「食事の続きしようか」
「はい」
なぜ犯人は盗んだ本を手放しオークションに出品したのかは分からない。でも明日、その真相と盗んだ方法を知れる予感を今は信じよう。
今まで私の勘は結構当たってるもの。
そして私達は食事を済まして宿に戻り眠りについた。明日は長い一日になりそうだわ。
一言メモ【お嬢様、オークションを楽しんでいるようでなによりです。なにやら無茶をする予感がいたしますが】ソフィア




