一日目1
「よし! 行くわよソフィア!」
「はい!」
午前八時。まるで魔物の巣窟に挑むがごとく、私とソフィアはオークション会場前で意気込みを見せる。
気合いも充分。
そもそもオークションについてはある程度調べていた私だが、参加することなど色々と初めての経験だ。
半人前で半端者が首を突っ込ませてもらうというわけで、しっかり勉強させてもらおう。
◇
【ジャビスウォーレン・オークション会場】
午前九時。フロントなどには八時から入ることができるのだが、オークション開始は九時から。
続々と参加者が来場し席が埋まっていく。
一日のオークションは午前の部、休憩を挟んで午後の部に別れている。
華やかなドレスを着た人とかも沢山いるなぁ。私もたおやかな女性にみえるかしら?
「……なんか緊張してきた」
「お嬢様。僭越ながら私もついておりますので」
「うん、ありがとう」
私達は“怪しい者が現れる”可能性も考慮しているので警戒は怠らず、でも欲しいのがあったら落札しちゃおうかなぁ。
なるべく安く手に入れたい……。
「今回は三日間にかなりの量の出品がありそうですね。先ほどフロントにて目新しい品が多いと運営関係者から聞きました」
「オークションは年に二回で、数百点の時もあれば数千点の時もあって、一日で全て終わる場合もあるそうよ」
いざ競売が始まったら目まぐるしくなるかもしれないわね。
『ご来場の皆様。お待たせしました。それではこれよりオークションを開始いたします!』
びっくりした。声が会場全体にというより、参加している人に直接響いてる感覚。
そういう魔法もあるのか。
舞台上では競売人が淡々とした口調で進行し、オークションが始まった。
『最初の品は愛好家も多いローデウス作。保存状態も良好の【雷皇帝壺】です』
う~、さ、さっそく欲しい……。