船上と占い師2
この世界は三つの大陸に分かれている。
一番大きく、街も多い第一大陸【フィーネルフ】。独自の発展を築き、謎も多い第二大陸【カルボルト】。そして、その二つの大陸に挟まれる小さな島、大陸と呼ぶにはあまりに小さい特別な第三大陸【ドロシーオルデロットの悲しい島】。
ドロシーは昔に存在した大海賊の女船長の名前で、仲間に裏切られ、その島で孤独な生涯を終えたそうだ。
当時は馴染まなかった大陸の名前だが、そのうち自然と皆が口を揃えて呼ぶようになった。
まるで彼女の呪いのように……。
◇
「少しは落ち着いた?」
「は、はい。チョコ……ありがとうございます」
目が隠れるほど長く、ボサボサした蜂蜜色の髪。
少し? かなり? 地味というか根暗体質な雰囲気のある少女と出会った。……さすがに失礼か。
私と同じ歳くらいかな? とても声が可愛いわ。
「私はアミュレット。商人よ」
「シェーラです。う、占い師をしてます」
私達は船の甲板にあるタルに腰掛けて話を弾ませる。
「大荷物ね、あちこち街をまわってる感じなの?」
「は、はい。最近までフローディアにいました。ランセルにも少し……」
「私の店、フローディアにあるのよ。今度は第二大陸で占いを?」
「それもあるんですけど、一度実家に戻る予定で」
「へ~」
そういえばランセルで私、鉱山は少し見学しただけだし、地下の工場地区にも近づかなかったなぁ。
イザベラさんの所以外ほとんど素通りしたようなものだわ。帰りは街の醍醐味である地下とかに寄らせてもらおう。
……それにしても実家か。
ホームシックにはなってないけど、そろそろ料理は作りたいかな。あと温泉を巡りたい。
故郷の【パメラ】にあったタリスマン邸。あの家売れたのかしら? 取り壊したのかしら?
思いの外、名残惜しくないのは改めて私はあの家を出たかったのだと実感するわ。
「あの、アミュレットさん。お……お礼になのですが、占わせてもらえませんか?」
「私を? いいの?」