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船上と占い師1


「ふあぁぁ、よく寝た」


 海沿いの村にある宿に泊まり、気持ちのいい朝を迎えた。

 この村にある漁港から船に乗るわけだが。漁港には漁師が集い、近くの市場からはパンの香りが私の食欲をそそり、道ばたでは吟遊詩人が軽快で明るい歌をうたっている。

 鈴米、綿花、水種に流行りのアロマ。グレイブミスト同様に魅力的な店と品の数々に興奮してしまう。

 そういえばこの村にガルダインさんがいるんだっけ?


「……お! あったあった」


 私が乗るジャビスウォーレン行きの“商船”。

 ……そう、立派な豪華客船で移動というわけにはいかず、宝石商や貿易交渉を目的としたドレンシアの兵士達と共にこの商船で第二大陸カルボルトを目指す。

 乗船には金貨二枚と聖銀貨一枚が必要なのだが、これでも私にとっては十分な出費で、豪華客船で優雅な旅をしようものなら倍以上はお金がかかってしまう。

 そろそろ船への物資の運搬が終了すると思われ、監視の人の目がさらに光りだす。

 どこにでも宝石ハンターを生業なりわいにしている者。盗賊団や、よこしまな密猟者が出没するのだ。

 測量図や製図を狙う者、発行時期や地域貨幣価値の問題で色々と違法な手段で物を運び出そうとする者もいて、場合によっては一般物すら流通禁止になってしまう。

 監視の人達、お疲れ様です。



 男爵を久しぶりに見た、貴族を名乗ってた時以来だわ。ずいぶんと整ったヒゲだこと。どうしてこの船に乗ってるのかしら? オークション目当て?

 無事に船は出港し、明日にはジャビスウォーレンに着く予定となっている。

 本でも読んで時間を潰そう。


「……ん?」


 大変だわ。女性が一人、座り込んで何だか苦しそう。


「あの……大丈夫?」

「すみ、……すみません。大丈夫じゃないかも……です、うっぷ」


 船酔いだーー!

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