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精霊の森3


 あれからどれほど進んだだろうか?

 森の雰囲気にもだいぶ慣れてきたが、いまだにモンスターと遭遇しないことが不気味である。もはや何者かに歓迎されているとしか思えない。

 鈴が効果を発揮している感じでもないのよね。


「不思議であろう、お主が何故森のモンスター共と遭遇しないのか」

「まさにソレを考えていたところなのだけど。あなたは何か知っているの?」

「いや、わらわも知らん」

「……?」



 そして彼女の案内で、とある池にたどり着いた。

 そこにいたのは釣りをしている男、人間ではない。狼男だ。

 そばには山菜の入ったカゴが置いてある。

 座っていた彼はこちらに気付き、釣りを中断した。


「連れてきたのじゃナギルよ」

「おう、ご苦労さんリコット。そしてはじめましてだなアミュレット・タリスマン」

「どうして私の名前を? あなたは一体?」

「俺は人狼、獣人族のナギル。のちの獣王になる男だ。あんたのことは“森”から聞いたんだよ」


 彼が起こしていた焚き火の勢いが増す。

 ガッシリとした筋肉質の人狼ナギル。獣王とは文字通り獣人族のなかの頂点を意味する称号みたいね。


「森が……?」

「そうだ。森の精霊たちの声を聞いて、あんたは森に害を及ばさない信頼に値する人物だと判断した。俺の杞憂きゆうだったな。森のモンスターも無闇にあんたを襲わない」


 森の精霊が私を。幽霊図書館みたいに森から信頼を得られたのは今後のためにもありがたいわ。


「ちなみにこの森を通った理由は港へ行くためだな?」

「はい。ジャビスウォーレン行きの船に乗りたいんです」

「ふむ、急ぎじゃなければ森にある岩風呂温泉に招待したんだがな」

「えっと、じゃあ温泉はまたの機会にお願いします」

「おう。リコット、客人を出口まで案内しな」

「…………チッ」


 “リコットさん”あからさまに嫌そうなんですけど。

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