表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/64

準備3


「ハハハッ、あんた運が悪いわ。この雨じゃ風呂屋に行ってもすぐにびしょ濡れになっちゃうね。とりあえずタオルだよ」

「……あ、ありがとうございます」


 イザベラさんは私をお店の中に招き入れると、フワフワの真っ白なタオルを渡してくれた。

 私は濡れた髪をタオルで拭きながら、自己紹介と事情を説明する。


「森を抜ける準備ならあたいのとこで済ませばいいし、泊まってもいきな。宿代込みで安くしとくよ」

「本当ですか、それは助かる」


 店の片隅に置いてある蓄音機から流れる音楽、とても落ち着いて居心地がいい店内。はたから見たらごちゃついた感じだけど私は好き。

 得意先などへの出張が多いらしく、店は工房であり物置でもあるようだ。今日はたまたま店に居たようで、そういう意味では私の運は良い方なんだけどなぁ。

 武具を専門にしているのかと思っていたけれど、周囲を見渡すとアイテム調合に使われる容器やビンなどが目に入った。

 他にも希少で透明度のある聖水やバジリスクの血、一見すると武具の修理には不要そうな物が多数見受けられるので製造で使うのかな?

 武器や防具は……。

 壁に立て掛けられた銀製の剣。無駄に散りばめない程度に宝石が埋め込まれ、手間のかかる手法で作られた珠玉の一品だと一目でわかる。


「お目が高いわね、まぁそのへんは自信作だよ。……それにしてもオークションか。そうだ、昔あたいがオークションで競り落としたワイン、せっかくだから開けちゃおう。通な飲み方教えてやるよアミュレット」

「み、未成年です!」

「お堅いねぇ」


 それから。イザベラさんは寝床だけでなく、食事も用意してくれた。何から何までありがたい。

 ミーチェきのこのミルクソースパスタ。すごく凝った料理である。

 彼女も誰かと一緒に食事をするのは久しぶりだったらしく、談笑は実に盛り上がり楽しかった。



 快晴の朝を迎え、出発の時。

 ローブやナイフを購入し、イザベラさんは私に木製の手作りリングをプレゼントしてくれた。

 話すと本当に義理堅い人である。


「それじゃあね。特殊な鉱物、太古の地層で取れた石なんか見つけたら教えてよ。あたいも今度フローディアに寄ることがあったら店に顔を出すからねアミュレット」

「はい、お世話になりましたイザベラさん……」


一言メモ【ジャビスウォーレン。仕事がなけりゃ、あたいも行ったんだけどねぇ】イザベラ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ