オークションへ2
今までは身の丈に合った生活を送ってきたけれど、“船での移動”となると節約を余儀なくされるワケで。さりとて最低限は生きていくために食わねば。
買い出しはしない。買い置きを減らす。あ、コレは今日中に使わないと。瓶で蜂蜜漬けにしてあるのはいいとして、残っているコレは夜にっと。
「ねぇねぇ、ご飯なに? コレ?」
家にある食材を確認していると、クロエは小動物のように可愛らしい顔で私の顔を覗き込んできた。
「お昼食べてくつもり? それはゴボウ汁、夜は豆のスープよ」
「なんか貧相だなぁ。まぁいいか、あ~ん」
この子、なかなかに世渡り上手なことで。って貧相で悪かったわね。
「で、休業ってどういうこと?」
「……ん。実はね」
私はクロエに幽霊図書館で師匠から依頼されたことを話した。
彼女からは本を盗み出した方法だけを知りたいとのことだが。もちろんそれも踏まえて私は本を探していたのだ。
そして情報を手に入れることに成功。
手掛かりを見つけてくれたのは、街にいるエダーキャット達である。
猫達は他の動物や鳥達にも協力を得ることが出来たらしく、この第一大陸【フィーネルフ】にいる人々の会話に聞き耳を立て、手掛かりになる必要なことだけを教えてくれた。
「へ~。で、オークションに行くんだ?」
「そうよ。怪しい本が出品されるって話だけでは信憑性に欠けるし、ほとんど私の勘だけど」
あっちの大陸にも興味あるし、本格的に行動を起こしたかったしね。
「これがオークションの招待状。師匠に知らせたらすぐに手配してくれたわ」
「会場はどこなの?」
「目的地は第二大陸【カルボルト】の【ジャビスウォーレン】よ!」




