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アトリエ3



「――――こ、これは魔法が練り込まれた糸ってこと?」

「そうなの、珍しいでしょ。市場でもなかなか出回らない“魔法の糸”よ。即行そっこうで一目惚れしちゃった」


 アナスタシアさんから明らかに上等そうなクッキーを頂きながら、私はその魔力を帯びた特殊なかいこから採れたという絹で加工した魔法の糸を見せてもらった。

 見る角度によっては七色に光ってるわ。


「そしてこれがその糸で作った服。ねぇ、触ってみて。着て見せてくれない?」


 わわ……刺繍ししゅうが細かい、これ重ね染めかな? 生地も丈夫でキレイなワンピース。編み方知りたいかも。

 でも申し訳ないけど着るのはなぁ。私にワンピースなんて似合わない気が。


「感想が聞きたいのよ、お願い」

「……は、はぁ」


 ここに師匠がいなくて良かったわ。

 私はアナスタシアさんが作ったそのワンピースを着て着心地を伝える、さりげなく髪飾りも付けられてしまった。

 糸が手に入りづらいのもあって数着しか作れないらしいが、価格も適正だと思う。

 スゴいなぁ、周りの服達を見てると、その一着一着から彼女がいかに人脈と人望があるかが分かるわ。



「ありがとう。本当はそのまま差し上げたいのだけれど」

「いえいえ、さすがにそれは。求めて着こなすべき人に売って差し上げて」


 その代わりとお近づきの印にと、アナスタシアさんから布巻きを頂いた。これは嬉しいわ。

 私も自作の調合リストから香水の製法をいくつか教える。話し合っていた時に香水に興味を持っていたからだ。

 服作りに一途な彼女だが、なにが役に立つかわからないらしい。同感だ。こういう場合はお金ではなく技術などを交換し合うのも商売人のやり方である。


「材料も分けるわ。これで石鹸も作れるの、試してみてね」

「ありがとう。今日は本当に会えて良かったわ。イヤリングも届けてくれてありがとう。ソフィアちゃんにもよろしくね」

「うん」


 そして私は手を振り、アナスタシアさんのお店を後にした。

一言メモ【アミュレットちゃんとソフィアちゃん、今度は三人でお茶をしながらゆっくりお話したいわね】アナスタシア

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