再会2
私が知るソフィアにしては珍しく、少し動揺した感じで口を開いた。
「お嬢様が商人をなされていることがバレてしまったようです。その、お嬢様の姉君、スカーレット様に」
「ありゃりゃ。やっぱりバレちゃったか~。仕方ないわね」
知ったのなら彼女のことだ、いずれは店にも冷やかしに来るだろう。
「……よろしかったのでしょうか?」
「どうせスカーレットの付き人のジョバンニでしょ、一人で勝手に調べあげてきたの。大丈夫、それよりも今はソフィアと話がしたいわ」
あのジジィの情報収集力ならそのうちバレると思ってたし、絶対にというわけではない、出来ることなら知られたくなかった程度だったのよね。確かに昔から意見とか合わない姉とは会うのが嫌なのは事実だけど。
でもソフィアは面倒見があり責任感も強い性格だし、口止めの件、悪いことをしたわ。
……それからは。相変わらずお客が来ない店で、しばらくソフィアとの会話などを楽しんだ。
二人でも飲める果実酒で持て成し、近況報告や売り物について語り合う。
忘却のランタンや、特殊な磁場に反応するコンパスに興味を持ってくれたが、お買い上げ頂いたのはすごく似合っている黒色のチョーカー。
あとは学園を首席で卒業したことを聞き、アテリア文字が書かれてある古文書の解読に挑戦させた。
その読解力には私も驚愕で、天性の才能を持つ妹、ヴァイオレットそっくり。あまりに呆気なく完璧に解読したので、自分が苦労しただけに、ちょっと悔しいわね。
ソフィアは店にある数種類の薬草にも詳しく、薬師より的確で豊富な知識をいくつか教えてもらった。彼女からはタリスマンの家で一緒に住んでいた時期に掃除、洗濯、炊事、金銭管理、と私に自立心を養ってくれたりと感謝しかなく、商人を始めてからはそのありがたさを実感する。
◇
「本当によろしいのですかお嬢様?」
「大丈夫、任せて! アナスタシアさんのイヤリング、必ず私が届けるわ」
夕暮れの下、店の外でソフィアと別れる際に私が答えた。
冒険とは少し違うが、調合師としての修行も兼ねて短期間の旅に出るらしいソフィアに代わって、学生時代に知り合った友達のアナスタシアという女性の落とし物を私が届けることになった。
今までソフィアには色々と助けてもらっているので、これくらいはお安いご用である。
「その代わり、また会うわよソフィア」
「はい。もちろんですお嬢様」
一言メモ【私が調合師になろうと思ったのは、商人として一生懸命なアミュレットお嬢様のお役に立てればと思ったからです。そして私はこれからも彼女のメイドであり続けます。このことはお嬢様に内緒ですよ】ソフィア




