踊るダメ妖怪#2
「どくたぁ~、あおてぇーⅡ(ツー)!今回の素体はぁ?」
「はい、ヌラーリン大佐!今回はですねぇ」
百鬼のシンボルマーク。焔を纏った鬼顔、の下にウサギのヌイグルミが下げられている。手に持たされているのは“OFF”のカードだ。
「“隠れ百合シタン”の万年ヒラリーマン!アラサー、ネクラミコンのぉ山田一撃さんデース!」
キョドりながら、貧相な痩せた男が化け案山子に案内されて来た。
「女の子に改造してくれるってホントですか?」
もじもじしながら軽く握った手を口にあてるしぐさがいちいちキモい男はそう言った。
「くほほほ、左様。美しく生まれ変わるのじゃよ?」
「い~でしょ、そおいたしましょ♪ノゾミ叶えて差し上げましょ♪」
ぬらりひょんと蒼鉄は山田一撃を意識転送装置の処置椅子に座らせるとダウンロードを開始した。転送先はズラリと並んだシリンダーに浸されている妖改人のボディの一体だ。
「今回は激ぬるい美少女型義体化が蔓延る世の中に、男の娘がなんたるかを教導致したく!かの枢斬屯子をモデルにレリゴォな雪女にシェーじゃない否哉をブレンドしました」
山田一撃は絶句した。
「その名も“白雪ヒゲ”後ろ姿は超絶美少女で振り向けば地獄!血も凍る顔面兵器なのだ!いかがです?ぬらりひょん様」
「ナンだかワカランが、とにかく善し!」
ぬらりひょんは清々しい微笑みで言った。堪らないのは山田一撃だ。
「ヤメロ~百鬼!ぶぅ~ッとばすゾぉ!」
そう叫ぶが、もう遅い。
⬛
とまあそんな感じで変態妖怪もとい妖改人を作り続けて一年あまり。同じような妖改人を量産するなら手間がかからないのだが、妙なプライドがあるのか?ぬらりひょんと蒼鉄。一つとして似た個体は居なかった。その数作りに作って1000体!大隊クラスの軍団となったのだった。そして今日はいよいよ出撃の日!
「諸君、私はヒャッハーが好きだ!」
拡張された地下秘密基地の広大なホール。
「諸君、私はヒャッハーが好きだ!」
1000体の妖改人のひしめく中。蒼鉄が壇上での演説。
「諸君、私はヒャッハーが大好きだ!」
中略。えっと、さんざん使い古されたパロディなんでアレですので、続きは脳内補完してくださいね(ハート)?
「「ヒャッハ~ッ!」」
「よろしい、ならばヒャッハーだ!それも、ただのヒャッハーではない!一心不乱の大ヒャッ…」
と盛り上がって来たところで、大ホールの無駄に豪華な“結婚式場”にあるような両開きのドアが開いた。空気を読まないのはどこの誰かと皆が振り向けば、そこに居たのは?
「トゥ~ス!おひさしぶりッス!!」
いかにもな体育会系の大学生だった。東臼晴彦君だ。しかも結婚式のような格好をしている。というか新郎の格好そのものだ!
「やあ、久しぶり。彼女は出来たのか?」
という蒼鉄に東臼は自慢げに後にいる彼女を見せる。その姿は、裸より恥ずかしいようなヒョウ柄の露出度の高い下着姿に褐色の肌で、全身の口で言うのも恥ずかしい箇所にピアスとタトゥーをキメている黒ギャルビッチ。ナイスバディだが、これで年取ったらどうするんだ?後悔するぞ?と言いたくなるようなアホそうなアホガールだった。筋肉バカにヒョウ柄ガール。“混ぜるな危険”と書いておけ。
「で、そのお嬢さん。どうやって口説いて引き合ったわけ?」
「一発やらせろ、って言ったッス」
「蛮勇引力かぁ!?」
⬛