青の騎士団①
設定に色々不備があったらすみません。
この国には銀、赤、青の騎士団がある。
銀は王族を守るが故にある程度の身分も必要とされる。
赤は王都の治安維持。王都は広いため人数も各団の中では一番多く、一般市民でも最低限の読み書きと、厳しい訓練に耐えうる体力があれば入ることができる。
青は王都の南に広がっている魔の森の街道の結界の維持と、魔物の駆除だ。王都自体の結界は宮廷魔術師達が行うが、彼らは荒事を好まないため魔の森には来てくれない。魔物は魔力を込めた攻撃でないと倒せないものが多いため、攻撃魔法に特化している者たちが集まっている。なおかつ街道沿いの結界石に魔力を込めることの出来るほどの魔力量をもっているものが、身分に関係なく集まっている。
とはいえ結界のおかげもあり、ここ最近は魔の森も静かだ。
そんな青の騎士団内は、今日はいつもとは違う話題でざわついていた。
その異変を最初に発見したのは門番だった。
青の騎士団本部はその仕事の特徴から魔の森に一番近い場所にある。
街道を行き来するので出入りは多いが、その多くは魔の森の向こうにある街へと行く商人たちだ。
貴族達の多くは王城近くに屋敷があるため、この辺りで見かけることは滅多になく、見かけたとしても馬車に乗り護衛を連れた大所帯で通りすぎるだけだ。
店も食料品や日用品を扱うものや、酒場を兼ねた食堂兼宿屋、武器や防具を扱う店がほとんど。この辺りに住むもの以外で、女性や子どもだけで来るような場所ではない。
しかし昼を過ぎた頃に、通称青の広場と呼ばれる騎士団本部前の広場に、異質な者が存在していた。
明らかに上質な布だと分かるピリアの花の色のドレスを纏い、手入れのされた黒髪に黒曜石のような大きな瞳。
美人というよりは可愛らしいその顔は、近隣諸国との関係は良好で異国の者も多く王都に滞在しているが、そのどの国とも違う風貌である。
供の者がいるのかと思えばそうではなく、では待ち合わせているのかと思ったが時間がたっても誰もあらわれない。
小柄な身体は子どものようだが、時折り辺りを見回すその表情は大人のようでもある。
さすがに騎士団本部前で人拐いをする馬鹿もいないが、もうここに現れて数刻にもなる。門番達をはじめその噂を聞きつけた団員達はどうしたものか悩んでいた。
どういう訳でこんなところにいるのか聞こうと、彼女に近寄った団員もいる。しかしある一定の距離まで行くとまっすぐに進めずに、気づくと歩く方向が変わってしまっていて、彼女に近づけない。声を掛けてみても届いていないようで、目を向けてもくれないのだ。
通常彼らほどの魔力量があれば結界は視えるものであるし、本来結界からは魔力がにじみ出ているはずだが、それも感じない。
謎の結界のこともあるし、そのおかげで安全そうだといっても、日暮れもせまり不埒なものからの危険が及ばないとも限らないため、上に判断を委ねることにした。
残念なことに、情に厚く面倒見のよい団長は今日は会議で王城に行っている。
今この本部内にいるトップは副団長だ。実力は各騎士団の中でも一番で、だからこそ若くしてその地位にあるのだが、正直冷静沈着すぎて厳しい印象を与えている。彼はどんな判断を下すのか。
いつの間にか人の増えた団の門の前で、指示を待つ間皆で見守っていると、突然彼女の身体が傾ぎ始めた。
「「「「「 ああっっっーーー 」」」」」
彼女の頭が固いベンチに打ち付けられようとした瞬間
「「「「「 ええっっっーーーー」」」」」
彼らの背後の遥か頭上から風が吹き上げ、一瞬にして彼女のいたベンチの傍らに彼女を抱き上げる美麗な男の姿があった。