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睡眠は大事

誤字報告してくださった方、ありがとうございました。

 朝が来た。

 

 あれ?朝?

 いつも閉めてるはずのカーテンが開いているのか、なんだか眩しい。そのせいか開こうと思ってる瞼が抵抗してる。じゃあ後5分だけ…………。

 

「あら、リンちゃん。目が覚めたの?」

 他に誰もいないはずの部屋にアリスさんの声。一気に目が覚めて起き上がろうとしたけど、何故か身体が固まって動かない。

「ーーううっっ」

「無理しないで、リンちゃん」

 慌てて駆け寄ってきたアリスさんが、私を抱き起こした上に背中にクッションを入れてくれる。お世話かけてすみません。。。

 差し出されたコップを受け取って水を一口飲むと、ようやく人心地ついた。

「ありがとうございます、アリスさん。でも、どうしてここに?」

「リンちゃん、3日も眠ってたのよ。魔力をたくさん使うと、それを戻すために眠ってしまうんですって」

 そう言うとドアを開けて、外にいたらしい誰かと一言二言話してまた戻ってきた。

 

「それにしてもリンちゃん、クローゼットの中に何も入ってなくて慌てたわ。寝るときの服、持ってる?」

 そう言われて自分を見ると、見慣れないシンプルなネグリジェを着ている。あ、服は全部無限収納の中に入れてるからだ。こんなことならちゃんとクローゼットに入れとくんだった。でも、神様特製のパジャマはこちらのとはだいぶ違うから見せられないかも……アリスさんには喜んでもらえそうだけど。お給料が出たらこっちのパジャマも買おう。

「すみません。この服は……?」

「私が作ったのよ。時間がなかったから簡単なものだけど。それリンちゃんサイズだからもらってね」

「ありがとうございます」

 

「リン、大丈夫か?」

 その時バンッと勢いよくドアが開き、レイさんが入ってきた。金色の髪を少し乱していて、急いで来てくれたことがわかる。

「副団長。心配だったのは分かりますけど、女性の部屋にノックもなしに入るのは駄目ですよ」

 アリスさんに言われて「すまん」と言いながらベッドに歩み寄る。

「大丈夫です。ご心配おかけしたみたいですみません」

 私がそう言うと、レイさんはホッと息を吐き出した。そんなレイさんの後ろから、

「リンの魔力量と体力からこれぐらいかかるのはわかってたでしょ。心配しすぎだよ、レイ」

とフィルさんも入ってきた。

「おはよう、リン。回復するのに時間かかるとは思ったけど、なかなか長く寝てたね」

 そう言って少し呆れたように見るフィルさん。自分ではそんなに寝てたつもりはないんだけど、何か申し訳ないです。

 

 あれ、そう言えばレイさんとフィルさん、いつもの制服でお揃いコーデで素敵!……じゃなくて、

「あの、魔物はどうなったんですか?」

 魔の森に団長さんと行って魔法を使ったのは覚えているけれど、何か記憶が曖昧だ。

「リンのおかげで変異体も含めて全て倒した」

「その時のことも含めて話が聞きたいんだけど」

 フィルさんが今度は気遣わしげに私を見たので、

「もう平気です。じゃあ今から……」

 そう言ってベッドから出ようとする私をアリスさんが止めた。

「ちょっと待って、リンちゃん。3日も眠ってて目が覚めたばかりなのよ。まずは食事して元気になったのを確認してからにしましょう」

 

 アリスさんは、早くても午後からにしてください、とレイさんとフィルさんを有無を言わさず部屋から追い出す。

 その後、アリスさんに支えられながら洗面所に移動したり、まだほぐれない身体に着替えを手伝ってもらったりした。

 魔の森で私がしたことは何も聞かず、ただただ私の身体を気遣ってくれるアリスさん。なんかお母さんを思い出す。いや、自分が長女だからずっと欲しいと憧れてたお姉さんかな。もう感謝しかありません。

 デリバリーでトロトロ野菜たっぷりの温かいスープを届けてくれたメアリさんにも、目覚めたことを喜ばれた。しっかり完食して、アリスさんととりとめもなくおしゃべりしているうちに、ようやく身体も動くようになった。

 さすが10代。前だったら絶対まだ節々が痛くて動けなかったよ。

 

 もうちょっと休んだら?と心配するアリスさんにお礼を言って、午後を少し過ぎた頃に迎えに来たフィルさんと共に3階へと向かったのだった。

 

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