私にできること③
誤字報告をしてくださった皆様、ありがとうございます。誤字が多くてすみません。
これからもっと気を付けますが、またあったら教えていただけると助かります。
ちょうど3階に上がったところで出会った騎士さんに聞くと、レイさんとフィルさんは魔の森に今朝早く行ってしまったらしい。
どうしようかと悩んでいると、団長室に入って行った先程の騎士さんが伝えてくれたらしい。廊下の一番奥にある団長室の扉が開き、出てきた騎士さんに続いてマークさんが顔を出し、手招きして中に入れてくれた。
「リン、レイ達に何か用だったか?数日は帰ってこんぞ。何か困ったことがあるなら言ってみろ」
執務机にある山のような書類をさばきながら、こちらにチラリと目を向ける団長さん。なんか目が血走っていて、その口調は優しいんだけど顔が……お疲れですね。
なんだろう、レイさん達に見てもらおうと思ってきたせいか、その更に上の人にとなると変に緊張するというか……怒られたりしないよね?
「あの……変異体に効く魔法ができないかと思って作ってみたんですけど」
「「魔法を作ったのか(ですか)?!」」
声を揃えて聞き返してきた団長さんとマークさん。あれ?そんなに驚くこと?
「宮廷魔術師たちが寄ってたかっても数年に1つできるかできないか、ですよ。それを昨日聞いて今日作ってくるとは……」
蟀谷を押さえながら話すマークさん。あれ?なんかすみません。
「あ、でも私が知らないだけですでにある魔法かもしれないんですけど」
私にはあの部屋にある本の知識しかないからね。
「どんなものなんだ」
「モーグズは水が苦手で、変異体は闇があるから光が苦手かな、と思いまして。水と光、2つを合わせてみました」
「『光』が使えるのですか?!」
私の言葉にマークさんが驚きの声をあげる。
「場所を移すか?」
立ち上がろうとした団長さんに
「いえ、ここで出来ます。そんなに大きなものじゃないっていうか、えっと人には無害みたいですし……」
「なぜ無害だと分かるのですか?」
「えっと、さっき試していたら自分にかかっちゃいまして、それで大丈夫だったので」
私の言葉を聞いたマークさんは、またもや苦い顔をした。あ、怒られそう。でも故意ではないんです!もうやってしまおう。
「やります。『聖なる水』!」
その瞬間、団長さんの頭上に光の雲ができて、輝く雨が降り注ぐ。
もうこの辺でいいかなと『消えて!』と念じると、一瞬で何事もなかったように消えた。
「……これは……」
あっけにとられながらマークさんが呟く。
「これは使えるぞ」
先程までとは違い、スッキリした表情の団長さんが力強く言う。あら、もしかしてやっぱりこれって元気になる魔法かな?
「ですが、団長。リンの体力では危険です」
「俺が連れていく。これ以上長引かせれば被害が広がる恐れがある。使えるものは使うべきだろう?」
そう言って団長さんは私と目を合わせると、
「魔物への効果はやってみないとわからないが、やってみる価値はある。手伝ってくれるか?リン」
団長さんの言葉に、私は深く頷いた。