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掌編011『浮いているもの』

作者: 綾野祐介

『浮いているもの』

               綾野 祐介



 今年は頻繁に豪雨に見舞われ、あちらこち

らで河川は氾濫し大きな被害が出ていた。


 幸いなことに大阪の中心を流れる淀川は氾

濫こそしなかったが上流である桂川が氾濫し

てしまった。その日の少し後のこと。私は普

段から一人で訪れている海遊館に居た。海岸

からは観光船が出ている。別に乗るつもりも

なかったのだが、その辺りを散策していた平

日の昼間、人もそれほど居ない岸壁でサンタ

マリアや増水の所為で色々なものが打ち付け

られているのを何となく眺めていた。


 ふと波間に何か浮き沈みしていることに気

付いた。少し遠くてよく判らないので近づい

て身を乗り出し確認してみた。やはり何かが

浮き沈みしているようだ。しばらく、それが

何だろうかと考えていると不意に脳裏にある

答えが浮かんだ。そう思って見てみると最早

それにしか見えない。「人間の頭部」だ。


 マネキンだと思おうとするが、どう見ても

本物のようだ。私は警察に通報しなければ、

と視線を外した。そうすると、今度はまた少

し離れたところにもっと大きなものが浮き沈

みしているのが見えた。こっちは胴体だ。本

格的に通報の必要が出てきたが周りを見回し

ても他には人がいない。私が判断しなければ

ならない。そうだ、海遊館の係員か観光船の

乗組員を探そうと思ったとき変なことに気付

いた。頭部が浮いていて少し離れて胴体が浮

いている。しかし、よく見るとそれらが何か

白いもので繋がっているように見える。


「何だ、あれは?」


 4mほどは離れて浮いている頭部と胴体は

確かに繋がっていた。頭部と胴体を繋ぐ白い

もの、それは、、、、、長い長い首だった。



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