15話
迷宮ダンジョン階層20FここはランクCのパーティーまでの稼ぎ場だ。ここまで降りてくるとUターンして帰るのが冒険者達の基本スタイルになっている。
ここから下の階21Fから階層25F迄は挑戦者の層と言われ、今までの階層とは違って格段に魔物のLvが上がり罠もイヤラシクなっている。しかしそこを超えるとお宝やアイテムの品質やレア度も跳ね上がる為階層を降りる挑戦者は後を絶たない。
聖なる泉前
ボス戦も終わり休憩の為にランクCパーティー一行が聖なる泉の前で戸惑っていた。
いつもの様に一息つこうと泉まで来たのだが様子が違っていた。パーティーなら安全の部類に入る階層だが油断していれば大怪我、死亡する階層でもある。そんな場所の隅っこにポツンと[露店の様な店?]があった。
途方も無く違和感がありすぎの怪しさ満点の店主らしき人物から声が掛けられる。
「毎度、旦那何にしやしょう」
男の声とも女の声ともつかない声がした。
パーティーのリーダーだろうか声を掛けられて気を取り戻す。
「お、おい何にしやしょうってなんなんだ?」
まだ警戒してるのだろうか、意味を理解していないのだろうか?露店の店主から答えが返って来る。
「なんなんだーと聞かれたら商人なので答えるが早い、見ての通り[露店]ですよ。取り扱う品はHP・MP回復ポーション、食べ物と少ないですがココは場所だけに金額は高いですよ。あと治療もしますよ。」
説明よろしく商品の解説していく。
パーティーの一人がリーダーらしき人物に進言してきた
「兄貴ここ最近噂になってる黒の商人じゃ無いですかい?」
「何に!あれかボッタクリの黒商人」
もう一人の男が進言する
「いや、ボッタクリじゃ無く義賊の商人って俺は聞いたぜ」
「おい、お前ら聞いたことあるか?」
奴隷だろうか前の2人とは防備が異なり少し見すぼらしいい格好の男達が答える
「噂だけなら聞いたことあります」
「身ぐるみ剥がされた人がいたと聞きました」
「死にそうになってた人を救ったと聞きました」
三者三様違った答えが返って来る
「うーん噂だかなんだか訳がわからん、だがどっちでも良いや、ともかく状況から見て黒の商人なのは間違い、店なら商品を見せてくれ」
男がそう言うと商人はアイテムの品書きを男に投げる
◯お品書き◯
HP回復(小・中・大)
MP回復(小・中・大)
毒消し・麻痺消し・etc
食べ物肉類
迷宮ネズミ・ラビット・猪・熊・etc
「兄貴HP回復大がありますぜ!MP回復も大系統は現状国軍が女神の塔攻略の為に抑えられてて余り数が表に出て来ない物ですぜ。」
「食べ物もここより下の階層の物まである、しかし品質は全部普通品マジか・・・」
「おい!黒の商人ふかしてんじゃねーぞ!」
「まーこんな場所だし信じるのは難しいなそれじゃ挨拶代わりにコレでも食べてみな、試供品だ」
そう言うと商人は包みを男に投げた。
「なんだ?」
開けてみると乾燥させた肉が数切れ入っていた
「熊の肉を乾燥させた食べ物だよ、俺はジャーキーと呼んでいる。兎に角食べてみな」
男達が一切れづつ食べる
「美味いってもんじゃないぜ兄貴!」
「なんだこりゃー今まで食べたことがねー旨さだ」
「低品質は食べた事あったが普品質がココまで味が変わるとは・・・」
「ソイツは中品質を加工した物だ、量は無いが味は中品質なんて目じゃねー高品質に近い味だぞ!」
「「「なに!」」」
3人とも高品質と聞いて放心状態だ。暫くすると思い出したように3人は顔を見合わせ問う
「おい、黒の商人この「お品書き」の品いくつ容易できる。」
「全部の品100づつはある。希望の数をいいな。」
「そうか、100もあるなら全部頂こうか!」
言い終わらない内に、兄貴と言われていた男がロングソードで斬りつけてきた。
「どうゆう事だ旦那?」
と言いつつ言葉は余裕だが、当の本人は装束の端を切られながら躱す。
「どうゆう事って、お前さんが一番わかってるんだろ。こんな場所で露天なんて襲ってくれと言ってる見たいな物だ、さっさと荷物を置いて行くか、俺達に殺されなっ!」
「兄貴の言うとおっり!」
「素直に死ねばいいのです!」
黒の商人は3人の流れるような連撃を今度は危なげ無く躱していく。
(一連の会話からの一太刀、流れるような3人の連携殺りなれてるな。)
そう、黒の商人は確信し確認した。確認したから、実行に移す。
「分が悪い、じゃあな!」
そう言うと一目散に奥の通路へと走って逃げる。
「まてー!待ちやがれー」
男達は走って追いかけた。
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男達はどこまで追いかけたのだろう。前には黒の商人の姿はいつの間にか消えていた。
「おい、商人の野郎どこに消えやがった。隠れてたか?」
「いや、見てないっす。隠れてたとしてもこっちは3人もいやす、見逃さないっす。」
「しかし、ここは泉からどこまで離れたんだ?」
商人を見失い、自分達が気がついたらどこに居るのか解らなくなっていた。
「ん?奴隷はどうした?」
「いつも通りさっき居た場所で待機してますよ。今回も同じだと思って付いてきてやせん。」
「今回それは、場所が場所だけに不味いな。」
ようやく落ち着いて自分達の状況が不味い事を認識する。3人で階層を登って行く事は可能だが余裕が無い。アイテムも不十分だし、一番要の[斥候]が居ないのだ。居ないから、この3人組はいつも奴隷を前に立てて罠に掛かれば補充してダンジョンを走破してきている。
「っち、もう戻るぞ次は見つけ次第殺るぞ。」
「後ろから搔っ切りやしょう。」
「その前に俺達の前に出てくるかぁ?」
3人は追いかけて来た道を戻る。。。少し戻った当りで道塞がっていた。
「塞がっている?」
確かに先程まで走って来た道に壁ができている。だが、最初から壁だったのだろうか、塞がれたのだろうか不思議な感覚が襲ってくる。
「どうなってんだこりゃー、今通ってきた道だろ?」
「へい。たしかに走って通って来やした」
ゴゴゴゴゴゴゴ
「兄貴、不味い!後ろの道が閉まっちまう。」
とうとう三人組が今居る道が消え閉じ込められる。
「くっそ罠だ。罠に引っかかったんだ。どうゆうこったなぜ罠があるんだ。アイツが先に通ったハズだろなら何故アイツが先に引っかからないんだ。」
ゴゴゴゴゴゴゴ
「兄貴!天井が降りきやす!」
ゴゴゴゴゴゴ
「くっそ!」
ゴゴゴゴゴゴ
「ちくしょう〜」
ゴゴゴゴゴゴ
「あにきー」
ゴゴゴゴゴゴ
「ぎゃぁぁぁぁ」
ゴゴゴゴゴゴ
ゴゴゴゴ
ゴゴゴ
ゴゴ
ゴ
ー⚫︎ー⚫︎ー⚫︎ー⚫︎ー⚫︎ー
聖なる泉前
いつもと同じだが、遅い主人達の帰りを待って居るもう一組の三人組がいた。
場所が場所だけに、ただ遅いだけなのかそれとも魔物にでも合って遅くなっているのか解らないまま時間だけが経っている。
「遅いな。」
「ああ」
「どこまで追いかけたんだろうな」
「魔物にでも襲われてるのかな」
「死んだのかな?」
「もう暫くこないんじゃないか?もう逃げるか?」
「前にそうやって逃げようとしたら、出てきて殴られたよな・・・」
三人は戻ってこない主人達に今までのされた事を思い出し言い合い戻ってくるのを待っている。
「もうあの三人は戻って来ないぞ」
「ゴト」・「ゴト」・「ゴト」
三人が話し合っている中、声がかけられ何かが重い物が落ちる音が聞こえ一斉に振り向く
「さっきの商人?」
「だな」
「そうだな、しかし戻って来ないとはどうゆう事ですか?」
三人は不思議そうに尋ねる
「ああ、お前たちの足元を見ろあの三人の[ステモ]だ罠に掛かったみたいだ、それがあれば開放されるんだろ?」
「なに?」
「ご主人様達が死んだ?本当か?」
「死んだ?これがそうなのか?」
一人が足元にある[ステモ]を拾う
「俺がそうだ嘘を付いてどおする、主が死ね奴隷は開放される、奴隷商にでも戻る契約にでもなっているのか?」
「これがご主人様ステモだと言う証拠はあるのか?本物でなければ我々は逃げた事になる」
「っまそうだよな。アイツらはステモに[装飾品]なんてしてないし、これは完全に俺を信じて欲しいとしかいえないな。」
「そうか、一応主人が死んだ場合近くに入る[拾主]が新しい主人になるんだがな」
「おい、大丈夫なのか信じて」
「このままここに居てもしょうがないしな」
「いや、俺はお前達の主人にはならない三人でパーティーでも組んで冒険者としてやっていけばいい。嫌な奴らもいないからな」
三人に向き合ってそう語りかけた
「そうか、なら仕方ないお前達の行こうこのままではこの方が迷惑だろう」
「なあ本当に大丈夫なのか?」
「そうだな、行こう」
三人は商人の言葉を信じその場を離れ階層を上がって行った