14話
逃げるように通路を進んで行くと2Fへと行く階段が見えてきた。
「2Fへ降りる階段か現状大丈夫だけど潜って結構時間経ってるし、外なら太陽の高さである程度解るけどダンジョン内に太陽なんて無いしさてどうしたものか。[ヘルプ]時間なんてわかんないよな?」
(時計アプリであれば時間は解ります。サーバーに接続してダウンロードしますか?)
ダメ元で聞いて見たら時計なんてあったんだ。今まで時計なんて見なかったし「無い」と思ってたよ。しかし[時計アプリ]なんて物があったんだな。他に色々ありそうだな。
「ダウンロードして教えて。」
(ダウンロード開始します。
・・・
・・
・
完了しました。現在の時刻は
[ベルファー王国歴2015年7月2日13時33分]
です。
この[アース星]はマスターの前世の暦と同じ月日の進み方をします。)
「進み方って、1年365日って事?時間だけで良かったのに年月日まで解るのか。歳月や時間が前世と同じならわかりやすい。サーバーからダウンロードって他にもあるのか?」
(ダンジョンで[レシピ]が見つかった場合[見つけた人の物]です、そのレシピは販売する事も可能です。販売する場合大きく分けて2つあります。
[大量販売]と[個別販売]
大量販売の場合[女神サーバーが委託販売]の管理をして「1人当り何G」と金額を決め各端末を利用して販売され手数料が引かれたのちその都度Gアプリに振込されます。
アプリ販売の最低金額が1万Gからなので平民の家庭では見かける事はありません。
個別販売の場合は[国や貴族・商人]など個別に販売されます。[レシピの販売]になるので一気に大金持ちになれる可能性があります。)
「なるほど、時計アプリっていくら?」
(10万Gです。登録者が貴族や商人向けに価格を決めたのでこの金額になってます。)
「まじで!俺の全財産じゃねえか。最悪だ風呂に入れなくなる・・・」
(魔法[クリーニング]があるから大丈夫じゃないですか。)
「俺クリーニング嫌いなんだよ。一応綺麗になるから良いのはいいんだけど風呂の方がさっぱりするだろう・・・・日本人なら風呂と水栓トイレは譲れないんだよぉ・・・」
(安心して下さい払っていませんよ。マスター、マスターはサーバー管理者の加護がありますので無料で使えます。)
なに⁉︎無料なのか。焦らせるなよ、ここ数日ヘルプさんが俺を弄ってくる・・・才能が解除されたからか?Ai・・・ここは俺も[おっけーステモ]とか言って聞いたら良いのかな。
(そろそろ戻らないと日が暮れますが進みますか?)
[ヘルプ]が俺を察したようで話を変えてきた。
「いや、ここまできんだからとりあえず、1Fと同じ様な雰囲気なのか確認したいから、2Fに降りてみたい。」
そう言って2Fに降りていった。
2Fに降りてステモ操作から地図を表示させ場所や魔物の位置などを確認する。
「場所の雰囲気は1Fと同じ、空間も魔物達も迷宮ラビットに迷宮ネズミと変わらないな。どの階層から変わってくるんだ?3Fはゴブリンも出てくるのか・・・」
階層をかるく流し見ていく。
「[ヘルプ]、5Fの大きな部屋の中央に黄色い点があるけど何?罠かなにか?」
(それは[聖なる泉]です。その場所には魔物は近づけなく安全地帯になっていて、その水を飲むとある程度体力・魔力が回復します。5Fから下に行く階段は大部屋になっていて階層ボスが存在し、ボス戦の前に冒険者はそこで一時休息したりします。
又[クエストとして水を持ち帰る]か[薬剤屋に販売]などあります。)
「その水はポーションとか作れる材料なの?」
(材料ですね、例としてHP・MPなどの回復薬など色々な薬に使われます。下層へ降りる程効果の高い泉があるので高値で取引されます。冒険者の中にはそれだけを生業としている人もいます。)
「そんなクエストもあるのか。ポーション作成にはどんな才能が必要なんだ?」
(調合アプリと錬金の才能・属性[聖]が回復薬を作る事ができます。別属性、[火]だと炸裂玉などが作れます)
「ちなみにいくら?」
(1000億Gです。)
「たっか!高いよ。ってか高いどころじゃない。販売者は売る気無いだろ!」
(そうですね、レシピの発見者は売る気が無かった様です。独占してポーション売ってる方が儲けると考えた様です。今ポーションの製造者は代々アプリが受け継がれている人達です。)
「回復薬に攻撃補助アイテムが作れるのか、まずはポーションの自作でもしてダンジョンに篭もるか。とりあえず、宿屋の期限まで潜る準備して突貫でどこまで降りれるかやってみるか。確認はこの位にして帰りながら残りのクエスト品を集めますか。」
そのまま階段を上がり出口に向かって魔物がいるルートを選びながら先を急ぐ。
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「ふぅーやっと外にでれた、夕焼けか・・時間掛かったな。」
両手を上げながら背伸びをする。
「1Fは魔物の数が少ないのと冒険者が多い事で狩るより歩くのが大変だぁ、これなら下層に行って狩る方が早いや。討伐の報告は端末で大丈夫そうだけど、アイテム類はカウンターかな?」
実際の初迷宮ダンジョンの感触を確かめながら、クエストの報告の為に都市のギルド会館へ歩いていく。
ー⚫︎ー⚫︎ー⚫︎ー⚫︎ー⚫︎ー
「混んでるなぁハナさんいるかな?」
ギルド会館に入ると時間帯だろうか人が溢れて受付に居ないなら見つけるのに一苦労だ。
クエスト報告は端末だからか受付の方は空いていて目的の人物は座っていた。
「ハナさんちょっと聞きたいんだけど」
と俺は声をかける
(ロイさんお帰りなさいその前に少しお聞きしたいことがあるのですが良いかしら?)
帰ってきた答えが質問だった。
俺はどうぞという意味で手を差し出す。
(調査の為に聞いてるのですが今日の午後くらいですか迷宮ダンジョン1Fでおかしな事は無かったですか?凄まじい大きな音が聞こえたと冒険者の方々が報告に来てるのですが何か変わった事はありました?)
俺はドッキとしたが冷静に返した
「うーん何か音は聞こえたけど大きな音としては聞こえなかったかな?」
(そうですか、わかりましたご協力ありがとうございます、何か気づいたら報告して下さい。それで私に聞きたい事はなんですか?)
今ので上手く誤魔化せたのか疑問だが突っ込んで聞いてこないなら大丈夫なんだろう。
「ああ、アイテム回収クエストのアイテムはカウンターで確認したらいいのかな?」
(ロイさんこんにちは、そのままクエスト端末で大丈夫よ。端末が自動でクエストアイテムを選別してギルドのアイテムBOXへ入れてくれるわ)
「自動でやってくれるんだ、間違ったりしないの?」
(何言ってるんですか、女神サーバが間違える訳ないじゃないですか!)
「そうゆうものなんだ・・・・クエスト完了させてくるよ。」
疑いながらも端末の順番待ちの列に並ぶ。
順番が廻ってきたのでアイテムBOXにあるクエスト品の数を完了報告前に数を確認する。
[迷宮ネズミの肉15個]・クエスト数は[迷宮ネズミの肉10個]差し引きは[5個]になる。
完了の為端末にタッチする。[女神サーバー]はちゃんと仕事をしたようで、
完了の報告と追加納品が出てきた。追加分も最初の金額より高くなっていたので追加納品した。
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クエスト
[迷宮ネズミの肉10個]完了
[報酬100G]
[報酬の10%は税金残り90%をGアプリに振込します。]
[迷宮魔物討伐]
[20匹×10G=200G]
[報酬の10%は税金残り90%をGアプリに振込します。]
アイテムBOX内にクエスト品追加納品しますか?
[迷宮ネズミの肉5個]
[普通品:1個追加毎に50G]
[5個×50G=250G]
[報酬の10%は税金残り90%をGアプリに振込します。]
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「ハナさーんアイテムBOXの中身をちゃんと認識してクエスト完了できました。女神サーバーは凄いですね。追加の納品も認識してましたし大丈夫なんですね。金額も大幅アップだったので貯金が少ない俺には助かりました。」
無事完了できた事をハナさんに報告する。
(大丈夫だったでしょ、女神サーバーが管理してる限りなんの問題も無いんだから心配しないの。建国当初から見守ってるから安心なのよ。間違える事なんて無いんだから!)
なぜか、自分が褒められているかのように自慢気に話してくる。
(ん?ロイさん、ちょっと待って追加の納品の金額が大幅アップってなに?)
「いや、多く持ってたのを追加納品しただけで、1個5Gだったのが50Gでの、初クエストだったからボーナスか何かですかね?金額が10倍になってて、びっくりです)
俺は女神サーバーが高く買い取って貰えたのを素直に話し驚いた事を話した。
(いやいやそんな初心者ボーナスとか無いわよ。)
首を傾げながらロイに疑いの目を向ける。
「え、そんな目で見ないで下さいよ。ハナさん[ホラ]見てくださいよ」
俺はそう言うとクエスト履歴を見せた。
(うーんと、本当ね。50Gになってる迷宮ネズミの肉は5Gなのに・・・・・ん???あれ、ロイさんちょっといい?その下の項目見せてもらっていいかな?)
俺はハナさんが指で刺した項目をタップして改めて見せた。
(あーーーー!)
ハナさんの大声が建物内に声が響いた。
(ロイさんこれよ!これ!品質が「中品質」になってるわ!クエストの納品の品質は『低』が条件なの中品質なんて滅多にドロップしないのにどこで見つけて来たんですか!こんなまとまった数、拾ったにしても数があるし、イヤそもそも落とす人なんて居ないし宝箱も低層では出ないのに・・・・)
ざわざわ・ザワザワ・ざわざわ
ハナさんがあまりにも大きな声で叫んだせいで注目されていたせいか、ギルド内の冒険者が[低層での宝箱]発言に騒ついた。
「いや、ハナさん全部俺のドロップ品だよ。」
俺はハナさんの言葉を訂正する。
(全部ドロップ品なんですか?ロイさんは[幸運の才能]持ちなんですか?)
ザワザワ・ざわざわ・ザワザワ
再度ギルド内の冒険者達が騒つく
「そんな才能持ってないですよ、[解体の才能]があるからそれで品質が上がったんじゃないのかな?」
俺は訂正する。[幸運の才能]持ちなんて建国の王[ルドルフ:サンダース]が持っていたと言われる才能だ。未だ王以外持っている人がいるなんて聞いた事が無い。俺が持ってるのが知れ渡ったら危険意外何もない、変な連中に狙われてしまう。それなのに大声で叫ぶなんてハナさんはギルド職員失格だ。
(解体の才能持ちなの!それでも凄いわよ、ランクが高くないと品質の高いアイテムなんてドロップしないわよ!)
ハナさんは落ち着くどころかヒートアップしてきた。
もうこの変で話を打ち切ろう、こんな大声で話をしていたら俺の手札が暴露てします。
「ハナさん俺今日はこの辺で帰りますね。色々と教えてありがとうございます」
(え、あ、ちょ。。。ちょっと・・・・・)
そう言い残して足早にギルド会館を後にしたのだった。