ギルドとか旅の目的とか
前回はあんまりよくわからない人も多かったと思うので、説明とかです。
「…では、盗賊団の壊滅のため、規則に従ってこれくらいの報酬を…」
「あざーっす」
「どもです」
盗賊団を倒した報酬をギルドからもらう。なるほど、これはなかなかだな。
あの後、俺たちは盗賊を倒した連絡をして、転送アイテムでギルドに転送した。なかなか間抜けでおもしろかったな、盗賊団。
その後自分達もギルドへ帰って報酬を受け取りに来たのだ。やはりこの手のクエストは受けるべきだな。
「お二人は何故旅をしているのですか?」
不意にギルドの受け付けが質問をしてくる。何故…って。
「「色んな景色が見たいから」」
「ああいえ、そうではなく、何故お二人が一緒なのか、ということです」
クールに流された。いや、ネタのつもりはなかったんだけどさ。
「別にたいした理由は無い。冒険者学校で一年生のときから一緒だっただけだ。あとはやはり、目的の一致だな」
「私たちは冒険者として変な目的だから、あんまり目的が一致する人がいなかったの」
「そうなんですか…。その割に、お二人ともお強いですよね?Bランク冒険者ですし」
「そりゃ、金は入り用だからな」
「こなしているうちにランクが上がったんだよ」
ギルドというのは、ランク制だ。SからFまであって、Fランクは誰でもなれるが、Sランクは片手で数えられるほどしかいない。ランクは万国共通のため、上のランクだとそれはもう優遇される。ちなみに、Cランク以上なら二つ名が付く。俺の『幻術使い』やセリスの『モーニングスター』なんかは使う者がいないため、そのまま二つ名になったたいぷだ。
「そろそろいいか?腹が減ったんだ。朝から何も食ってなくてな」
現在時刻5時。討伐とかやってたし凄く腹が減っていたりする。
「あ、申し訳ありません。どうぞごゆっくり」
「いや、ギルドで食う訳じゃないんだが…」
ちょっとアレな人なんだろうか。などと思いつつ、間に合わないと泣く羽目になるので食事処へ急いだ。
「じゃ、今日の勝利を祝ってー!」
「「かんぱーい!」」
ビールの入ったジョッキを二人で叩きつける。周りから舌打ちが入ったのはうるさかったからか、それともセリスが美少女だからだろうか。
「ゴク、ゴク、ゴク、ぷはあああぁ!この一杯のために生きてるー!」
セリスのテンションが高い。もう出来上がってるのだろうか。
「一気は止めとけよ。明日倒れられたら洒落にならんぞ」
「大丈夫だよ~」
ちなみに、俺たちは16才だが、法律は破っていない。決して。よいこの16才は真似しちゃだめだゾ!
「さあ、そろそろじゃないか?」
今日の夕食は早めだったりする。それもこれも俺とセリスの旅の目的を果たすためだ。
「そうだね!ほらアッシュ!カメラ出して!」
「おう!」
俺は鞄からカメラを取り出して、窓の外に向かって構える。
そのまま待つこと10分。
「「キターーーーーーーー!!!」」
窓から絶妙な角度で夕陽が見えた。キラキラと輝くその夕陽にセリスはうっとりし、俺は夢中でシャッターを切る。
「やったぞ!『オーレン村の夕陽』の写真ゲットだ!今のうちに目に焼き付けろ!」
「言われなくても!」
この店でこの角度でこの時間に見るのが最高だと聞いたんだ!素晴らしい!
テンションが最高潮に達している俺たちは、周りのドン引きの目に気付かなかったのであった。
「まさか、追い出されるとは…」
「まあ、うるさかったことは認めるけどさ…」
さっきまでのテンションが嘘のように俺たちはしょんぼりしながら宿へ向かう。なんだよ、皆心が狭い…
「しっかし素晴らしい景色だったな!あれだけで相当な価値があるぜ!」
「そうだよね!ああ、胸が高鳴るよ…」
気を取り直してさっきの景色についての談義を行う。すげえなあ。旅の醍醐味だなあ。
こういう時に一番セリスが居て良かったと思う。景色とかは、後で話し合うことでより楽しみが増えるのだ。
「…っと、着いた」
「アッシュ、今日はここなの?」
「ああ。安いからな」
旅には金が必要だ。特に俺たちの目的では室内からじゃないと見れない景色なんかもあるから、そこに入るだけの金が必要になったりする。
そんなわけで、今回は旅館『ガンバレ』だ。潰れそうなんだからお前ががんばれ。
「いらっしゃいませ。何日の宿泊ですか?」
「一日でいい。クラスは一番安いところだ」
「かしこまりました。大浴場と家族風呂がありますが」
「どっちの方が安いんだ?」
「家族風呂でございます」
「「そっちで」」
俺たちは、異性で一緒に風呂に入ることになろうと、金を無駄にはしない。
驚きの安さの金額に安心しながら(さっきのビール二杯分くらい)、浴場へ向かった。こういうとき、タオルがあるというのはいい。
お風呂シーンは書いてみると死ぬほど出来が悪かったので、没。申し訳ありません。