幻術使いアッシュとモーニングスターのセリス
知ってる人はお久しぶり、知らない人ははじめましての獅子印です。ファンタジーって…いいよね!
暗い部屋。
月明かりのみで照らされる部屋では悪党達が財宝を分配していた。
「ははははは!ちょろい仕事だったな!まさかあの二人組あんなに弱いとはな!」
「世間で有名だから準備を怠らずに行ったというのに!とんだ茶番だ!ははははは!」
闇夜に響くバカ笑い。しかし、途端にその表情が凍りついた。
「…おい。誰かいるぞ」
それだけの判断ができるのならきっと彼らは優秀な盗賊なのだろう。
しかし。
有名どころに手を出すにはまだ早かった。
「以上、実況終了だ!『ジャストルッキングゴースト』!」
決め台詞と共に、バーン!と音を立てて扉を開ける。俺はここにいるのだが、きっと盗賊たちには別のところにいるように見えているのだろう。
手の届かないところ。すなわち、天井。
「う、うわぁ!飛んでるぞ!」
「なんだありゃ…ギャッ!」
遥か上を浮遊する俺に盗賊達が注目する。その間にセリスがモーニングスターでリーダーらしき一人をぶん殴った。その間に新しく術を詠唱し、浮遊している幻影を消す。
「『フリー・グリズリー』!」
その場に大きな熊を召喚し、縦横無尽に暴れさせる!混乱に乗じて熊とは反対方向から手にした杖をブン回す。それだけで屈強な盗賊たちは全滅した。熊を消すと、一人だけ気絶していなかったようで、呻き声を上げながら、最後の力を振り絞って俺たちに質問をする。
「な…何故だ…!お前らは俺たちが殺したはず…!」
質問に答えないのも失礼なので、タネを教えてやる。
「死んだように見せかけてただけさ。それともお前ら、俺の称号を忘れたのか?」
盗賊が半泣きで頷いた。おっと、俺たちまだ知名度低いのかな?
「俺の名は『幻術使いアッシュ』!ちょっとばかり経験値が足りなかったな!」
名乗りをあげると共に杖を頭に叩きつける。私のことは何にも言わないんだ、というセリスの視線を無視して奪われた宝石を拾っていく。これにて一件落着だった。
ーーーなお、使用した魔法は幻術だけである。
魔法の名前考えるのって難しいですね…