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6話―――澄也

遅くなってすいません、テストがあったもので……

ああ、明日もテストか…… 面倒臭い……

「さて、俺のいた世界に下りたいんだけど、どうやって行けばいい?」


俺とエディは城を出て門の前で話しているところだ。


「どこか端っこから直矢さんのいた世界をイメージしながら飛び降りればいいです。」


「分かった、行こう!」


「えーと……僕も行った方がいいんですか?」


「まあ、同じ職場で働くことになるから一緒に来たほうがいいだろ。それに、俺だけがいきなり押しかけて神になった!つっても信じないだろ。エディが一緒にいたほうがいいと思う。……まあ、あいつの場合俺だけでも説明すれば信じそうな気もするけどな、お前がいたら説明なしで納得するかもしれない。」


「なんでですか?」


「これから呼ぶのはな…… なんて言うか、頭が良いのか悪いのか分からねえ奴だ。」


「……どういう風にですか?」


「頭は切れるけど、変なところが抜けてたり、いきなりわけの分からんことを始めたり。まあ、要するに変人だ。たまに異世界転移しないかな……とか言ってるし。」


「なるほど……」


「で、来るか?」


「まあ、行きます。同僚ってやつになるんですしね。」


「じゃあ行こう。世界はもちろん俺のいた世界だ。」


「了解です。行きましょう!」


「じゃあ…… あそこらへんから降りりゃいいか?」


歩きながら市場の奥の方の崖(実際はふわふわした雲で覆われてて輪郭があやふや、崖でいいのか?)を指差す。


「そうですね、行きましょう!」


「じゃあ行こう。……飛び降りていいんだよな?」


確認無しで飛び降りるほど俺の度胸は据わってない!


「もちろん、行きましょう!」


エディが俺の背中を押す。


「うおっ!?」


めっちゃ落ちるーーー!


「ほら、行きたい世界を念じてください!」


「あ、ああ……」


忘れてた……

いや、でも安全だといわれていても、いきなり崖から突き落とされて落ち着いてるやついないだろ?

まあ、元いた世界へ!


視界が眩んだと思ったらそこは見慣れた家(道場)の前だった。

あ、言い忘れてたけど、俺の家は道場で、爺が教えてるんだ。当然俺もその指導を受けてる。


あー……この家を見るときつかった練習の記憶が蘇る……


「……なんで俺の家の前に出たんだ?」


「それはですね、直矢さんが思い浮かべたところがここだからです。あ、ちなみに僕は直矢さんの行く場所って言う条件を思い浮かべたので、一緒にこれたって事です。」


確かに俺は自分のいた世界を思い浮かべろって言われた時に、一番思い浮かべやすいこの光景を思い浮かべたからここに来るんだろう。


「なるほどな、じゃああいつん家に行くか。てか、俺のコピーが中にいるんだろ? 二人もいたらまずくねえ? お前もただでさえ目立つ顔立ちなのに、そんな格好してるし、羽まで生えてるし。」


「ふふふ、こういうときのためにこの天使の衣があるのです! あ、直矢さんにはこの神のマントです! これを着れば自分が見えて欲しくないとおもう人には姿が見えなくなるんですよ!」


マントを何もないところから取り出してエディが渡してきたので、マントを羽織った。


じゃあ、エディが来たときに一瞬思ったけど、爺を呼ばなくて良かった…… 何もないところを天使がいるっていうんだものな、頭がおかしくなったかと疑われるところだった。


「便利だな。そういえば、ふと思ったんだけど、あの変えちゃった服持って来て直せばよかったんじゃねえの?」


エディが『しまった……』という表情で固まる。


気付けよおい……


「まあ、行こうか。でも、見えないからっつっても、家に忍び込むのはきつくねえか?」


「大丈夫なのです、僕にはなんと……」


「……」


なんだか聞き返して欲しいらしく、目配せしてくる。


「……なんと?」


エディは満足したような顔で言った。


「ワープが出来るのです!」


「そりゃすごい。」


「……もうちょっといいリアクション取れないんですか?」


「いや、なんとなく使えんだろうなー、とは思ってたし。」


いろいろな人のところを回ってて、いきなり俺の前に現れたからな。何でも出来るとも言ってたし。


「……まあいいです、行きたいところを思い浮かべてください。そこにワープしますので。」


「分かった。」


何回も行ったあいつの部屋を思い浮かべる。


「じゃあ行きますね、はいっと!」


目の前がまた眩む、見えるようになるとそこはもうあいつの部屋だった。


パソコンが上を占領している机、本やらなんやらが散乱して足の踏み場のない床、その横にあるベッド、掛け布団がぐちゃぐちゃになっているその中で寝ているのはあいつ……澄也だ。


「起きろ-!」


言いながらベッドを蹴り上げるが反応しない。


「駄目だこりゃ、たぶんこいつ、寝て一時間くらい経ってしかないだろうな。」


「そうなんですか……?」


「ああ、こんなときは頭を蹴り飛ばすくらいしないと起きない。」


「ええー……おーい! 起きてくださーい!」


『シャキーン!』そんな効果音がでそうな勢いで澄也が起きる。


「起きましたよ! ……あれ? かわいい声で起こされた気がしたんだけどな……」


澄也が寝癖でぴょんぴょん髪がはねている頭をポリポリ掻きながら周りを見回す。


「はーい! ここですよー!」


「ぬお?! 寝てたらいきなり天使に起こされる…… これは……神になるフラグか?!」


俺も見えるようにしたはずなのに澄也はエディしか見ていない。


「……おい、俺もいるぞ。」


「天使でしょ?! 何しに来たの?!」


全く聞いていない。

こういうときは無言でキック!


「あだっ?! なんだ……? 直矢?! 何でいきなり俺のうちにいるんだ?」


「それはだな……」


説明するの面倒だな……よし、


「こいつと一緒に働きたくねえ?」


エディの肩を叩きながら言う。


「働きます!」


即答か……


「一緒にって事は、天使として働くの?」


「そう、俺の天使。」


「お前の下で働くのか?! てことはお前神?」


こういうときの頭の回転はさすがだな。


「なんかそうらしいな。朝いきなりこいつに起こされて、神にならないか聞かれたんだ。で、断ったら、神にされた。」


「何それ?!」


「いやさー、神になりたくない奴を連れて来いって言われてたらしくて、俺が選ばれたってわけ。」


「なるほどなー、確かにお前断るだろうな。まあいいや、とりあえず俺働くから!」


「……お前な、もう少し不思議に思ったり疑ったりしないのか?」


「俺はこういうことがあると信じてたし、もし嘘でも楽しそうだからOK!」


「なんじゃそりゃ……」


やっぱりこいつには俺が理解できないところがある……


「だってさ、毎日同じようなことの繰り返しで、もう飽きてるんだよ。授業とか退屈だし、どうせ就職しても結局飽きてくるでしょ? とりあえず、新鮮さでこんな突拍子も無いことには勝てないだろうし。だから、非日常を体験したいといつも思ってたんだよ。」


なるほど、まあ、矛盾しては無いな。


「……まあいい、行こう。」


「あ、そういえば名前は? 僕は澄也」


澄也がエディに言う。


「僕ですか? エディって言います! よろしくお願いします!」


「おー、エディちゃんか、よろしく!」


うーん……逆な気がする……


普通新人が敬語だろ?


「そういえばさ、お前、何でそれなの?」


ん? そういや寝巻き(着流し)のままだった。


「起こされてそのまま連れてかれたから? 全然気にしてなかった。」


「お前さ…… もうちょっと服装を気にしろよ……」


「んなこと言っても、服ってのはそもそも、外からの危害、寒さや物から身を守るためのものだろ? 何着たって、暖かいか、涼しいか、重いか、軽いかの違いじゃねえか。」


「それは昔だ! 今は自己主張のための手段にもなっているんだよ!」


「んなこと知らん!」


「知っとけ! てか、今知ったろ!」


「知ったけど知らん!」


「なんだよそれ!?」


「とりあえず俺は服で自己主張をする気はないってことだ!」


「しろ! てかしてるじゃん!」


「嫌だ! 面倒臭い!」


「何でだ?!」


「選ぶのとか面倒すぎる!」


「ぶっちゃけお前の服とかどうでもいい!」


「なら言うな!」


「OK!」


「っくくく……」


「どうした?」


いきなり笑い出しやがって……どうしたんだ?


「いや、面白いなって、くくく……」


「……どこが?」


「だって、漫才みたいな会話ですよ。っぷふふ……」


そうか……?


「まあいいや、どうやって戻るんだ?」


「ふふ、それはですね、戻ろうと思えば大丈夫です。あ、澄也さんは僕の近くに来て下さい。」


「分かった。」


「ほいほい、これでいい?」


エディの手をつかむ澄也、こういうことを自然にできるところがすごいよな……

俺には真似できん。


「え? あ、大丈夫です。行きましょう!」

やっと登場してくれましたよ、早く登場させたかったんですけどね……

こいつがいればボケと突っ込みのバランスが取れる……のか?

正直僕に分かりません……

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