5話―――最高神
「そちらさんは……始めましてかな?」
「始めましてだな。」
ゼノンとゼウスはどうやら一卵性らしかった。
そっくりだ。
でも、雰囲気が全然違うので、どっちがどっちだか分かる。
ゼウスは子供っぽい感じ、ゼノンは大人っぽい、しっかりした感じだ。
服は、ゼノンは軍隊の制服みたいな堅苦しい感じのを上着だけ着て、楽に着崩している。他は中にシャツを着て、下は普通のジーパンだ。ポケットからは鎖がジャラジャラベルト通しに伸びている。ゼウスは、もともとはゼノンと同じように着ていたのだろうが、門を上り下りするうちに消耗したのかぼろぼろだった。
「名前は? 俺はゼノン。」
「直矢だ。あんたも門番か?」
「正確に言うと門番じゃない。まあ、同じようなものだけどさ。」
「じゃあ、なんなんだ? 警備兵とか?」
「そうそう、称号は城内警備隊長」
「警備隊長って、すごいんだな。」
「大したものじゃないさ。ちなみに、ゼウスの称号は城門警備総隊長」
「そっちの方がすごく聞こえるんだけどな。」
「階級としては俺の方が上、総警備隊長から城内警備隊ってのが普通の出世コースだ。でも、こいつは城門が気に入ったらしくて、昇進を蹴り続けてるんだ。まあ、俺もこれ以上の昇進は面倒だから、蹴ってるけどね。」
昇進蹴るとか、すごいな。今のところが一番楽しいって感じか。
「そりゃすごいな。で、入っていいのか?」
「多分いいけど、一応用件を確認する、用件は?」
「仕事の報告です。」
「何の仕事?」
「カミサマ候補を探して連れて帰る事です。」
「で、この直矢さんがカミサマ候補と。」
「そういうことです。」
「なら通っていいよ。でも、知ってると思うけど、城の中では俺の隊が見張りに付くから。」
「分かりました。」
「俺も通っていいんだよな?」
「もちろん。だけど、くれぐれも疑われるような行動はしないように。」
「しないさ。」
「じゃあ、行きましょう!」
「ゼノン、門はどうするさ?」
「少し早いけど、もう開門って事でいいだろ。とりあえず通る奴は止めて、用件を聞けよ?」
「了解さ!」
「こいつは返事はいいんだがな…… まあいいや、行こう。」
「分かった。」
「さっさと行って、ご飯にしましょう!」
「ん? エディ、腹減ってるんさ? だったらこれやるさ!」
ゼウスがなんだか、とても毒々しい木の実を差し出す。
黒い地に赤の斑点という、かなり危なそうな木の実だ。大きさは手の平くらい。
「え? あ、うぬぬ……」
「そんな毒々しい色の木の実で悩むんじゃない!」
「いや、でも、うーん……」
「言っておくけど、それ、滅茶苦茶苦いよ? 一応毒はないけど。」
「苦いんですか……」
「ていうか、こんなもの、どこで取れるんだよ? 天国には生えてなさそうなんだけど。」
「これは、俺達のもともといた世界のものでさ、こいつが好きだから最高神様に無理言って持ってきて、この世界で育ててるんだ。」
「そうですか。まあ、遠慮しときます……」
「そうか? 美味いのに……」
「いや、不味いって。まあ、お腹減ってるなら、早く終わらせて食べに行きな。僕は今食べ物持ってないんだ、ごめんね。あとでおごるよ。」
「いや、全然いいですよ。貰うなんて悪いですし。じゃあ、行きましょう!」
「それは僕におごらせてよ。じゃあ、行こうか。」
「俺も腹減ってきたから、さっさと終らせよう。」
門の奥は庭らしきものがあって、その奥に城が建っていた。
庭には花が咲き誇っていたり、青々とした芝生があったり、城が真っ白だったりと、まさにメルヘンの境地という感じだった。
「滅茶苦茶メルヘンだな。」
「そうですねー、天国ですからね。」
「天国=メルヘンか?」
「俺は違うと思うよ。」
「だよなー」
「そうですかー? まあ、いいです、早く行きましょう!」
「ちょっと待って、えーと、召還用の笛は、と……」
ゼノンが鎖が出ているポケットの中を探す。
「あった、これだ。」
ピィィィ!!
ゼノンが取り出した小さい笛を吹き鳴らす。
少し待つと、ゼノンと同じ上着を着た警備員らしき奴らが集まってきた。人数は、3人くらい、男2人、女1人だ。男は、武人って感じの体の大きいやつと、冷静そうなので、女は、スレンダーな美人だ。
女が近づいてきた。
「どうしましたか?」
「久しぶりに見張りの仕事だよ、見張るのはこの人達。」
そう言って、俺とエディの事を手で示す。
「分かりました。これが終った後にお食事でも……」
「ごめんね、先約がいるから。」
「何したんだ?」
「うちの隊員を呼んだんだ、城の中のどこにいても、隊員全員に聞こえるようになってる。」
「便利だな。」
「まあ、こういう召集の時には重宝するよ。どこで召集されたかも分かるしね。」
「お腹へりましたぁ……」
「エディちゃんがお腹減ってるみたいだし、さっさと行こうか。」
「だな。」
「行くよ!」
「了解っす。」
「分かりました。」
「分かりました、ゼノン様。」
上から、武人、冷静、美人だ。
「様なんてつけないでくれ……」
ゼノンが苦笑いしながら言う。
「そうですか、ではなんとお呼びすれば?」
「前にも何回か聞かれた気がするんだけどな…… ゼノン隊長でいいよ、難なら呼び捨てでもかまわないし。」
「わかりました、ゼノン隊長。」
「はぁ、行こうか。」
その後すぐに螺旋階段を登って、一番上まで来た。
そこから10分くらい歩いて大きな扉の前に着いた。
「……でかいな。」
その扉は高さが3メートル位、横が二メートルくらいあった。
「無駄に大きいよね。この奥に最高神様がいるから。僕達はここで待つから、入って。」
「作法とかないのか?」
「特にはないよ。でも、最高神様に攻撃的な態度をとるのは良くないと思うよ。」
「まあ、いいや、普通にしてりゃいいんだろ?」
「まあ、そうだね。」
「じゃあ、入ろう。」
「了解でーす!」
中は一言で表すのなら、『謁見の間』という感じだ。
そのまんまだな。
真っ白な床にワインレッドの絨毯、無駄に長い絨毯の奥に玉座(神座か?)があって、そこに座っていたのは……
ちっこい子供だった。
服は大きい布が巻きついている感じ、でも、なんだか服っぽい。
「えっと、お邪魔します?」
「こんにちわー!」
軽いな!?
「おー、久しぶりー! カミサマ候補見つかったの?」
「見つかりましたよー! 直矢さんです!」
「どれどれ? 直矢君? ちょっとこっち来てくれない?」
「え? ……いいですけど?」
「そんな緊張しなくていいからさー、リラックスして、ほらほら。」
「……じゃあ、普通にしても?」
「ぜんぜんOK、敬語なんかも使わなくてもOKだからー」
「じゃあ、遠慮せずに普通に話させてもらうし、正直言うと、緊張してるというか、あまりに軽いんで拍子抜けしたって感じなんだけど。」
「まあね、僕が軽いって言うのは初めての人には言っちゃだめって行ってるしね、人の驚く顔を見るのが面白くてさ。」
ハハハと笑う最高神
「なんで子供なんだよ?」
「いやー、子供目線の方が物事楽しいからさ! 別に大人にもなれるけどね!」
ぐんぐん背が伸びて俺より年上に見えるくらいで成長が止まった。
巻きついている布も大きくなってるのか、服が小さく見えたりなんて事はない。
「どう?」
「いや、普通に大人だと思うけど……」
「で? どうなの? カミサマになりたい?」
「なりたくなかったけど、今は後戻りできるんだとしても戻りたくない。」
「なんで?」
「色々と約束したから。」
「へー、そうなんだ、じゃあいいよ、カミサマ認定!」
「え? こんなんでいいのかよ?」
「いいのいいの、嘘をついたら分かるようにしといたからね、嘘をついてないってわかったからいいんだよ!」
「まあ、いいならいいけど……」
「で、詳しい話をするんだけど、君には世界を創ってもらうんだ。」
「世界を?」
「そう、世界を創るの。で、意外と複雑なんだよねー、世界創るのって。」
「いやいや、世界創るってそんなお手軽に認識してないから。」
「そう? まあいいや、そうだねー、君、機械とか苦手でしょ?」
「超苦手だな。」
「世界創るのってねー、君の世界で言うゲーム作りと似てるんだよねー、だから、機械が苦手な人は機械に強い天使を連れて行くんだけど、ちょうど今いないんだよねー、心当たりある? スカウトしちゃうから。」
機械か……
あいつが適任だな。
「心当たりあるよ。仲いいし、誘えば来ると思う。」
「おお! じゃあすぐに呼んで来な!」
「分かった、天使って何人まで持てるんだ?」
「最初は二人まで、そこから持つ世界が一つ増えるたび一人増やせるって感じだよ。」
「じゃあ、今からつれてくるのとエディにするよ。」
「本当?! いやー、ついにエディちゃんも売れるかー! 良かったねー!」
「良かったですよー! 本当にいいんですね?!」
「ああ、いいよ。じゃあ、天使候補連れてくるわ。」
「いってら~」
最高神登場です!
最高神は楽しければOK!って性格です。




