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4話―――門

エディに案内されて城の周りを歩いていく。

城が大きいので、建物の入り口に向かっているだけと考えると遠い。


「何回も思うけど、でかいな。日本の城とかの3倍くらいあるんじゃねえの?」


「そうですねー、でも他の世界にはこれよりももっと大きいのも沢山ありますよ。それに比べると小さく見えますよ。」


「それは、城と言うよりもう、要塞じゃねえか?」


「そうですねー。」


ググーッ!


エディの腹が盛大に鳴った。


「ふふっ、さっさと行って飯食おうか。」


「あ、笑いましたね?!」


「いやー、元気のいい腹の虫だなと思ってな。」


「うう……」


恥ずかしくなってきたのか赤くした顔を手で隠す。


「ほら、早く飯食いたかったら早く歩け。」


無言で顔を赤くしたまま隠していた手を離して照れ隠しのように大股で歩いて行く。


そのまま5分くらい歩くと今度は逆に話さないのが気まずくなったのか、話しかけてきた。


「直矢さんって、好きな食べ物ってなんですか?」


「好きな食べ物? そうだな……特に無い。本当に好き嫌いないんだ。あえてあげるなら……白い飯だな。」


まあ、今になると、好き嫌いあるよりよっぽどいいから、その点は爺に感謝だな。


「ええー、嫌いなものは無くても、好きなものって、あると思うんですけど。」


「だから、白飯だって。」


「味無いじゃないですか。」


「お前な、米にだって味があるんだよ。今度しっかり噛んでみろ、ほんのり甘いから。」


「でも、おかずと合わせて食べるのが王道ですよ!」


「そりゃそうだ、俺もそれは分かるが、米にも味はある。」


「じゃあ、おかずは?」


「うーん……たくあん。」


「地味っ!」


「うっさいな! 俺は漬物が好きなんだよ! 文句あるか?!」


「いや、無いですけど、たくあんって」


フフッとエディが笑う。


「笑うなよ!」


「すいませんでしたー、じゃあ、好きな飲み物はなんですか?」


「……麦茶」


エディが顔を赤くして笑いをこらえる。


「……おい、肩震えてんぞ?」


「いや、だって、っぷわははは! やっぱこらえるの無理ですよ! あはははははは!」


「お前な、もうちょっと静かにしろよ」


「いや、ふふっ、だって、麦茶にたくあんですよ! っふふふふふふ!」


「……はあ。」


このままだとあまりにうるさいので、ちょっと静かにさせよう。


チョップ!


「うあ! 痛いですよ、何するんですか?!」


「うるさかったからな。今、朝なんだろ?」


「そうですよ。朝、5時半くらいです。」


「早くねえか?」


「僕が下界したに降りたのが4時、直矢さんの世界はここの倍のスピードで進むので、ここに戻るまで、2時間働いたって事です。」


なるほど、つまり、俺のいた世界の半分のスピードがこの世界のスピードだから、2時間働くと、戻ったときには1時間進んでるってわけだ。


「まあ、朝起きて、何も食わずに2時間働きゃ腹も減るか。」


「そうなんです! もう、おなかが減って減って、大変でしたよ。」


「じゃあ、なんで鬼灯はこんな時間にいたんだ?」


「朝の散歩が日課らしいですよ。」


「へえー、そうなんだ。俺も今度やってみようかな。」


「僕は決意した次の日に起きようとして、睡魔に負けて二度寝しました。」


「お前、それって、三日坊主とか、そういう問題じゃなくて、そもそもやってねえじゃねえかよ!」


「だって、眠かったんですよ。別に無理すること無いかなー? なんて思って寝ました。」


「おいおい、もうちょっと頑張れよ……」


「そんな事言ったって、眠いものは眠いんですよ。ああ、こんな事話してたら眠くなってきました…… ふぁわあ……」


言ってからあくびをする。


「まあ、いいけどよ。」


「そういえば、じゃあ、趣味ってあるんですか?」


「趣味ぐらいあるさ。」


「どんな趣味ですか?」


「……なんだっていいだろ。」


「気になりますよ。それに、僕を選んでくれたらお互いを知らないと駄目じゃないですか。パートナーになるんですよ?」


「……じゃあ、言うけどよ、笑わねえ?」


「んー、内容にもよりますけど、努力します。」


「本当だな? 趣味は、将棋と古本屋巡り。」


「古?! っくく!」


「笑わないつったろうが!」


またチョップ!


「あた! いや、だって、古、古本って…… っぷはは! すいません、堪えるのは、っくく、無理です。っくくく」


「ったくよ……」


まあ、正確には笑わないじゃなくて、笑わないよう努力する、だから嘘はついてないけどよ、仮にも天使が神を笑うってどうなんだ?


「はあ、はあ、笑い疲れちゃいました。もうそろそろ着きますよ。」


「……そうか。」


「そんなに怒らないでくださいよー! 直矢さんだって、僕の事、笑ったじゃないですか!」


「分かったよ。確かに俺も笑ったから、そこまで言えないしな。それに、笑わない、じゃなくて、努力する、だったから、嘘をついたともいえないしな。」


「そうそう、別に嘘はついていないのですよ!」


「そこで調子に乗るのがお前の悪い癖だ。」


軽く頭を小突く。


「次から気をつけます!」


「それならいい。」


「っと、着きました。」


「いやー、正面から見るとさらにでかく見えるな。」


馬鹿でかい門があった。

装飾はあまりされてない、実用的って感じだ。でも、なんだか、神聖な雰囲気がある。鉄の鋲がところどころに打ち込まれて、そこから鎖が垂れている。

高さは……10メートルくらいか?高すぎてよく分からん。

横幅は両方合わせて6メートルくらいだ。

これは、人力じゃ無理だな。車輪でも使うのか? それとも、神の力?

見た目は木で出来ているように見えるけど、実際何で出来ているかわかったもんじゃない。なんせ、神の城だ、見た目木で、実際、めっちゃ硬い金属、って事だって全然ありえる。具現化とやらを使えば余裕だろう。


「そうですね、なんだか、頼もしいですよね。さっさと行きましょう、朝ごはんが待ってます!」


確かに頼もしいな。威圧感と言うより安心感だな。まあ、それよりも神々しさが勝つけど。

そこは神の城ってとこか。


「お前の原動力は食欲かよ。」


「それ、最高神様にも言われました。」


マジか、結構気が合うかもな、最高神。


「どうやって入るんだ? これ。」


誰かに言って開けてもらうんだろうけど、人が見当たらないけどな。


「係の人を呼ぶんですよ、おーい! 降りてきてくださいよ!」


誰に言ってるのか、上に向かって叫ぶ


「ほいほーい! 今行くぞー!」


なんか、ハスキーな男の声が聞こえてきた……

と思ったらなんかが落ちてきた。


「っと、何の用さ?」


人だったのか?

てか、無事?


「ゼウスさん、上に行ってたら、呼ぶのが大変ですよー」


ゼウスとやらはいわゆるイケメンだった。

こう、人が良さそうな、明るい感じの。

てか、ゼウス?! たまたまか?

ギリシャ神話とは何も関係ないのか?


「いやー、んな事言っても、こんな早くに来るとは思わなくてさー、上でのんびりしてたんよ。」


「おいおいおい、状況をつかめないんだけど、あんたは…… 門番?」


「そそ、俺門番。」


「何で落ちてきたんだよ?」


「落ちた? 違う違う、降りたんさ。」


「降りた? まあ、確かに完璧なフォームの着地だったけど、降りたっつう事は、わざわざ登ったのかよ?」


「そゆこと。登ったんさ。俺、高いところが好きなんさ。」


「どうやって?」


「あの鎖みたいの登ったんさ、他に方法あるか?」


確かに鎖を伝っていけば上には行ける。でも、無茶すぎるだろ?


「無いと思うけどよ…… 何で登ってたんだよ?」


「楽しいから。さっきも言った通り高い所が好きなんさ。」


「なんで無事なんだよ?」


「なんでかって? 昔から登ってるからさ、小さい頃から木に登って遊んでたんよ。」


「いくら練習しても、あの高さから落ちるとただじゃすまない気がするんだが。」


「いやいや、人間やれば出来るもんなんさ!」


やれば出来るの範疇を超えてると思うんだけどな……


「で、何の用さ?」


「城に入りたいんですよ。」


「何でさ?」


「仕事の報告です。」


「じゃあ、最高神様に用事?」


「そうです。」


「今いるんかな? ちょっと確認取るさ、そこで待ってて。」


そう言ってゼウスはひょいひょい門を登って行った。


「ゼウスって名前だけど、ギリシャ神話と関係あるのか?」


「関係ありますよ、大ありです、本人なんですよ!」


「本人?! じゃあ、カミサマって事か?」


「いえ、それが違うんですよ。なんと、電気で異世界へのゲートを作ってしまったんですよ!」


「何?! あの、頭の軽そうなのが?!」


「たまたまですから。なんか、双子のお兄さんと魔法の練習をしていたら、なにかの拍子にゲートが出来ちゃったらしくて、それに一緒に吸い込まれちゃったらしいんですよ。」


魔法?


「やっぱり他の世界には魔法がある世界もあるのか?」


「ありますよ。というか、ない世界の方が珍しいです。」


「そうなんだ。で、吸い込まれた後どうなったんだよ?」


「吸い込まれた先が直矢さんのいた世界みたいですね。その後に、魔法を使って暮らしているうちに神として崇められちゃったみたいです。お兄さんの方は目立たないようにしたので、崇められなかったみたいですけど、ゼウスさんは目立ちまくったので、崇められちゃっとみたいです。」


「へー、そのお兄さんの名前は?」


「ゼノンさんです。」


「確かに聞いたことないな。じゃあ、なんでその二人はここにいるんだ?」


「あまりに派手な行動なので、カミサマに目を付けられて、最初は削除する予定らしかったんですけど、最高神様がそれをかわいそうだからと止めて、それに納得しないカミサマたちを納得させるために、強いからと言う理由で警備隊に入れたらしいです。」


「へー、最高神サマ、優しいじゃねえか。」


ま、じゃなきゃエディの面倒を二年も見てくれねえか。


「あ、今僕の悪口考えなかったですか?」


「まあ、少し思ったが、悪口と呼べるものじゃない。」


「まあいいですけどね。あー、おなか減った……」


「まあ、もう城なわけだし、もうちょいだろ?」


「まあ、そうですね、朝ごはんまでもうちょっと頑張りますか!」


やっぱりこいつの原動力は食欲だ。


「ゼウスさん、まだですかねー?」


「一番偉い奴がいるかどうか確認してんだ、多少時間かかってもおかしくないだろ。」


「そうですね、でも、質は別として、仕事の早さは凄いんですけどね……」


質は別かよ。

まあ、適当そうな感じはするな。


「じゃあ、そろそろ来るんじゃねえか?」


「そうですねー、僕の胃のためにも、早く来て欲しいですね。」


ん? なんか、今、エディの声以外に声が聞こえた気が……


なんて思っていたらまたゼウスが落ちてきた。


「っととと、着地がぶれたさ。おーい、ゼノンも早く来るさ!」


門の向こうからゼウスと同じ声が聞こえた。


「とりあえず用件聞いとけ!」


「了解さー! って、それはさっき聞いたさー!」


「それを先に言えよ! どんな用なんだ?!」


「最高神様に仕事の報告さー!」


「天使か?!」


「そうさー!」


「ならとりあえず通そう! 門開けるぞ!」


「了解さー!」


そういって、ゼウスは門の脇の敷石の一つを上げた。その下から巻き上げ機のようなものを引き上げ、引き上げた巻き上げ機が落ちないようにもう一つの敷石をスライドして巻き上げ機の下に入れた。もう片方の脇も同じようにしてセットする。それに門から垂れている鎖をつなげる。


「こっちは準備終わったぞー!」


「こっちも終わったさー!」


「じゃあ行くぞ! せーのっ!」


「ほいさ!」


掛け声に合わせてゼウスが巻き上げ機のレバーを片方下ろすとあの大きな門がガラガラ音を立てて片方開く。


「もう一つ行くぞ! せーのっ!」


もう一つのレバーも掛け声に合わせて下ろすともう片方も開く。


「ふう、さすがにこれは少し疲れるさ。」


「だな。エディ、久しぶり、そちらさんは……始めましてかな?」

ゼウス登場です!

そしてゼノンもちょっと登場!

直矢の趣味は頑固爺の矯正により、かなり地味なものになってます。

エディは結構笑い上戸ですね。直矢の趣味が笑いのつぼにクリーンヒットだったんでしょう。

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