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3話―――鬼灯

誤字脱字や矛盾点の指摘、アドバイス、感想等、常時募集中です。

よかったら何か書いてくれると嬉しいです。

「ここから歩いていきますよ。」


市場に着いた。


「飛んでいったほうが速くねえか?」


「飛んで行くと、警備に引っかかるので駄目なんですよ。」


「警備なんているのか。」


「飛んで城に特攻されると困りますからねー。」


「なるほど。」


「でも、緊急の時に飛べないと不便なので飛べなくしては無いんですよ。」


「ん? どういうことだ?」


「えーとですね、神の権限って言うのは、自分の世界での具現化能力の事です。最高神様もカミサマも使えます。」


「具現化能力?」


「具現化能力とは、想像した事を全て実現できるというとてもすごい能力です! 天使は使えているカミサマの世界で、許可された範囲の具現化ができます。」


「凄えな。大体なんでもできるじゃねえか。」


「カミサマですからね。」


「だよな。何で最高神様はカミサマを増やすんだ?」


「さあ…… 別に誰かが抜けた代えってわけじゃないですしね、世界が増えたからカミサマを増やす、と言うよりはカミサマが増えたから世界を増やす、って感じですし。」


「まあ、分からんか、任務で帰る途中に昼飯の事で頭がいっぱいの天使には最高神の考えてることなんて。」


真面目な顔でエディが小声で言ってきた。


(あ、ちょっと、様をつけないと不味いですよ。)


俺、別に最高神に畏敬とか、そういう感情持ってないからなー、むしろ勝手に連れて来られたんだから、あるとしたら怒りだろ?

まあ、最高神サマの怒りを買っちゃ不味いんで、建前だけは繕っとくか。


(ああ、以後気をつけるよ。)


「っと、着きました。」


「近くで見るとさらにでかいな。」


城の周りにはベンチっぽいのが置かれて、城自体はなんか、そのー、ふぇみにん、って言うのか?そんな城だ。


「とりあえず入りましょう。」


「なんか中で気をつけなきゃならないことってあるのか?」


「いや? 特にはないです。日本で偉い人に接するようにしとけばいいです。」


「お前、その格好でいいの?」


エディはまだスーツのままだ。まあ、こんな事いっても着替えられないらしいけど。


「あ、そうか! どうしよう…… ちょっと買ってきますね! そこのベンチで待ってて下さい!」


「ちょ! 金は? 持ってるのか?」


「経費で落とします!」


「おいおい……」


てか、おっさんが天女の衣とか言ってたけど、天女の衣って、簡単に変えるもんなのか?

それに、もしかしたら仕えることになるかもしれない奴を置いて行っていいのか?


はー、まさか神になって待たされるとはな……

暇だ……

寝るか……


「ねえ、君、カミサマなの?」


「え? 俺?」


ん? 寝転がって目を瞑ってすぐに綺麗な姉ちゃんが話しかけてきた。

……この文章デジャヴ。

まあ、いいや。どんな感じか、って言うと……

なんか、エディとは違う感じで、エディは「美人」「女の子」って感じが強いのに対して、この姉ちゃんは……なんて言うんだ? 「ぼーいっしゅ」っていう感じだ。


「そうそう、君だよ。」


「だよな……」


ここには俺とこの姉ちゃんしかいない。


「で、どうなの?」


「んー、なんつーか、なりかけ?」


「何それ。」


「スカウトされて、最高神サマんとこに行くところだ。」


「なるほど…… スカウトした天使は?」


「なんか、天女の衣買いに行った。経費で落とすらしい。」


「っく! なにそれ? 変なの! 僕の知ってる子に似てる。」


姉ちゃんが笑う。


「やっぱりあいつ変だったか…… あんたはなんなんだ?」


「僕? カミサマだよ。君、名前は?」


「そういう時は自分から名乗るんじゃなかったか? まあいいや、俺は直矢、あんたは?」


「そうだね、自分から名乗らなきゃね、次から気をつけるよ。僕は鬼灯っていうんだ。」


鬼灯……?


「鬼灯って、鬼に灯すの?」


「そう、変でしょ?」


確かに女の名前にしちゃ厳ついな。


「俺はいいと思うけどな、なんか合ってる気がする。」


「そう? そんなこと言われたの初めてだよ。ていうかさ、日本名?」


「そうだ。」


「あー、多分同じ世界出身だね。こんな感じでしょ?」


そう言って鬼灯は肩に掛けた鞄から紙とペンを取り出して日本列島を書きだした。


「そうそう、世界はこんな感じでな。」


ペンを借りて他の大陸を書く。


「そうそう、そんな感じ! 僕さー、他のカミサマはぎすぎすしてる人が多くて、気が合う人少ないんだよね、君がカミサマになったら友達になってくれる?」


「俺が? 別にいいけど、俺は自慢じゃないが、気難しいだの、面倒臭いだの言われたけど?」


「別にいいよ、僕も同じようなもんだしさ。」


「ならいいけど。」


「おーい! 買って、いや、調達して来ましたよー! 時間かかっちゃってすいません!」


エディがしっかり背中おっ広げた天女の衣を着てきた。


「あ! エディちゃん!」


「え?  あ! 鬼灯さん!」


「知り合いだったん?」


「そう、さっき言った知ってる子って言うのもエディちゃん。」


なんかエディにちゃん付けって、似合わない気がする……


「なんで直矢さんが鬼灯さんと話してたんですか?」


「僕がそこのベンチで直矢君が寝てるのを見て声を掛けたんだ。ベンチでゴローっとしてる神様なんて珍しいからね、しかも神城しんじょうの前で。」


「確かにいませんねー。何で寝てたんですか?」


「お前が勝手に買い物しに行って暇だったからなー」


「そんな言い方すると僕がサボったみたいじゃないですかー!」


「違うの?」


「違いますよ!」


「でも、自業自得だろ?」


「う……」


「ほら、言い返せない。」


「そんなにいじめないであげなよ……」


「まあ、その言葉に免じてこのくらいにしとく。良かったな。」


「それはそうと、何でエディちゃん、天女の衣なくしたの?」


「なくしたと言うか、変えちゃったと言うか……」


「何に?」


「これです。」


エディが例のマジシャン服を出した。


「何で変えたの?」


「いやー、それは……」


「こいつが調子に乗って変えたんだ。」


「あ、ちょっ! 言ったら駄目ですよ!」


「あー…… やりそう…… はぁ、エディちゃん!」


鬼灯が怒鳴った。


「はいぃ!」


おー、よく調教されてるな、怒鳴られた瞬間、空中で正座の体制になってストンと落ちて座った。


「決まりで駄目っていわれてることは守らなきゃ駄目でしょ?」


「はい……」


「どうせまた勝手に具現化使ったんでしょ?」


「はい、その通りです……」


めっちゃきいてる、鬼灯パワーすげー


「もう…… そんなんだからいつまでも直属なんだよ。」


「う!」


「もう二年でしょ? 普通は2月くらいなのに……」


普通の12倍……


「ぐ!」


エディが苦しげに胸を押さえる。


「いまだに新人の子より失敗多いし……」


「うぎゃ!」


エディの心に鬼灯の言葉のナイフが突き刺さる。

エディの心はもう言葉のナイフでハリネズミになってるんじゃないか?


「はぁ、次から守るんだよ?」


「はい……」


こんなに見てて面白い説教初めてだな。


「何で二人は知り合ったんだ?」


「それはですね……」


「僕が話すよ。最初に会ったのは向こうのレストランでね、その時、エディちゃんはそこでバイトしててね、僕は客として会ったんだよ。」


天使がバイトって……


「そこで例のごとくエディちゃんが失敗してさ、」


例のごとくかよ。


「例のごとくって、ひどくないですか?!」


エディが正座したまま言う。


「今まで天使になってから何回最高神様に怒られた?」


「それは…… えっとですね……」


「二桁行ってるでしょ?」


「えーと、まあ、そのー…… 行ってますね……」


「いい? 最高神様に怒られるって、かなりの事なんだよ? それが二桁って、不味いからね?」


「あう…… 分かりました……」


「まあまあ、説教もそのくらいにしといてやれよ、こいつもやろうと思ってやってるわけじゃなくて、極度のドジ体質なだけなんだからよ。」


「極度……」


さすがにエディのメンタルがへこたれてきてるな。


「そうなんだけどね……」


「でも、エディは優しいからな、そのドジ体質をおぎ……」


補って余りあるとか言おうと思ったけど、どうなんだ?

確かに他に類を見ない、かなり真っ直ぐな奴だとは思うけど、どうなんだ?

まあ、補えるか。仕事ができても人間出来てない奴よりよっぽどましだろうし。


「補って余りあるいい性格だ。」


「一回途切れたのが気になりますが、そういってもらえると嬉しいです! 頑張る気が出てきます!」


「まあ、お人よしとも言うがな。」


「うあ!」


またエディが胸を押さえる。


「まあ、いいや、話の続きは?」


「まあいいの……? それじゃ話すけど、まあ、その時僕に水をこぼしちゃって、滅茶苦茶エディちゃんが謝って、その時僕はカミサマになりたてだったから知らなかったんだけど、カミサマって、やっぱり世界を管理してるわけだから、この世界でも身分が高いんだ。だから、そんなに偉い人に水をこぼしたなんて事で店長らしき人まで出てきて土下座までするの、そんなにしなくていいって、何回も言うとやめてくれたんだけどさ……」


「で、どうなったの?」


「それで、後になってまたエディちゃんが謝りに来てくれてさ、そこから友達になったんだ。」


「なるほどな、鬼灯との出会いのきっかけはエディのドジと」


「そうそう。」


「そろそろ行きましょうよー。」


「ああ、分かった。でも、そんなに急ぐことあるのか?」


「いやー、お腹減ってきちゃってですねー、早いところ済ませて朝ごはんを食べたいなー、なんて。」


「「はぁー」」


鬼灯と一緒にため息をつく。


「ん? 僕が何かしました?」


「そういえばさ、その僕って言うのは、鬼灯の影響なのか?」


「そうなんですよ、かっこいいなー、と思って真似してみたらそのうち自然になっちゃって。変ですか?」


「いや、別に変じゃないけど、珍しいから。」


「まあいいや、行きましょう!」


「そうだな、俺も腹減ったし、行こう。鬼灯、じゃあな。」


「じゃあね、って言うか、今日は滅茶苦茶暇だからここで直矢君の真似して寝てるよ。終わって出てきたら起こしてねー、おやすみー。」


そう言って本当に鬼灯は寝てしまった。

いいのか? 年頃の女の子がこんなところで無防備に寝て。

てか、もう寝てるし、寝るの速いな。

まったく、腹出てるし……


「おい、エディ、そのスーツ貸せ。」


「これですか? 別に使わないのでいいですけど……?」


エディから受け取ったスーツの上着を鬼灯にかけてやる。

ズボンとかは畳んで枕にする。


「優しいとこあるじゃないですかー!」


「うっせーよ。さっさと行こうぜ。どっちだ?」


「分かりましたー、こっちです。」

他のカミサマ登場ですね。

お給料とか、身分とか、レストランとか、神ならいらなくね? 具現化で出しゃいじゃん、と思っている人がいるかもしれないので、補足をしますと、まず、神の世界では最高神しか具現化できないんですね。なのでお金が必要なんです。

もちろん、他の世界のものは持ち込めないです。じゃなきゃ自分の世界で作って持ってくればいいですから。


それに、カミサマや、カミサマに仕える天使なら自分の世界で食事すればいいですが、別に最高神の世界にはカミサマや天使以外にも住んでいる人がいるんですよ。(鬼灯の話で出てきた店長とか)その人達は、平民と呼ばれています。

その人達の上にカミサマ、その上に最高神って感じです。

そこから天使になる人も出てきます。

希望制じゃなく、指名制ですがね。(最高神が選びます。)

他にも、カミサマをスカウトするように下界したの人間から選ぶ事もあります。


カミサマの選び方も基本的には天使と同じです。

違うのは、カミサマの子もカミサマになれることです。

これには最高神は基本的に干渉しません。

なので、金持ちのボンボンみたいなカミサマが出てくるわけです。

最高神は、自分基準で、清い心の人しか選ばないので、一代目は基本的にいい人なんですけど、その次の代からどんどん劣化してきます。

いい人の子供はいい人という訳じゃないですからね。


なんだか長々と設定の話ばかりしてすいません。

本当は本編で分かるようにしなきゃならないんですけどね……

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