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9話―――リラさん

遅くなってすいません、これから頑張りますので……

「連れてきたぞー!」


「お、早いね。お帰りー。」


見張りを付けられて、城の廊下を歩き、今は最高神の部屋だ。


「何故にお前は寝ているんだ……?」


そう、最高神はどこから出したのか、ベッドの上で寝転がっている。


「ん? 眠いから寝てた。 子供の体だとすぐ眠くなっちゃうから不便だよねー……」


「お酒はお飲みになりますけどね。」


「げっ! リラ! いつの間に?!」


いつの間にもなにも、元からいたよ……


しっかりした感じの端整な顔立ちをした眼鏡をかけた天使が最高神の後ろに俺が部屋に入った時から立っていた。


「えーと、最高神様がベッドを出した時あたりからいましたね。」


「マジかよ……」


「で、仕事中に昼寝とはどういう了見ですか?」


「あ、いやさ、これはさ、あのー……眠かったもんで……」


「具現化で眠気なんて吹き飛ばせるでしょう……それに、そんなに眠いのなら夜に宴へ行かずに早く寝ればいいでしょう……」


頭が痛い……、という風に手を額に当てるリラさんとやら。


「そうなんだけどさー、やっぱ仕事中って暇じゃん? 何もしないなら寝たほうがいいなー、なんて……」


「それならもう少し仕事を増やせばいいでしょう……今なんて、カミサマ、天使の任命くらいしかしてないじゃないですか……」


「いやいや、市場の見回りだってしてるさ。」


「見回りという名の散歩……でしょう?」


「同じようなものじゃんかよー、気にしちゃ駄目だって。」


「最高神様、自分の興味あることに夢中で周りを全く見ていないじゃないですか……あれは見回りとは言いません!」


「えー……」


「まあ、仕事してください。しないと……」


うお! 殺気が一瞬ブワッと……


「分かったって! やるやる! ……コホン、で、そこの眼鏡クンが?」


「そうだ。お前、ゲームのプログラミングとか得意だったよな?」


「大得意! ……でもなんで?」


「何かなー、世界を創るのって、そういうのに似てるらしい。」


「なるほどー、じゃあ、解釈によっては直矢の言うオタクが実は神に一番近い?! 俺ゲーム作っちゃってるし!」


「いや、それは無いと思う。言うならば、お前は……紙だな、ペラッペラの。」


「なん……だと……?」


これを澄也が言うのは何回目だろう……


「いやいや、ある意味、パソコンの中に世界を創ってるわけだからね、結構近いかもよ?」


「マジでか?!」


どうやら澄也はマジだとは思っていなかったらしい。


「マジマジ、まあ、これはいいとして、似てるわけ。で、そういうとこを補助してもらいたいんだ。」


「なるほど、楽しそうだ!」


「そりゃ良かった。あ、そうそう、カミサマの能力の説明をするね。カミサマが使える能力は一つ! 具現化だよ!」


「具現化?」


「そう! これはもう、すごくてね、想像を現実にすることができるのさ!」


「そりゃすごい。」


何でもできるじゃねえか。


「で、詳しいことを話すとだね―――」


最高神の説明も長くて面倒だったので簡潔にまとめると、


まず、具現化にはランクがある。高いランクから、


1ランク、2ランク、3ランク……となるらしい。


具現化で矛盾が起きた場合、ランクが高い方が優先される。1ランクで何でも貫く矛を創ると、2ランクで創った何でも防ぐ盾を貫ける、ってことらしい。ランクが同じなら、先に使った方が優先される。ちなみに俺がもらえるのは2ランクらしい。1ランクは最高神しか使えないようだ。


そして、具現化が使えるのは自分の世界、持ち主のカミサマ(最高神の許可でもOKらしい)に許可された世界のみ。そして、自分の世界で具現化の使用を許可する場合、自分より低いランクしか許可できないらしい。つまり、俺が許可できるのは3ランクから、ってわけだ。


「なるほどな……」


「それとね、具現化でもできないこともあるから、気をつけてねー」


ほう……


「どんなことができないの?」


澄也が食いついた。俺も聞こうと思ったけど、澄也が聞いたんでやめた。


「それはだね、まず、人を生き返らせることだね。」


「何でだ?」


「僕も昔、命を軽々しく扱っちゃいけないって教えてもらってさ……」


言って、遠くを見つめる最高神。


何故だろう、見た目は幼児がベッドの上で遠くを見つめているだけなのに、とても哀しげだ……


「なるほどな……」


確かに俺も命は軽々しく扱っちゃ駄目だと思うな……


「まあ、空気が重くなっちゃたんで、この話は終わりにしようか! で、他は、時間を戻すこと、くらいだっけ?」


「基本的にそれくらいですね。」


「よし、じゃあOK! あ、エディちゃん、仕事頼んでいい? はい、これ。」


「えと……これは?」


「あれ、統治部屋のある住所、直矢君たち、案内したげて。」


「分かりましたー!」


「あ、そうそう、これあげるよ、これで日用品とかその他もろもろ買いなよ。ほい!」


最高神が手を振ると、手に綺麗な布で作られた巾着袋が。 それを投げてきた。


「おう、ありがとうな。っと、重っ?!」


見た目は最高神(体は幼児)の両手で収まっちゃうくらいの大きさなのに、見た目よりはるかに重い。1キロくらいあるんじゃねえか……?


「そりゃあ、金だからねー、重いって。」


「そりゃそうだなー……って金?!」


あまりにサラッと話すもんだから、流すとこだったぞ?!


「そそ、金貨が入ってるのさ! 三枚!」


「え?! っちょ、えええ?! ええー?!」


エディがめっちゃ驚いた。


「エディ、どうした?」


「いや、だって、金貨3枚って言ったら、僕の年収じゃないですか!」


……高くね?……いや、エディの給料が安い? 初任給のままなら……


「エディちゃん、そこの計算は速いんだねー。」


「いや、この前、確認したばかりだったので……」


「だよね! エディちゃんがあんな一瞬で計算できるわけないね、リラじゃあるまいし。」


「なんだかすごく馬鹿にされている気分です……」


「まあ、リラが怪物なだけかもだけど。」


「誰が怪物ですって……?」


「うわっ?! 静かだから後ろにいたの忘れてた! いや、これは……褒め言葉だから!」


「まあ、そう受け取っておきましょう……」


「で、何でエディの年収と同じくらいの金額を出したんだ?」


「あ、そうですよ! 金額おかしいですよ! いつもはもっと少ないですよね?」


「確かに、最高神様がここまでの金額を渡すのは珍しいですね、どうしたのですか?」


「……エディちゃんってそんな給料低いの?」


澄也は給料低いと考えてるのか……確かに、就いたばかりの新人に渡す金額が滅茶苦茶多い、ってよりは、天使の初任給が以上に少ない、って方が自然だな。


「いえ、どちらかと言うと、結構高めのお給料をもらってますけど……」


「天使は高給とりだからねー、初任給でも結構持っていかれちゃうんだよ。そういや、天使統括長兼最高神直属天使長のリラはいくらだっけ?」


「……何故言わせるのですか?」


「そりゃ、楽しいかオベフッ?!」


最高神が吹っ飛んだ。


……今、殴ったのか? 爺に鍛えられた動体視力で見たところかなりのスピードでリラさんが再交信を殴ったように見えたんだが、目の錯覚だろうか?


「人にムチャ振りして楽しむのはどうかと思いますね。」


「あたた……」


「あら、どうしました? 何か痛いことでも?」


「どうしましたもなんも、殴られたら痛いって……」


「そうですか、それならば、もう少し運動をなされてはどうです? わたくしのような素人のパンチなどすぐ止められるようになりますよ?」


いや、見たところ、かなりの腕前だった気が……?


「いや、お前の上達度がおかしいだけだっての……」


「最高神がちゃんとなされるのなら手加減だっていたしますよ?」


「……ていうか、この幼児の体を運動させるのか?!」


「最高神様の御力ならば大人の体にだってすぐなれるでしょう? さあ、たまには運動をしなさい。」


命令してね?


「ええー、だって、そんな事言ったら運動不足なんて具現化で一瞬で解決じゃん。」


「そうではなくてですね、運動をすること自体に意義があるのです。運動をして、健全な肉体と精神を具現化無しで・・・・・・作り上げれば、今の怠惰な状況も改善されるのですよ。」


確かに、健全な肉体と精神は大事だ。作り上げる過程も大事だ。


「えー……大体、リラは何でこういうとこだけさりげなく体育会系なんだよー、いつも通り有能な秘書キャラでOKだって!」


「はぁ……そんな事を言っている時点でやる気ないですね……こうなったら、アビエルさんあたりにお願いして、どこかの世界に山篭りさせてもらいますかね……本当に、最近の堕落振りには目も当てられないですから。」


「うぇ?! それはないって! 死ぬ! 俺死んじゃう! あの人と一緒に山篭りなんかしたら、5000%の確立で死ぬ! つまり50回くらい死ぬ!」


「じゃあ死んできなさい。」


「な、え? なんだとーーー?!?!?! いや、その、でも、俺がいないと色々面倒なんじゃ……」


「大丈夫です、ほとんどの仕事は私がやっていますので。それに、最高神様はほとんど何もやってないじゃないですか、全く問題ありません。」


「全くとかわれるとへこむぞ……」


「ならもう少し仕事してください。」


「ええー……メンドく、いや、なんでもない、たまに仕事し、時々しご、ときたま仕事す、ごく稀にし、いや、毎日仕事しますっ!」


最高神が「裏を返せばあまり仕事しないよ宣言」をするたびリラさんから殺気が……


「それならば文句は無いです。ですが、もし今の言葉が嘘になれば……」


「分かった分かった! 嘘にしないって!」


「分かりました。」


「で、結局のとこ何でなんだ?」


「えーと……まあ、直矢君面白いから、期待値も入れてのボーナス、ってとこかな? パッと使っちゃいな。あ、そうそう、カミサマって給料出るけど、給料ピンキリだから。上がればとんでもなく上がるけど、最初は滅茶苦茶低いんだよ。だから、貿易して。自分の世界のものを一つだけ輸入していいよ、僕に報告入れてくれれば許可するから。」


「分かった。……つっても、これから世界を創るんだが……」


「だから、何か面白いものとか、すごいものを持ってきてよ! 城の金を勝手に使っていっぱい買うから!」


「なるほど、どうも城の金庫からお金が減っているように思えたのですが、これで納得がいきました。さて、最高神様、旅の支度をしてください。」


「え?! あ、これは、その……必殺雲隠れ!」


最高神が煙を出して消えた。


……どうでもいいけど、「必」ず「殺」してないよな……

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