【番外】愛?そんなんじゃないですよ。
神様の玩具箱の番外編
ヒロイン『弓城月姫』のお話です。
白い白衣が、風に揺れる。
……別に、コスプレの類ではない。
これが、学校の制服なだけ。
一般の高校より大きな校舎も
実験器具だらけの教室も
薬品の匂いが漂う渡り廊下も
白衣が制服なのも
おそらく、ここが高校医学部だからだ。
まぁ、慣れてしまえば
大したことではないのだけれど。
所属している研究室へ向かって
ゆったりと歩く。
まだ、彼は来ていないはず。
ならば急ぐ必要もない。
そうやって、特になにも考えずドアを開けた私は
目の前の光景にため息を吐いた。
耐火防止机の上に、突っ伏している男性。
カーテンから漏れる日光が
彼の、闇のように暗い黒髪を照らす。
「宝咲……先輩?」
静かに近づいて表情を伺えば
きちんと閉じられた両目が見える。
眠っているのは、一瞬でわかった。
また、徹夜したのだろう。
一言言ってくれれば、手伝ったかもしれないのに。
まったく、意地っ張りというか……
「先輩、はやく起きないと
ーーーー襲っちゃいますよ?」
耳元で呟いてみても、反応なし。
ここでツッコミがとんでこないとは……
つまらない。
規則正しい寝息を聞きながら、隣の椅子に座る。
予鈴がなるまであと10分。
起こすか否か。
「たまには、こういうのもいいですかね」
答えは当然、否。
その後。
「、ん……つき、ひめ?」
「あぁ、起きました?おはようございます。宝咲先輩」
「今、何時だ……?」
「8時25分ジャストです」
ちなみに、目覚めた彼をからかう言葉は
もう100年前から決めていた。
「でも、宝咲先輩。
……寝てる時は意外と大胆なんですね」
「……は?」
「いえいえ。ただ
ーー先輩もなんだかんだいって男だなぁと」
「……おい、どういうことだ」
「身体は素直でしたよ」
「……!?お前、何しやがった!」
「え、言っちゃっていいんですか?」
こんな日常も、悪くはない。
ラブコメ?いいえコメディです。
……あの発言は、完全にセクハラですよね。




