↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/17

プロローグ-旅立ち-(1)

 ――二〇八〇年。


 日本のとある島で、ありえない超常現象(ちょうじょうげんしょう)が発生し、滅亡の危機へと瀕していた。


 自然がごく一部しかない代わりに、山のようにビルが建っている。だが窓ガラスにはヒビが入っており、何かに抉られたような、蜘蛛の巣みたいな巨大な凹みがあちこちにあり、人の住めない廃墟と化していた。


 そして、黒いコンクリートのタイルが敷かれている港の街並みは、人のいる気配が全くなく、炎につつまれ、周囲に広がる海は氷結していた。島の象徴である、朱色に目立った鳥居までも……。


 もはや、別世界として切り離されたこの島は、言い争いしかできない政府からの援助もなく、死滅の道を辿っていた。


 しかし、


「お嬢様、本当によろしいのですか?」


「ああ。覚悟の上だ」


 超常現象で危険なこの島の街道を、コツコツと音を立てて歩く者たちがいた。


 一人は黒のスーツと紫のネクタイを身に着けた、いかにも執事と呼べる年老いた老父。


 もう一人は、腰まで届く長いストレ―トの黒髪と華奢な体にピッタリなタイトスカ―トを穿いた、輝かしい美貌を放つ二〇歳くらいのク―ルな女性。


「!」


 二人の目の前に、普通ではありえない事――火の弾が突然現れる。彼らに狙いを定め、勢いよくこちらに向かって襲ってくる。


「ひゃあ!」


 執事は絶叫し、女性の後ろに素早く隠れ、膝をガクガクと震わせる。


「案ずるな」


 執事のように恐怖に怯えることが当たり前な場所だというのに、女性は冷静に円形の小さな機械を火の弾に向ける。


 そして、


「はああっ!」


 寸前のところで、機械から光を発する!


 火の弾は、盾に弾かれたように左右に分裂し、爆散した。


「おお……」


 執事は思わず、感嘆の声をあげる。


「ふむ。実験成功だな」


 手にした小さな機械を見て、女性は微笑む。


「これで準備万端だな。行くぞ」


 二人は今の――『未来技術』が発展・実用化している時代に似合わない、ゴツゴツとした白い石で造られた階段を上っていき、三〇〇メートルくらいの高層ビルの前へと着いた。もちろん、ここも廃墟と化している。


 そこから眺める景色は、天国と地獄をはっきりと区別していた。


 手に届きそうで届かない本州の空は澄みわたっており、キラキラしている。逆にこの場所は、毒が充満しているかのような紫の空。


 そう表現するのが、最適と言えよう。


(あの澄んだ空を取り戻すために、私は戦うんだ。絶対に……取り戻して見せる!)


 本州の青空を見つめながら、この空に再び光を取り戻そう、と改めて決意を固めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。