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はははっ!
今の俺は無敵だ!
怖がるイアを楽しむだけだ!
ただ怖いのはお隣さんだけだ!
「ごめんなさい!」
「えぇ!? ど、どうしたの元春、急に謝って……」
「……シッー」
「ふ、ふぇっ!? ……シッーだね、シッー……」
気付くと、俺は壁に頭を打っていた。
り、理性が飛ぶかと思った……。
頭を打たなきゃ抱き締めていた……。
規制されてしまう……!
「え、ちょっ元春!?」
「あー、大丈夫大丈夫。さっさと朝ごはん作るから待ってておくれ」
「う、うん……?」
どこか煮え切らない様子のイアだったがまあいいだろう。
俺はさっさと朝ごはんを作ることにした。
先程も言った通り一人暮らし、家事スキルは兼ね備えているので割と健康に気を遣った食生活も送ることが出来ている。冷蔵庫の中身が漬物や冷凍食品、ソフト麺などしか無くなるという状態は全く無い。
「えーと……おっ、卵あと三個しかないのか。使っちゃうかー」
その他の材料も取出し、朝ごはん作りに取り掛かり始めた。
卵を割りながらふとイアを確認する。
きちんと俺の言いつけを守って、少し離れてテレビの魔法少女系アニメを視聴していた。日曜朝といえば戦隊ものに始まり仮面ライダー系、そして魔法少女系アニメだよな。
「(まじまじと見ているようだし、声掛けなくてもいいかな)」
娘が何よりも早く朝ごはん待っているしな、とイアに聞こえない程度に呟く。
ま、軽いジョークだ。
イアが聞いたらまた面白い一悶着ありそうではあるが。