3-(7)
「いや、だって私がやりたかっただけだし。……いひひ」
出たよ、この意地の悪い顔!
可愛いな畜生。
「何か、俺絶対スパルタンな親にはなれない気がする」
「キモい」
「一蹴すんなよ。まあいいや、いいぜ。話してくれよ」
「へーへー……っていうか、ケアレスミスの内容って直ぐ分かると思うんだけど。私が教えるまでも無いっていうか」
「どういうことだ?」
「いや、ヒントは目の前にあるでしょうよ」
もったいぶらないで言えよ、とツッコミを入れようと思ったが別に――その必要は無かった。そうだよ、簡単なことじゃないか。
イアが俺を助けに来て。
んで、俺は救われた。
つまり、こいつは本来ならばもう仕留められていない筈なんだ。
俺の顔色から察したのか、レムは相変わらずの口癖を漏らして続ける。
「そう。イアは私を殺り損ねたんだよ」
「いや、殺すってまでは行かないだ」
「行くよ。あいつは――イアは、そういう魔法少女なんだ」
俺の台詞を途中で遮ってまで、レムはそう言ってきた。
そうか。そうかい。
「ばーか」
「はぁ?」
アスキーアートになりそうな表情が、そこにはあった。ポカーンと、こいつ何言ってるんだ的な疑問形の表情だ。分かんないなら言ってやるよ。
「あいつはそんな事しねぇよ。だってあんなにへっぽこなんだぜ?」
「じゃあ、アンタ騙されてるんじゃないかな。……いひひ」
「んなこと無ぇよ。うちの幼女を悪く言うな」
険悪な空気が漂い始める。
いや、まあ自分の子供を悪く言われたらそりゃ親なら怒るだろうよ。
そんな空気の中、レムは「そうだ」と思いついたような声を挙げた。
「ていうか、あんなにってどんな?」
新鮮な疑問形だった。
「あんなにっていうのは、家でパソコン見ながらごろごろしてたり、日曜朝の魔法少女アニメにツンデレ反応示していたり、夏にシャンメリー買って来いと無茶苦茶な要求する感じだ」
「マジで!? あいつ、そんななの!?」
かなり驚かれた。流石にその反応は俺も予想外だ。思わず萎縮してしまった。