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そそくさとタオルを取りに行き牛乳を拭き取った後、イアが「そういえば」と切り出してきた。
「イアちゃん、どうした?」
「次のプリキュアの話なん」
「本当、お前プリキュア好きだよな!」
当初のプリキュア嫌いですよ、みたいな態度はどこ行ったんだよ。
「遮らないでよ。でね、とにかく次のプリキュアなんだけど」
「おう」
「版権絵が凄い件についてどう思う?」
「あー、見たことあるぞ。主要層を幼少世代から大きな子供世代に移したことを表すような絵だよな。深夜にやってそうな」
「そうそう。……作画いいよねぇ」
「イアもとい作画厨、そこしか見ていないのか!」
「だからさっきも言った通り作画が大事なんだって。例えば元春はパッケージの絵が可愛くない恋愛シュミレーションを買いたいと思う?」
「む。んー……」
確かに一理あるかもしれない。
購買意欲云々と先程言っていたのはこのことか。
「でもちょっとズルくないか、それ。それは恋愛シュミレーションだからであって他のRPGや」
「グラフィックの悪いFFを買いたいと思う?」
「……うっわ、何か分かるかもしれない」
でもそれはFFだからこそではないか? FF=グラフィックの良さ、みたいな等式があるからではないか?
うーむ。
「ま、世の中には色々な考え方があるってことで」
「納得させられなかったのは残念だけどそうだね。個人の尊重だね」
そうして俺とイアは熱く握手をした。
オチとしては完璧なオチだ――がこれではあまりにもお粗末な第一章な気がするので続けることにしよう。段落というか進行具合が中途半端過ぎる。