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カジノ/町

-【カジノ】


ここ、アビスには娯楽施設が多くある。

カフェ、スポーツ場、小さな公園、宴会場、そこそこの大きさの図書館…その中で私の一番のお気に入りがここカジノである。


カジノ…と言ってもここではお金はかけられない。

昔は金銭のカジノもやっていたがあまりにも問題が起きるせいで金銭は使わなくなった。

その代わりここアビスの旅館内で使えるちょっとしたサービスチップが賭けに使える。


例えば1000チップ支払えば朝食をアップグレードさせたり、スポーツ場などの一部有料娯楽施設のサービスに使えたり。

またこのカジノ内に日替わりのランチ、デザートや日用雑貨を置きそれと交換することができるシステムにしている。


この方式をとってから問題は比較的に減った。

恐らくだが直接現金を奪いあってるよりかは心に余裕ができるのだろう。

このチップ自体最初は現金で買わないといけないので現金は確実に減っているが…まあ別に賭けてる人が気にしないなら良いだろう。


そんなカジノで、現在ちょッした問題が起こってるらしく、カジノ担当の職員にヘルプを呼ばれここに来たのだが…


「はぁ?!おま、ヤッてるだろ!なんでそこでブラックジャック出せるんだよ!えぇ?しかもダブルダウン?おかしいだろ…おかしいだろ…」


そんな聞き慣れた女性の声がする。

これで問題の内容はすぐ分かった。

なのでそこの現場に近づき怒っている女性とその隣に座って女を諌める男性に話しかける。


「レーク様公共の場ですのであまり大声を出すのを控えていただけると幸いです。」


そう、騒ぎの中心にいたのは他でもない吸血鬼エーリー・レークである。

 

「エゼルちゃん!こいつやばいよ!ほんとに!なんかずっと勝ってるんだよ!おかしいよ」


そうやってキレながらレーク様はもう一人の男性へとチップを渡す。

それをみて違和感を覚える。


「その…レーク様ブラックジャックはディーラーとプレーヤーの勝負であり同席するプレーヤーのべーエル様とは関係ないはずでは?」


こう問うと席に座る2人の人はビクッとする。


この人は…全く。

時たまこうやって、ルール破りをしてくるのだ。

特にレーク様は他のルールも幾つか破るのでやめて欲しいと常々思う。


「チップは、基本的にお客様同士での賭けへの使用は厳重注意としております…現行犯だった場合移動のあったチップの回収とも取り決めがあります」


そう言うと2人とも一瞬顔が青ざめる。


「が!今回は特別に許可しましょう、どうせ少量ですしべーエル様には少しばかりお世話になっているので」


そう話すと2人は一瞬ホッとする。

ここで黙っていた男が話す。


「え?でも大丈夫?その依怙贔屓えこひいきって言われない」


そう言う疑問である。


「ええ、まあこれはそのべーエル様はこちらの名誉人に入っていますので…ここだけの話こう言う場所で良いことをしてる人が報われる事をアピールしないと皆様大暴れ致しますので」


ここで一つブラックリスト入りを果たしているレーク様をちらっと見る。

すると少し気まずそうにしている。


さて、ここで名誉人とは何か話そう。

ここにはブラックリストがあるように、名誉賞状なるものがある。

それを受賞した方を安直に名誉人と呼ばせていただいてる。

これも例の彼が思春期の時に作った制度で、7個の美徳に関する名をつけさせていただいている。


このメガネをかけた、少しチャラそうな黒髪の男性はアリア・べーエル様。

勤勉の美徳の名を冠するお方である。


この方は色々な分野の座学に優れており、図書館への本の寄贈や医務室へと最新医療の提供などの数々のボランティアの影響からこの名誉賞を受賞した方である。


因みに名誉人になると3つある本館のプランの内最上位のファーストクラスの提供が半額になったり他の娯楽施設(カジノと夜職系の店など一部施設を除く)を使い放題と、ここアビスから少しばかり利子を減らして融資を受けやすくなったりと色々つくため、この7人の座を狙って奮闘するお客様も居る。


特にべーエル様は、知識に深い、真理ロゴスと呼ばれる種族では無く、一端の人間である為他の方々から多く賞賛を浴びている。

(※真理ロゴス 神に近い生物の総称、内 知恵ソフィアと呼ばれる種類が知恵に深い)



「なるほど…ふ、エーリーよ俺のお陰で命拾いしたな」


「はぁ?!お前が"負けたらチップやるから俺が勝ったらチップよこせ"って誘ったんだろうが!!てか私歳上なんだけど?敬語使えや人間風情が!」


また喧嘩を始めた…

この2人はよく言い合いしてる場面を見つける。

逆に怠惰を関するゴール様とべーエル様はお互い知識に深い事から話が合うらしい。

逆に座学に乏しいレーク様と暴食を関するエセルブ様とはよく揉めてらっしゃる。

頭の良さが違うと意見が合わなくて喧嘩が起きるのだろう。


喧嘩は同レベルでしか起きないと言うが、頭の良いほうが突っかかりやすい性格だと、自分の意見が伝わらないのに苛立ってしまったり、下の物を見下したりしてしまうので、案外そんな事も無いのだろうかと、私は事二人を見て思った。


「おい!もう一勝負だ!」


「望むところだやってやらー!」


こんな会話をする2人にため息をつきながら他のテーブルへ見回りに行くのであった。


**********************************************


先ほどのテーブルから少し離れた場所で今度は見慣れたガタイの良い男性とその隣に別の女性を見つけた。

珍しいこともあるものだ。

少し話しかけてみよう。


「ビリジス様、マモン様、珍しい事もあるものですね、お二人がご一緒に…かつカジノなんて、マモン様もお久しゅうございます、アビスに来られたのはもう6年程前になりますか?今日はどのようなご要件で」


そう後ろから丁寧に話しかける。

ビリジス様はカードを真剣に眺めて考えてるで反応がないがマモン様は振り返った。


黒く長い髪に黒いファーを付けて真赤目を輝かせている女性。

この方は空島の下、一般社会に普段は住んでいらっしゃる、正体を言ってしまえば本物の悪魔である。


大罪の悪魔。

魔王直属の精鋭で全員が悪魔族。

全員手を付けられないほどの性格の持ち主である。


このマモン様は強欲の悪魔、隣に座られるビリジス様もこの施設内では強欲を関するのでいい組み合わせだ。

この2人は2つが一緒の通りそこそこ性格が似ていてる、まあビリジス様は完璧を求める強欲だかマモン様はシンプルに金遣いの荒い銭ゲバなので本質としては違うかもだが…表に現れる性格はそこそこ同じだと思う。


「いや〜エゼルちゃんも久々だね、最近ちょっと忙しくてさ、休みを取れたことだし、久々にここに来ようかと思って。」


「空島は最近下にお客様を迎えに行って無いのですが…もしかしてご自身で?それは申し訳ないことをしました…マモン様とあろうお方こちらから迎えにいかねばならないものを…」


「いやいやいいよ別に、私とて普通に飛べるしそこまで時間もかからなかったしさ。」


そんな会話をしてと暫く考えていたビリジス様が口を開いた。


「よし、終わった、始まるぞ」


そんな一言を受けてマモン様もテーブルに向き直す。


ちらっと2人の隙間から見てみる。


「へー、ルーレットですか」


そんな事を言うとディーラーが板回して、玉を投げ入れる、カラカラと玉が音を立てながら凄い速さで回り始める。


「エゼルちゃんはどうなると思う?」


一種の余興を兼ねてマモン様は私に問うてくる、それに少し考えてから話す。


「私ですか?賭けに何も払ってない人が口出しするのは何だとも思いますが…黒の26に入りますね」


「はは、そうだといいね、私の予想ベットは黒だしね」


少し笑い飛ばすようにマモン様はそう言う。


そんな時"ガタ"っと玉が跳ねて勢いが一気に収まる。


賭けに参加する2人が少し息を飲んで入った場所を見る。

そうして見てみると皆驚ろく事が起きる。


「おぉ!26!エゼルちゃん凄いね」


「うわ、ハズレた…畜生…」


私の予想が当たったことについて当たったことに驚ろくマモン様、と頭を抱えて予想がハズレた事にショックを受けるビリジス様。


「凄いねエゼルちゃん運?それともここのギャンブルって高度なイカサマでもしてるの?」


「イカサマだなんて…そんな私共にそんな度胸はありませんよ、一応私も一端の神ですから少し予感がするんです未来の、まあ正答率は25%を下回りますがね」


ディーラーがチップを回収したり、今回勝ったマモン様にチップを差し出したりしてなんやかんやする。


「ふ〜…私は一旦ここで切って、部屋に戻ろうかな〜」


マモン様は立ち上がり背伸びをしながらそんな事を言う。


「あぁ俺は一旦チップ戻すまでいとくから先に行っといてくれ」


ビリジス様は立ち上がって、何処かに歩き出す、多分もっと得意の…バカラにでも行くんだろうか…


「あ、エゼルちゃんそう言えば840号室って何処にある?」


「840号室ですね、お連れ致します」


そんなこんなでカジノから離れるのであった。



**********************************************

-【町】


なんか…楽しいけど疲れるな…


日差しの眩しい気持ちのいい日差しが、周りを包むお昼下がり。

…そんな中、私テイゼはいまお買い物に出ています。


「おい!テイゼ!なにぼっとしてるんだよ!」


「ごめん、ごめん、アーゼちゃんちょっと手加減して〜」


荷物を持ちながらアーゼちゃんの元へ駆け足でついていく。


「おいおい、この程度でへこたれてたら訳ねーぞ?」


「いやいやアーゼちゃんのペースが速いんだよ…」


一息つきながらアーゼちゃんの隣に追いつく。


「にっしても変な場所だな空島」


アーゼちゃんは周りをチラチラ見ながらそんな事を言う。


「あれ?アーゼちゃんは生まれはこっちじゃないんだっけ?」


「いや、私は3年前くらいかに下から来た」


腕を頭後ろのあたりで組んで、歩きながらテイゼちゃんはそんな事を言う。


「へーなんか馴染んてるからてっきり生まれからかと…」


そんな風に話しているが突然アーゼちゃんは何か物珍しい物を見つけたかのように立ち止まる。


そうしてある建物のほうを指差し聞いてくる。


「なあ、テイゼあれなんだ?」


「あれですか?確かドワーフ族の信仰する神様の協会だったと思うけど…」


そんな風に解説してあげるとへーっとアーゼちゃんは相槌をうつ。


「なんかここらへん普通に協会があるのに、忙しい場所だな」


「あはは…何でもこの空島定期的に広がるから今は余裕があるけど、本当はもっと小さかったらしいよ、だから結構民家以外の病院だの協会だの学校だのは密集してるんだって」


そんな話をしつつ歩みを進めていると、突然前の方から見たことある男性が近づいてくる。


「よ!お二人さん休暇か?」


ゼレール・ファーベータ

アビス内での使用人として先輩である。

アビスの使用人では、研修生→初級→中級→上級→部署管理→部門総括管理→全体筆頭

の順で役職があり、この人は上級の使用人だ。

歴で言うと、何倍も上の大先輩で、時たま研修として色々教えてくれる馴染みの深い先輩である。


「ファーベータさん!偶然ですね」


「お!ゼレール!チッス!」  


私が少しお辞儀をして、挨拶すると、アーゼちゃんは、少しもかしこまる気もなく、そんなふうな挨拶をする。


「はは、アーゼよ君は俺以外にそのテンションで行くなよ?ブチギレられても俺は責任取れないからな」


ファーベータさんは、優しいんだ。

ほぼ毎回アーゼちゃんはこのテンションで話しているが怒ることはしない。


私的には流石に少し怒ってくれてもいいんだけど…

アビスの先輩は比較的優しくて、アーゼちゃんの態度には言及しない。


いや厳密に言えば皆仕事に真剣だからそこら辺は少し厳しいだけど、アーゼちゃんは接客するときはキャラが200°くらい変わるし、掃除とかも完璧にするから別にそこらへんしっかりしてたら、先輩への言葉遣いは少し気をつけようねくらいで皆すましてしまう。


実際、立場として一番偉いエゼルさんの部屋とかにズカズカ入っていたりもする。

アーゼちゃんは、まあよく言えば度胸がとんでもないのであろう。


そんなことを考えている内に、ファーベータさんが話しかけてくる。


「そう言えばどうだ?新人たちは、慣れてきたか?」


「は、はい!おかげさまで」


なんて返答をすると、またしてもアーゼちゃんが口を開こうとしたので口を塞ぐ。

流石にあの言葉遣いで要られると私が恥ずかしい。


「あはは、テイゼさんは良い子だね、アーゼももっと言うこと聞けよ」


そんな風にファーベータさんは笑いながら言う。

すると、私の手から抜けたアーゼちゃんが口を開く。


「るっせー!私だけ呼び捨てにするんじゃねー」


あくまでジョークっぽく話すアーゼちゃんに笑いながらファーベータさんも返す。


「ふ!まずは言葉遣いから直してから出直しな!」


こちらもあくまでジョークっぽく笑いながら話す。

そうすると、ファーベータさんは私たちが歩いてきた方向に歩いていく。


「じゃ、俺は行くからまた今度な」


「は、はい、またよろしくお願いします、その…アーゼちゃんの事はその本当にどうにかしますのでごめんなさい」


去り際そんな風に謝ると、少し笑いながらファーベータさんは去ってしまった。


「ふぅ〜…アーゼちゃん、お客さんに丁寧なのは良いけど、先輩たちにも丁寧に行こうよ」


「いや〜…性分じゃないね!でも流石に人は見てるよ?ゼレールは別にあんな感じだし良くない?」


そう思える感性が逆に羨ましい…

そう思ってしまうと言うことは、私は気を使いすぎなのだろうか。


「ふ〜…私達もどうする?そろそろご飯でも食べに行く?」


「おお!いいなそれ!私肉食いてー!…やっぱ野菜以外なら何でもいいや!」


そんなアーゼちゃんにため息をつきながら答えを返す。


「ハイハイ…分かってますよ、ここら辺にいいお店があるのでそこに行きましょう」


「よっしゃ〜!じゃ!じゃんけんして負けた方の奢りな!」


無邪気にそんなことを言うアーゼちゃん、それに少しこっちも笑みを浮かべてしまう。  



あぁ、やっぱり少し疲れるな、でもやっぱり楽しいや。


少しオレンジかかった空の中、歩を進めながらそんなことを思うのであった。



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