40
(お、おっき、すぎっ)
いったい、いつまで耐えればいいのだろうか。
ツェリルは涙で滲む目を何とか必死に前へ向け、自分を征服しようとする男を見続けた。
綺麗な深い緑の瞳が、ツェリルの視線と重なって……深みを増した。
「ドゥラ、コン……ど、のっ」
名前を呼ぶと、中のものがドクンと脈動を打ってさらに大きくなった気がする。
息をするのも大変で、何度も浅く呼吸を繰り返していると、やがて陰茎の先端が最奥に届いた。
恐る恐る下肢に目をやると、根元まで自分の中に入っている。
「やぁっ、んぁっ」
「ツェリルっ」
奥で何度もそれが襞を擦り、様々な角度で中を刺激した。
身体いっぱいに押し込まれるものを、自分の中はまるで嬉しそうに締め上げている。
自分で感じる場所を探り、無意識のうちに腰を揺らすツェリルを見下ろしながら、ドゥラコンの腰の動きも速くなっていった。
さらに自在に動けるようにするためか両足を大きく左右に押し開かれ、淫らな粘液が搔き混ぜられると音を立てながら、陰茎で中を捏ねるように擦られる。
我が物顔なその動きは、まるでこの身体が自分のものであるとでも思っているかのようだ。
ドゥラコンの首に必死にしがみつきながら、ツェリルは服を着たままの男を見つめ続けた。
全身ずぶ濡れで、滴らせながら自分を貪るドゥラコンは壮絶な色気に満ちていた。
この男になら誰だって欲しがられたいと望んでしまうと思うに違いない。
だが、こんなにも下肢は密着しているのに、布越しに抱きしめられるのは悲しかった。
「ツェリル……っ」
「あっ、あっ、あぁっ」
一際奥を突かれた時、ツェリルは高い声を上げた。
身体が痺れ、気が遠くなる。
初めての感覚に戸惑う間もなく、ツェリルはドゥラコンに揺さぶられ続けた。
徐々に大きくなっていく陰茎に口を突いて出そうなほどの衝撃を断続的に与えられてしまう。
「んむっ」
口を塞がれ、舌を絡めて。
本当に息ができなくて、ドゥラコンの背中を何度も叩いたすぐ後、ぐっと掴まれた腰を引き寄せられて鈍く肌がぶつかる音がしたかと思うと、身体の奥で熱いものが迸ったのを感じた。
(な……に?)
それが何なのか、ツェリルにはわからなかった。
しかし、自分を見下ろす男の艶っぽい表情の中にある満足げな色に、無性に安心してしまう。
「……ツェリル」
「は、い」
答える声が未知の感覚で震えないようにと必死でいれば、ドゥラコンがふっと笑みを、零した。
「また、見られなかったな」
「……え?」
「……」
「ああ!」
その言葉の意味をようやく理解してすぐに起き上がろうとしたツェリルは、いまだ繋がっている下肢に気づいて慌てた。
「は、早くっ、それっ」
「ん?」
「だから……っ、抜いてっ」
言わなくても態度でわかっているだろうに、ドゥラコンは意地悪くツェリルが言葉にするのを待つ。
それにツェリルが必死に答え、身体ごと逃げようとして初めて、ドゥラコンはようやく繋がりを解いてくれた。
「……んっ」
大きな陰茎が出ていった後、どろんとしたものが内股を伝って流れ落ちた。
「大丈夫か?」
髪を撫でてくれながら言うドゥラコンに、ツェリルは微かに頷く。
本当は、身体も心も疲れ果てていた。
その大部分がドゥラコンのせいだと声を大にして言えるが、だからといって自分に少しも非がないとは思わない。
(私、何をしているんだろう……)
意気込みは百戦錬磨のドゥラコンの前ではまったく意味のないものだった。
いや、性質が悪いことに、前回よりも格段に自分の身体がドゥラコンの愛撫に応えて感じてしまい、さらに困惑して落ち込んだ。
とにかく今は、性交の興奮と浴場の中の熱気で、頭がくらくらとして思考が定まらない。
すると、ドゥラコンはそのままツェリルの身体を抱いてもう一度湯船の中に入った。
疲れから抵抗もできないツェリルの下肢を膝で割り、いきなり今まで男の陰茎を受け入れていた腔の中に指を押し込んでくる。
「ひゃぅっ?」
ドゥラコンの陰茎がついさっきまで入っていたというのに、指一本がとても大きく感じてきつかった。
これ以上何をされるのかとツェリルは湯の中で暴れたが、水の抵抗のせいか、それとも下肢を苛む痛みのせいか、たいした反撃にはならない。
「おとなしくしろ、綺麗にするだけだ」
「き、れい、に?」
そう言われても、ツェリルは何をされるのかまつたくわからない状況で、不安ばかりが胸の中を支配する中、身体の中を骨ばった指が巧みに動き続ける。
「……悪かった、中にだして」
「……え?」
「何かあったら、ちゃんと責任をとる」
真摯な言葉にどう反応していいのかわからない間に、ドゥラコンは身体の中から指を抜いてくれた。
それだけで安堵して身体の力を抜いたツェリルの頰に唇が触れ、抱きかかえられた状態で湯船から出されたツェリルは、もう一度濡れた床にそっと下ろされる。
ドゥラコンはツェリルの様子を見るように頰を撫で、視線をめぐらせ濡れ捨てられたツェリルの服を肩から掛けてくれた。
「誰かいるかっ」
「えっ?」
こんな時に人を呼ぶのかと焦ったツェリルを振り返ったドゥラコンは、先ほどまでの雰囲気から一転、いつもの落ち着き払ったからかうような笑みを向けてきて言う。
「お前は俺付きの女官だろう?
皆、そういう関係だって思っているはずだ」
「えぇっ?」
(そういって、まさか……っ)
宮殿に来る前のツェリルならまったく意味はわからなかっただろうが、さすがに今ならどういうことかよくわかる。
誤解されることが、いや、誤解とも言い切れないが、それだとしてもドゥラコンとの関係を公言するなんて考えもしていないことだ。
「ドゥラコン殿っ」
いくらドゥラコンが服を身につけているとはいえ全身ずぶ濡れで、ツェリルにいたっては全裸の状態だ。
自分たちを見た者がどう思うのか、ツェリルは困惑で泣きそうな気分になった。
「……心配するな。
俺がからかっただけだと言ってやる」




