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この状況で、ドゥラコンはツェリルがその身体の痣を調べることをやめるかどうか聞いているのだ。
次々と襲う初めてのことにツェリルは混乱する思いを処理し切れていないのに、ドゥラコンはこんな時でも冷静に駆け引きをしてくる。
その余裕が悔しくてたまらなかった。
ここでツェリルが一言「諦める」と言えば、ドゥラコンは弄る手を止めてくれるだろう。
それは、短い間でもドゥラコンを見てきた自分の勘がそう告げている。
本心ではもちろん、こんな恥ずかしくて、屈辱さえ感じることからすぐにでも逃げ出したい。
だが、次の瞬間ツェリルの口から出たのは、頭で考えていたものとはまったく違う言葉だった。
「ど、してっ?」
「あ、あなたはっ、皇帝になることが怖いのかっ?」
「何だと?」
「私はっ、諦めないっ!
バラッハ帝国の、繁栄のためにもっ、神託を必ず……っ!」
ここまできて逃げ出すなんて絶対に嫌だ。
それもまた、自分の本心なのだと必死にドゥラコンを見ると、大きな溜め息が頭上から漏れた。
「頑固だな」
「な、なに……んっ」
聞き返す間もなく、ツェリルの足が左右に大きく開かれる。
突然の暴挙に抵抗する隙もないままぐっと下へと腰を引き寄せられたツェリルは、微かな金属の擦れる音を耳にした。
「お前がやめないって言ったんだからな」
(何をするつもりっ?)
制止したいのに、声が出ない。
伸し掛かるドゥラコンの身体が先ほどよりもさらに大きく見えて、ツェリルは押し退けたいはずの男の腕を痕がつくまで強く握りしめてしまった。
「ドゥラコン」
ふと、呆れたような声がした。
「そこまでする気ですか?」
「本人の希望だ」
「いい方に解釈していますが、どう見たってこれは凌辱です。
神に仕える身としては……」
「止める気か?」
「私も仲間に……は、してくれそうにないですね」
「俗気の多い神宮だ」
この場を収めてくれるのかもと期待したが、ナメルはまったく頼りにならない。
それどころか自分も一緒になってツェリルを弄ろうとしているなんて……だが、不安の種はその一つだけではなかった。
「せっかく、久しぶりに良い尻を見つけたと思ったんだが」
名残惜しそうなネツの言葉に慌てて逃げようとしたツェリルは、広げられた足の間に当てられたものにぴくっと身体を震わせる。
(こ、これ?)
生温かく濡れた、硬い感触。
まったく想像もつかないものを身体の奥に押しつけられてしまったツェリルは、何とか身体をずり上げようとしながら下肢に視線を向けた。
そこには、大きく開いた自身の足の間に入り込んでいるドゥラコンがいた。
上平身は先ほどと同じく少しも乱れてしないが、流れた視界に入った下肢はいつの間にか帯革が外されて、脚服の前が解放されている。
そして、そこから黒い下生えと赤黒い陰茎が覗いていた。
初めて見る男の陰茎は、とても醜く、恐ろしいほどに大きい。
ツェリルの視線がどこに向けられているのかわかっているくせに、ドゥラコンはそのまま見せつけるように自身の手で何度かそれを擦る。
するとそれは驚くほど見る間に姿を変え、さらに長大に成長し、まるで別の生き物のように反り立ってびくびくと揺れているのが見えた。
それだけではなく、何だか全体的に濡れているのはどういうわけだろうか。
あんな所が汗をかくなんてとても思えない。
「気に入ったのですか?」
あまりにツェリルがそこから視線を離さないせいか、ナメルが楽しげに声をかけてきた。
「長さも硬さも大きさも、初めてのあなたが相手をするには少々大変かもしれませんが。
ああ、でもネツのものよりはましかな。
あいつは化け物ですから」
そう言いながら、ナメルの細い指先はツェリルの乳首を摘み、遊ぶように引っ張ったり押し潰したりしてくる。
「……っつ」
時折爪を立てたり、引っ掻いたりするのはわざとなのか、ツェリルが苦痛の表情を浮かべると、さらにくっと笑う気配が強くなった。
涙目でナメルを睨もうとしたが、いきなり身体と寝台の間にぐっと手が入ってきたことに、ツェリルは大きく体を摇らした。
「痛みを与えるのが楽しいお前の方が化け物だろうが」
「ひゃあっ?」
淡々と反論しながら、ちょうどよく尻たぶに手のひらをはめたネツに、恐ろしいほどの力でそのまま持ち上げられる。
同時に、器用に尻を揉んでくるのに息をのんだ。
ナメルとネツに向けていたツェリルの意識は、突然下腹部に押し当てられた熱く、湿った感触に再びドゥラコンへと向かった。
「な……にを、する?」
「お前が望んだことだろう?」
「え……?」
「俺と、身も心も重ねることを」
「違……っ!」
そういう意味ではないのだと、必死に訴えようとするが、その間にも尖った凶器のような切っ先は確かにツェリルの足の奥へと侵入してくる。
見開いたツェリルの黒い瞳にドゥラコンの顔が映り、ゆっくりと近づいてきた。




