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(……びっくりした……)
余裕を持っているように見えたドゥラコンだが、ツェリルの方から触れたら多少は動揺するらしい。
その姿を目の当たりにし、ツェリルは笑みが零れた。
「……何だ」
自身の反応を恥じたのか、ドゥラコンが眉間に皺を寄せながら顔を近づけてくるが、ツェリルは不思議と怖いとは思わなかった。
それよりも、もっとドゥラコンを動揺させたくて、背中を抱きしめた手を両頬へと滑らす。
「おい?」
訝しげな声を聞きながら、ツェリルはドゥラコンから無理矢理教えられたくちづけをこちらから返すことにした。
だが、当然やり方などわからないので、真正面からぶつかるように顔を押し当てる。
「ぶっ」
(痛っ)
唇が重なる前に鼻がぶつかり、さすがに痛みで呻いたが、ドゥラコンが離れようとするのを強引に唇を合わせていった。
(次は、舌を)
ドゥラコンがしたように口の中に舌を差し入れようとしたが、ペロッと唇を舐めてもなかなか開いてくれない。
こんな時に意地悪をしなくてもいいのにと思いながら必死で舐め続けていると、ようやくドゥラコンの唇が綻んだ。
だが、勢いで舌を入れてみたが、今度はどうしていいのかわからない。
結局、舌を少しだけ舐めて引こうとしたが、何を思ったのかドゥラコンが舌を絡めて激しく吸ってきた。
自分の方からするのとは逆に、ドゥラコンから求められるとどうしても逃げ腰になる。
その上、くちづけで余裕がなくなっている間に伸びてきた手に乳房を掴まれ、激しく揉みしだかれてしまった。
「んっ、んんっ」
痛いと伝えたいのに、唇を解放されないので声が出ない。
逃れようと身体を動かすとまるで待っていたかのように腰の下に手が回され、あっという間に脚服越しに尻を掴まれた。
「ひっ」
(う、そっ?)
じかに尻に触れる手は、胸を揉む手とは反対に優しい動きで形をなぞる。
くすぐったさとむず痒さに腰を浮かせた拍子にさらに奥へと伸びた手は、自分以外が触れるはずのない場所にまで侵入してきた。
「んあっ、や、やめろ!」
必死に首を振り、両足を絡めて脚服が脱げないようにしたが、ツェリル向かい合うべき相手はドゥラコン一人ではなかった。
「きゃあ!」
肩を押さえつけてきたのはナメルだった。
今の今までドゥラコン以外の存在を忘れていたツェリルは、突然伸びてきたもう一つの手に大きな驚きを感じてしまう。
向き合う相手は一人ではなかったのだと、ここにきてようやく思い知った。
優雅な姿に似合わず強い力で、ナメルは頭上からツェリルを拘束する。
そして片足はネツの大きな手で掴まれ、ドゥラコンは簡単に脚服を脱がしてしまった。
裸を暴かれ、隠す手段も阻まれて、ツェリルは頭の中が真っ白になり、呆然と目の前のドゥラコンを見上げる。
六本の屈強な腕に拘束された自分は、どれほど哀れでみっともない恰好を晒しているのだろうか。
すると、ドゥラコンは先ほど一瞬見せた真剣な眼差しを再び向けてきた。
何度もくちづけをしたせいか、目の前の男の唇は唾液に濡れていた。
はらりと零れた前髪が額に掛かり、常にない色気をまとっている。
本当ならここで、ツェリルはドゥラコンに対して無意識でも身の危険を感じなければならないはずだった。
だが、自分とは反対にまったく服を乱していない姿を見ていると、どうしてもまだ切羽詰まった状態にないという思いにすがってしまう。
「諦めるか?」
不意に、ドゥラコンが苦笑してそう聞いてきた。
「あ」
それがどういう意味なのか、ツェリルは一拍間を置いてから理解する。




