第28話 目覚め
――「君たちは人を殺すことについては得意だろう。でも俺達は人を殺さないように拘束することのほうが慣れている。実際には人を殺すほうが楽だ」
――「何が言いたいんですか」
――「君たち…『忍者』は俺には叶わないという話だ」
「!」
悪夢、ではない。
目の前の天井と体全体の痛みで気付かされた。
凉花はガンガンと痛む頭を抱えることもできず、可能な限り頭を動かして周囲を確認し絶望する。
ここは自分が働いている病院だ。
「凉花先生!目が覚めたんですか!」
「ええ……」
「動かないでください、本当に重症なんですから!」
そりゃそうだろう。
そう言いたくなって口を閉じる。
佳入の戦闘力は凉花の想像をはるかに超えた。
――「曲がりなりにもあやつは隊長の地位を持つ。対策をとられる可能性がある」
養父の言葉が証明されてしまった。
凉花の持つ暗殺術は、佳入にかすり傷を与えるものの致命傷にはならず、防がれ避けられた。
万策つきかけた凉花は彼の力を利用して、逆に致命傷を与えられようとしたのだが失敗した。
高さのある場所から落ちることで命を絶とうとしたのにそれさえも助かったらしい。
「立河隊長が抱えて、夜にかけこんできたんですよ?」
ということは、佳入は元気のようだ。
それが悔しいようで安心もする。
「あの……佳入さん……お、夫は……?」
「今朝はお見舞いに来られていましたが、仕事に戻られたんでしょうか?」
「そう、ですか……」
同僚によると数日意識を失っていたらしい。
手足が痛くて動けない。
これは骨折したな。
自分では動けないので、諦めて見慣れた天井を見上げた。
立河家の天井を、思い出せない。




