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第19話 本来の目的
「で」
次の日の夜。
仕事を終え、気分転換と夕食を兼ねて病院の外に出たところで、凉花は見せつけるように眉をひそめた。
外で待っていたのは、昨日も出会った佳入の姿。
申し訳なさそうな顔で立っている。
「今日は何の用ですか」
「昨日、やりそこねた用事をすませにきた」
「そうですか」
なら私は関係ないですね、といわんばかりに、凉花は佳入の隣を素通りしようとしたその腕をつかまれた。
「食事を持ってきた」
確かに佳入の手には豪華な重箱が握られていた。
凉花は無表情のまま、ちらりとそれをみる。
興味は、ある。
「……お気遣いなく。自分で用意しますので」
「情報が、ある」
今まで見た佳入の表情の中で、最も真剣な顔をしていた。
と同時に、凉花を逃がさないとまなざしが言う。
どれだけ物理的な距離を取ったところで、夫婦であり逃げられる関係性ではない。
悲しいかな、病院には急ぐ仕事もない。
それに、外食より、立河家の食事の方が多分おいしい。
凉花は「聞きましょう」と返事をした。




