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Mejiro Sunlight Station

三十分待っても彼は来なかった。スマートフォンの画面は相変わらず何も映さない。きっと自堕落な彼は4限目の講義から出席することにして、居心地の良さすぎる高田馬場のワンルームで二度寝を決め込んだに違いない。


待ち合わせをすっぽかされた私は、目白駅の改札前に立っていた。


良い天気だ。昼間の駅前は緩やかな空気が流れている。時おり盛装の人々が駅前のバス停に流れてゆくのを見ながら、今日が大安だったことを思い出す。


今日の講義は午前中で全て終わった。午後の用事は無い。改札から通りを挟んで向こう側では、最近できたチョコレート専門店のショーケースが太陽の光を反射させていた。すぐ隣の花屋に並んだブリキのバケツも、いつも通り大輪の花を抱えている。


この駅は日常だ。私も日常だ。待ち合わせをすっぽかされる程度には。僅かに胸がざらつく感覚は、飛び立つ鳩の羽音に掻き消された。

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