悪意の無い悪②
3月になりましたね。花粉症の私にはつらい時期になってきました。幼少期に、反対から読むと〜みたいなのが一瞬だけはやる時がありましたよね?ほんの一瞬だけですけど
『やっぱ私の出番はなくない?』
ソファーに腰掛け、テーブルの上のお菓子を食べながら
写真片手に魔王様が魔女に問いかける
『まぁまぁ、用件はここからだよ
あんたのとこにいるという若い子
恐らく実行犯なんだろうと思う
そこでだ、言い訳が出来ない証拠が欲しいんだ
その為に見張りをつけて作業の一部始終を映像で残す』
と魔女が言う
『いやいや無理だよ。私は課が違うし
後ろで録画してたらおかしいだろ
例え同じ課でも無理だろ?
実録!24時間!みたいなんになるやん』
魔王様が手を顔の前で左右に振りながら
呆れた顔で説明する
『いやあんたに頼むはそこじゃないよ
さすがに私もそんな事できないって事は
わかるさ
あんたにはサポートしてもらいたいだけなんだよ
この子のね』
そう言って手のひらを差し出す
『ん?なんだよ?』
と魔王様が魔女の掌を見ると
ピースしてる小さなマウがいた
『イェイ。こんちちわ、魔王様』
マウは魔界からこの世界に飛ばされてきた元魔王様の部下
転生ではないので自分のスキルを使えるのは自身の体だからだ
『マウの能力を使って〜か』
なるほど、という感じで納得してる魔王様
マウの能力を使えばカメラをしかける事も可能だし
マウがそこにいてそのまま録画しててもバレない
そういう事か
『でもさ〜そんな周りくどい事しなくても
そいつらのとこ凸れば?
いきなり殴り込めばいいんじゃん?』
と魔王様はわざわざ証拠なんていらないんじゃ?という
疑問を魔女にぶつける
『まぁそれでもいいんだけど、それだと心の底から
屈服させれないんだよね
こいつらに自分達以上の能力を示してやるのさ
ぐうの根も出ないくらいにね
いつ自分達が監視されていたのかさえわからない
自分達の存在やしてる事がしっかりばれていた!
という感じで上には上がいるとわからせる
それから悪い事をすればお仕置きがあるんだよ
人知を超えた力によってね
バチがあたるってやつだ』
と魔女が言った後に今後の作戦を説明した
『おーけーおーけー。わかったよ
私はマウを会社に連れて行き
連絡をとりつつ、何かあればサポートね
了解した』
と魔王様は快諾した
『すまないね、私らの問題なのに』
と魔女が申し訳なさそうに言う
『いや、私の友人のプロジェクトなんだ
邪魔されたら彼女の悲しい顔を見る羽目になるからな
それは困るのだよ
あと、こいつ 須磨三笥瓊が気に食わない』
と言って写真をテーブルにサッと投げる
『こいつ すまみすぬ って名乗っているのかい
はっ、とことん子供のいたずらだな
ふふ、けっさくだよ、馬鹿にして』
と魔女が呆れる
『ん?どうした?本当の名ではないのか?』
と魔王様が魔女が苦笑いしてるのを疑問に思い聞く
『本名なんて知らんけどさ行く先々で名前変えて
それに対応する人物の存在を作り上げているんだろう
毎回犯行のたびに名前は違うのかもね
今回は調子に乗って他人を小馬鹿にした
名前で乗り込んでるだと思ってね
逆から読んでみなよ』
と魔女が呆れて写真を眺めながら魔王様に説明した
『逆さまにして?すまみすぬ……
ぬ、す、み、ま、す
ぬすみ、ます……
なんだこれ、ガキか』
魔王様も溜め息が出るくらいの呆れ顔で魔女を見る
『ふふ、かわいいじゃないか
いたずらも程々にってね
さぁ教えてあげようじゃないか
明日から頼んだよ、まおうさま』
と魔女がとても楽しそうにして魔王様に握手を求める
『わたしは〜特に何もしないがな
マウの面倒だけ気をつけて見とくさ』
と魔女の手を取り立ち上がる魔王様
花粉のない世界にいってみたい