パラレルワールド
23ボブ
緑の絨毯が眩しい広々とした公園。鳥たちのさえづりが平和な街だなと改めて気付かせてくれる。燦々と輝く太陽のもと、青々と広がる芝生の上をボブとジョーンズが大きく手を振り行進している。
その表情は真剣そのもの。
季節は8月ももう終わろうとしている頃で、時計の針は11時を少し回った頃。
灼熱の日射しが肌を突き刺し、大きく振っている腕からは流れる汗が飛び散っている。
行進を始めて20分が経過すると、先頭を行くボブの腕時計のアラームが鳴った。
「ぜんたーい、止まれ!」
ボブの掛け声と共に、2人の動きが綺麗に止まると、気が付けば鳥たちのさえずりも止み、一瞬、時が止まったかのような錯覚がジョーンズを襲う…が、ボブの声が時の流れを呼び戻す。
「番号!!」
錯覚から覚めたジョーンズ。カカトをバンッと揃え、背筋をピンと伸ばす。
「1!」
ボブの顔が鬼のような表情に変わった。
「おい!貴様!何故1と答えた!」
「わ、私1人しか居ないからであります!」
「馬鹿者!お前は5番と言ったはずだろ!」
「し、しかし上官…」
「貴様、上官に逆らう気か!」
ボブの平手がジョーンズの頬をとらえる
ピタンッ…
軽い音のすぐ後に、ジョーンズは一歩下がり
「自分は5番であります!」と若干空を見上げるように言った。
どうやら軍人の遊びをしているようだ。