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こんにちは赤ちゃん?・上

登場人物紹介


蟲騎士……〈勇者殺し〉の名を持つ全長20mの人型モンスター。虫タイプ。勇者と英雄の役割を持つ人間が苦手。


ナナジ……蟲騎士と同化しその額に女性の姿で生えている。性格が残虐で争いと戦闘を好む。


シズカ……前鹿郡領主の次女。赤竜乙女のあだ名がある男女問わずの色欲魔。


マチルダ……元山賊。シズカに捕まり配下になる。シズカの色欲が苦手。


クルト……元千の軍所属の機械甲冑乗り。帝国東要塞の生き残り。


ハチ……元東方軍の機械甲冑乗り。帝国東要塞の生き残り。


バナン……元東方軍の騎士。帝国東要塞の生き残り。


タルン……武器屋の商人。事故で困っていた所をシズカに助けられ旅の手伝いをする。


ヴォルケ……前鹿郡領主でシズカの父親。レオンを養子にして領主の座を譲った。


マルティ……タルンに雇われていた傭兵。弓が得意。元冒険者。


ロカ……タルンに雇われていた傭兵。槍が得意。マルティとは同郷。


リズ……使用人見習いの少女。ブラッツに助けられた過去がある。


デイブ……元山賊。マチルダの腹心(自称)


ジョン……元山賊。マチルダの部下。アンナとは夫婦。


アンナ……元山賊。マチルダとは幼馴染。ジョンとは夫婦。


ガイ……マチルダに雇われていた傭兵。大剣使い。


ヤマ……シズカが雇った傭兵。過去の勇者が作った武器ライフル銃を使う。


デク……マチルダに付いてきたモンク。謎が多い。


アベル……シズカの小姓として雇った少年。


アレックス……シズカが雇った傭兵。元料理人


トカゲ……鹿郡領の兵士。

 シズカが帝都を脱出してから雇った傭兵達が湯屋の大部屋に集まりそれぞれ勝手に飲み食いを始めていた。

 最初は運ばれた豪華な料理に誰も手を付けず長であるシズカを待っていた。おそらく父親の話しとやらのあと再契約の話しになるだろうと待っていたのだ。

 彼ら傭兵とシズカとの契約は彼女を無事故郷に連れて行く事。

 鹿郡に着いたので契約は終了。だがシズカの傭兵で本人とちゃんと契約を交わしたのはヤマとアレックスの二人だけ、他はタルンが雇った傭兵とマチルダの元山賊団だった。

 酔って金の話しは出来ない。

 だが庭で身体を動かしていた五人が汗を洗い流して遅れて大部屋に入りクルトが席に着いてすぐヒョイパクッと肉料理を食べだして全員「あ」と声をだした。

 こうなっては誰も遠慮する事無く料理に手を出し勝手に追加注文や酒を頼みだした――


「バナンさん。少しお話よいでしょうか?」

「う〜ん? どったのアベル君。きみも飲むかいい?」

「い、いえお酒は結構です。ぼ……僕の師匠になってもらえませんか?」

「ん〜良いぞ〜俺の騎士団第一号団員にしてやる! ゴクゴク……ぷふぁー! 美味い!」

「あの、そうじゃなくて、え? 騎士団?」

「おう! まずシズカ夫人に名前と金を借りててだなあ! 人と旗と〜……後どうすんだけか?」

「酒に弱い癖にあまり飲むなよ」

「何だよハチい……クルトも頷くな! お前らどうすんだ? ここに雇われるのかあ?」

「そうだなぁ。クルトどうする?」

「機械甲冑に乗らない機械乗りはただの役立たずだ」       

「だそうだ。森林砦のあのひよっこ共を鍛えるぐらいの仕事はあんだろ」   

「森林砦か、帝国の東要塞に似ていたな」

「ガイは東要塞に行った事があるのか?」

「傭兵として何度かな。それに向ってる途中で陥落したんだ。アレックスは?」

「俺は行ってもずっと厨房にいたよ。故郷を出る時は冒険者になりたかったのになんで荷物に包丁が入ってたんだろ……」

「故郷には帰らないのか?」 

「無事を知らせる手紙は出したが帰る気は無いよ。金を貰ったらここで小さい飯屋でも始めようかな」

「おやアレックス君もここでお店を始めるのかい?」

「タルンさんも? ご家族はどうするんです?」

「もちろん呼ぶさ。ここの領主に中央の最新式の武具や兵器を買って貰う為に夫人に付いて来たんだからね」

「あれ? 旦那、中央行かないんすか?」

「じゃあ俺達の報酬どうなります?」

「あ、じゃあ後でマルティ君とロカ君に報酬を払うよ。もちろん契約通りね」

「やったぜ!」

「だがこの後どうする?」

「俺のカンだと夫人と領主の間で戦になるような気がする」

「傭兵団はやだぞ」

「俺だって嫌だ。バナン! さっきの騎士団の話し俺達にも噛ませろ!」

「おう! お前らは二号、三号だぁぁぁ!」

「酒くっさ!」


「何かうちで戦をするような事言われた気がする……」


 大部屋の隅に立ち何やら物騒な話しを始めた傭兵達を見張るために豪華な料理も仕事で食べれずトカゲはイヤ〜な顔をしている。

 そんなトカゲにヤマが近づいて来て声をかけた。


「トカゲ少し良いか?」

「トカゲって呼ぶな!」

「自分で名乗ったんだろ。あの前領主の事で聞きたい事があるんだが」


 ヤマは銀貨数枚を持ってチャリンと鳴らす。情報料は払う。


「ヴォルケ様か? ……俺が話したと言わないでくれよ? 何だ?」

「あの男はハーフエルフなのか?」

「やっぱそれか。俺達(調査隊)も過去に調べた事がある。ヴォルケ様のご両親は人間だった。これは間違いない。だが母方の何代も前に一人エルフがいたんだ。血も薄く耳も尖っていない先祖返りだ」

「シズカ夫人にエルフのスキルや能力は無いのか?」

「おそらく無い。他のお二人の姉妹にも無かったからヴォルケ様の一代限りだな。あとこれは噂なんだが現領主のレオン様に仕えてるエルフの魔術師が居るんだがそのエルフがヴォルケ様の先祖だって噂だ。どこで出会ったのかその縁で男子のお子が居ないヴォルケ様は〈領主(ロード)〉の役割を持つレオン様を自分の後継者にする為に養子にむかえたんだ」

「シズカ夫人が後継者じゃ駄目だったのか?」

「南部は昔程じゃないがまだまだ男社会だ。娘達じゃ難しいと思ったんだろ。初めはレオン様にシズカ様を嫁がせて婿養子するはずだったらしいんだがレオン様にはここに来る前にもう心に決めた奥方がいたんで断ったんだ。それで結婚はやめてヴォルケ様の養子にする事に変えたんだ」  

「シズカ夫人はその奥方を恨まなかったのか?」  

「それが不思議とシズカ様と奥方様は仲が良かったんだ。領都から体の弱い母君の湯治で一緒にこっちに越した後もちょくちょく遊びに行ったり来たりしてたみたいだ」

「なるほど……知りたい事は分かった感謝する」


 ヤマは銀貨を多めにトカゲに渡そうとしたがトカゲは受け取る前にヤマに聞いた。


「所であの坊さん何者だ?」

「デクか。すまない奴の事は俺もよく知らないんだ」

「そうか」


 情報交換は出来ないようなのでトカゲは金を受け取った。   


 二人の視線の先。精霊魔法で透明化したヴォルケを捕まえたデクはドレスを着るマチルダが座る席に元山賊達と一緒に集まって自分達の(かしら)の変身に驚いていた。


「マチルダ とても 可愛い」

「着飾ると変わる思ってましたけどここまで化けますか」

「マチルダさんて本当に女の子だったんすねえ〜」 

「……よ〜し。お前らそれ以上喋んなぶん殴るぞ」


 不機嫌そうなマチルダは自分が飲んだグラスに薄く付く紅を見てあ、と声を出した。

 アンナがもう男前ではなく美女の顔になったマチルダを覗きこんだ。


「本当それどうしたの?」


 アンナの幼馴染は化粧品は一つも持って無いしメイクの仕方も知らない筈だ。更にいつも括るか下ろすかだけで伸ばし放しだった金髪を編んで結い上げられ眉まで整えられていた。


「服と髪はリズが顔はナナジがやったの!」

「朝からナナジの天幕に行って何をしてるかと思ったら……」

「リズが一人で行くのは怖いと頼まれて付いて行ったらあたしの服を準備してたの! 逃げようとしたらリズが泣きそうな顔で着替えるだけで良いと言って仕方なく服を着たら今度は髪と顔を!」

「二人に完全にはめられたね」

「リズがあんな悪戯する明るい子だったなんて……」


 二人の最高傑作が完成した時ナナジとリズはマチルダの前でイエーイ! と手を合わせて笑っていた。

 馬小屋からの騒ぎが聞こえたのはそんな時だった。


「旅の緊張から解かれたんだろうね。歳相応で良いじゃないか。あたしらがリズぐらいの頃だって……」

「あの頃はもう人を殺してたよ」


 そう、リズぐらいの時にはもう何度も親の隣で仕事をしてきた。人も殺した。自分に付く「妃」と訳の分からない役割など意味はない。山賊として生きて何処かで野垂れ死ぬ人生だとそう思っていた。山賊王の父がヴォルケを連れて来るまでは――


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