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巨大モンスターの目覚め



 ※※※※……□□□□□99%□□□□□



(うん?)


 化物は気が付いたらこの場所に居た。


(え? あれ? ここは?)


 初めて見た物は黒い石材で隙間なく積まれた壁。

 視線を下げると鏡の様に磨かれた黒石の床、その表面には銀で複雑な模様がびっしりと描かれ所々染みのような汚れがこびりついている。


(俺は確かキャラメイクをして、※※※※※※をして? あれ? なんだ?)


 何か呟いた後すぐに忘れ、思い出そうとするがノイズが走って思い出せなくなった。


(え~っと)


 左手の方向に開いている両開きの門の向こうへ、誘われる様に体の向きを変え左足を一歩。


 ズシ~ン!


(ずしん??)


 動きが止まる。下を向いて自分の体を見る。

 まず目に飛び込んだのは灰色の鎧。

 ボロボロの腰巻き。

 そして先程の足音を立てた左足とその先から昆虫の四本の脚がまるで足の指の様に伸びて黒と銀の地面をつかんでいる。


(え? は? へ? 何だこれ? 俺の体か??)


 化物は慌てて両手を顔の前まであげる。

 足の指の様に両手は昆虫の脚が集まって手の形を作っていた。

 指の数は四本、篭手のよな前腕が膨らんでいて大きかった。


 鏡のような黒と銀の床に映る化物の顔はまるで蚕と呼ばれる蛾に似ていた。

 顔を白い羽毛のような毛で覆われ。

 黒いお目々をキョロキョロ。

 櫛状の触角をピクピク。

 背中に短い翅をパタパタ。

 ここだけならまだ可愛いが口から鍬形のような凶悪そうな大顎を生やし、鎧のような形をしたずんぐりした体から昆虫の脚が集まったよな手足。


(何だこれ???)


 虫の手で鎧に触れると、昆虫の殻のような感触と手に触れられる感触。


(やばい。これ生き物だ。ロボットとかじゃ。※※※※ってなんだ?)


 鼓動の驚きとノイズに困惑する。


 頭中がごちゃごちゃになってるがある言葉が頭に浮かぶ。

 今度はノイズは出なかった。


(俺……モンスターだった?)


 モンスター。人間ではない。人間の敵。魔物。怪物。怪獣。化物。しかもこの体は巨大。巨大モンスター。中ボス。ラスボス。虫タイプ。見た目だけのクソ雑魚。


(誰がクソ雑魚じゃ!)


 化物はクソ雑魚という言葉に何故か不快になった。


(と、とにかくここから出よう)


 落ち着いてから門をくぐろうとする。横は問題ないが高さが少し低いので頭を下げてくぐろうとしたが何かが引っかかる。

 昆虫の手で頭を触れると櫛状の触角が引っかかっていた。

 先程よりもう少し低く頭を下げて外に出る。


 外に出て見えた物は切り裂かれたような急な谷。右の奥には滝が、左には谷の向こう側に街のような建物が見えた。周辺は高い崖のような土の壁がここらを囲っている。


 門からでて壁と同じ石材で作られた道を少し進めば巨体でも渡れそうな大きな橋が谷に掛かっていた。橋の手前には両側に台座があり、そこに金色でずんぐりしたした騎士の像が立っている。


 巨体をふらふらさせながら騎士像まで歩き、大きさは化物の膝程しかない像と自分の鎧と見比べる。


(形が全然違うなあ)


 騎士像の鎧はツルンと丸く。自分の鎧はカクカクとした逆三角形の形をしている。


 顔を上げて目の前の橋を慎重に渡り始める。

 歩き辛い。

 よろよろと進む。

 下を見ると落っこちそうでこわい。


 右手の方を橋の上から見ると下は大きな湖になっており奥の滝から絶えず水が流れ落ち、谷底は川になっていた。


 橋を渡って真っ直ぐ進む道はあるが左手には街だろうか石材で建てられた大小の建物が幾つも並んで見える。街の入口だったのかアーチ状の門が崩れていた。


 街を見渡してみえる物で自分の大きさを測ってみる。


(これが人の大きさなら俺はかなりでかいな20メートルはあるかも)


 振り返って自分が出てきた門の方を見ると崖の手前に自分がすっぽり入る程の巨大な円柱の塔が建っている。塔にも銀の模様が刻まれていた。


(そういえば人が居ない?)


 塔からこんな怪物が出てきたら普通は大騒ぎではないのか? だが化物の目には石の街に動く者が見えない。


(こんな時こそ、すいませ〜ん誰か居ませんか〜? だな!)


 こんな時に怪物は能天気な考えが浮かんだ。


 息を吸い。口を、大顎を開き声を吐く。


「コロロロロロロン!」


 だがでた声は想像してた物と違う物だった。大鈴を転がしたような声が広がる。


(……は?)


 鍬形のような大顎が開いたまま止まる。


(今の俺の鳴き声なの?)


『目覚めたか』

(ひ!?)


 まさか本当に返事がくるとは思わなかったので驚いて飛び上がる。


 ……本当に飛び上がる。


 脛から足先の指までが幾つも縦に割れ両足から八本の飛蝗の後脚に似た脚が飛び出し地面に叩き付ける。それだけで周りの道が砕けた散った。


 爆発したような音と同時に蛾の化け物は脚の力だけで文字通り飛び上がった。


(は?)


 驚いたと思ったら景色が変わった。


 先程まで見てた街が真下に広がる。上から見ると街は奥の崖まで続いているようだ。崖を登るための階段が見えた。


(もしかしてジャンプした? さっきの声は?)


 思った瞬間。


 べチ〜ン!


(がっ!? 天井? あ、たかあああああ!)


 黒い屋根が迫る。


 顔を両腕で守り屋根を腹から落ちて突き破る。

 四つん這いになって着地。

 衝撃で床が抜ける。

 さらにもう一階突き破って止まった。 

 落ちてきた瓦礫が鎧に当りコーンと音が響く。


(痛っっ! たくない?)


 瓦礫の中に椅子のような物が目についた。お腹の下には机のような物が潰れていた。


「あ! 家だここ! すいません! すいません!」


 コロロ! コロロ! と化物は鳴いて立ち上がる。残ってた屋根を頭で突き破り。アーチ状の入口まで戻ろうとする。


「ああああ! ごめんなさい! すいません! あ! また! すみません!」


 道に戻る途中その巨体で四軒程の建物を破壊してしまった。


(やっべぇ~! 壊しちゃったよ)


 アーチ状の門を跨ぎ街の入口に戻って振り返る。こんな騒動でも住民は一人も現れなかった。破壊した建物から住人の物だろうか落ちた箱の蓋が開き、中に美しく染めらた衣服のような布が見えた。


(やっぱり人が居ない。でも最近までここで人が暮らしていたのか?)


 背中をぶつけた天井を見るとその高さに呆然とする。ここは広い地下空間のようだ。だがとても明るい。化物がぶつけた天井に跡が残っているのが見えた。


 崩れたりしないだろうかと心配になった時またあの声が聴こえた。


『落ち着け』

「ひ! だっだれだ!」


 今度は言い返す。


「で、出てこい! あ、いや、あの、出てきてお話しませんか?」


 化物の腰が引けていた。


『我々はもう側にいる』


 側に居ると聞いて怪物は身構えて辺りをキョロキョロとして探す。


「わ、我々? じゃ、じゃあ皆さんも出てきませんか?」

『ここには我々しかいない』

「???」


 いる? いない? 意味が分からず混乱する。


『まだ目覚めていないな』

「すいません、何言ってるのか」

『目を覚ましなさい』

「だから何を言って……うっ!?」


 声に反応したかのように化物のものでは無い何かがドクンと跳ねる。


『体はもう大丈夫、そこから出れるはずだ』


 何かの鼓動は速くなり視界が暗くなっていく。


「な……に……?」

『もう大丈夫。目を覚ましなさい』


 優しそうに言う声をどこかで聞いたような気がした――



 ※※※※……□□□□□100%□□□□□



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