はじまりはじまり〜
この世界は百年に一度、勇者と魔王が戦う「役割の世界」と呼ばれる世界。
この世界では勇者が勝利すれば秩序の光の時代になり、魔王が勝利すれば混沌の闇の時代となる。これを百年ごと繰り返すようにと神々が造った世界である。
巫女は問う。
「なぜ神々はこのような事をするのでしょう?」
賢者は答えた。
「分からん……だがそれが役割の世界だ」
勇者戦記録という歴史書を開けば、過去に何十人もの勇者達が百年に一度、異世界より転生して魔王と戦った事が記されている。
一人の戦士として生きた者、機械甲冑乗りとして生きた者、技術者として生きた者、軍団の指揮官として生きた者、国の指導者として生きた者、何もせず自由に生きた者など、戦記録を読めば様々な勇者達がいた事が分かる。
そんな記録の中、異例な記録があった。
策略と謀略で大陸の西、西方領を支配した〈女王〉ベアトリス。
最強の戦士、最強の〈英雄〉アイザック。
無敵の〈軍団長〉漆黒の兜と鎧で姿を隠した漆黒騎士。
そして。
一体の魔物を使役して操る〈小魔王〉シズカ。
そのシズカに使役された〈巨大モンスター〉蟲姫騎士。
勇者戦記録にはそれらの名は多く記されては居るが、勇者の事が全く記されていなかったのだ。
この物語は、その戦記録の十五年目、大陸の中央にある帝国の西辺境、とある地下ダンジョンから始まる。