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秋の桜子詩集

お人形あそび ~言霊

作者: 秋の桜子

可愛いよ 綺麗だね 私のコ


絵描きが毎日 語りかけるは


一体の お人形



磁器の肌色 長い睫毛の碧の色


カールさせた 長い髪


アンティークのドレス着た


可愛し 人形 花の中


毎日あつい声をかけ 夢を語り


恋の言霊 ふりそそぐ


人形 ゆるりと 目を覚ます




瞳に宿りし 綺羅の色


磁器の肌色 薔薇の頬


物言わぬ 瞳に 色浮かぶ




可愛いよ 綺麗だね 私のコ


絵描きが 毎日 語りかけるは


恋を知った お人形




潤む 碧の瞳に 願いを のせる


磁器の肌 薔薇色頬に 想いを 込める


わたしだけを 見ていてほしい


わたしを ずっと そばに置いてほしい


物言わぬ お人形


願う事は その二つ



可愛いよ 綺麗だね 私のコ


ほら 出来たよ 君の絵が


絵描きは 満足そうに


眺める キャンパス


ドールの絵


恋を夢見る ドールの絵


綺麗だよ 終わりだね


絵描きは それに サインした



さあ やれやれ


絵描きは バサバサ 片付けだした


白い布かけた テーブルに


座るお人形 無造作に


段ボール箱へと しまいこむ


白い布に 適当にくるまれ


新聞紙を詰め込んだ


段ボールへと さよなら言わずに


詰めこんだ



花を片付けてから


人形探しに行こうかと


出かける準備を 始めてる




自分勝手な 絵描きの男


あれほど熱い 言葉をかけた


日々など 所詮は フェイク


自分の 世界を創るため


放った言葉に過ぎぬのか


共に飾られし 赤い薔薇


男の 勝手に 腹をたて


トゲを鋭く 尖らすが



心無き 絵描きの男


身には刺さっても


心には刺さらぬ その想い


赤い薔薇も 無造作に


新聞紙にくるまれ


ゴミとなる



心をもたぬ 絵描きの男


綺麗さっぱり片付けて


次は 日本人形シリーズか


アンティークは もう飽きた


テープを貼りし 段ボール


倉庫にしまうと


さよなら言わずに


鍵かけた



棺の中の お人形


闇の中で 心を閉じた


夢見る瞳の お人形


ゆるりと 静かに


眠りについた 箱の中


碧の瞳に うつりしは


黒い色した 闇ばかり……



挿絵(By みてみん)


























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― 新着の感想 ―
[良い点] お人形の絵、星の輝きはお人形の瞳からこぼれ落ちた涙でしょうか。 切なさとやるせなさが美しい世界観でした。 [一言] >身には刺さっても 心には刺さらぬ その想い 薔薇の反撃のこの表現が好…
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