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薄幸の手紙  作者: zail
3/6

第三話 マッドなのはデフォなのか

 前回のあらすじ。

 なんやかんやで、世界の行き来が出来ることが判明。

 連絡用に携帯をいじりに行くそうだ。

 ……あれ? 携帯を変える度にしなくちゃいけなくね? 金とかかんのかなぁ……。

 何とかなってほしいと切実に願いたいお年頃です。


 で、外に出たわけだが――

「何かこの辺何もなくね?」

「わたしの家は?」

 確かにそこには予想通り、豪邸とはいかないものの、十分でかい部類に入る家があった。

「いや、逆に言えばそれしかないじゃねーか」

「ん。前はお城だった」

 …………城?

「いや、何故城が?」

「クソ――叔父さんが」

 おい、今なんて言おうとした? すげえ毒を吐くところじゃありませんでした?

「叔父さんって――魔王?」

「ん。姪だから城くらいは、って」

 流石異世界。いや、それとも魔王? そんな理由で城を建てるとは……。親馬鹿ならぬ叔父馬鹿?

「でも、邪魔だから壊しちゃった」

「ぅおいっ!!」

「だって、無駄に広い」

「いや、まぁ城だしなぁ」

「庭も一緒にどーんって」

 いや、どーんって、ってなんだ。そんな簡単に破壊できるもんなのか。城も庭も。

「それで、建て替えさせたの」

 建て替えてもらったんじゃないのか。なんか魔王をこき使う姪? すげぇ力関係だな、おい。

「アレでも大きいほうじゃないか?」

「もう面倒になったから?」

 聞くな。

「……城を吹っ飛ばすのは面倒じゃなかったのか?」

「ん。大したこと無い」

 あるに決まってんだろ。庭ごとだぞ。

「んで、ここが無駄に広いのは、庭だったところがほとんどってことか?」

「うん。人里は少し離れてる」

 確かに人が住んでる気配は皆無だけど。自然がそのまんまだ。……いいなぁ、今度昼寝でもしてみようか。気持ちが良さそうだ。

「それじゃあ行こう」

 手を前にかざし、見に覚えのあるものが目の前に現れた。

「何でこれなんだよ」

 そう、俺達の目の前にはあの禍々しく、忌々しい俺をこの世界へ運んだあのいい印象がまったくしない扉だった。改めて見ても地獄への扉といわれても納得が出来るくらいの外見だ。

「移動用の魔法」

「……せめてもう少し外見をどうにかできなかったのか? 正直怖いんだけど」

「大丈夫」

 とか言われてもね。不安なんだよ、チキンで悪かったなこのヤロー。

「だから大丈夫そうには見えないんだよ。外見をど――」

「えい」

「――のぉぁぁああ!!?」

 さ、流石俺。ギリギリ踏み留まった。

「いきなり何しやがる!?」

「……いつまでも煩かったから?」

 理由は聞いてない。

「いや、しかしだな? 以前これに入った時は気絶したじゃないか。警戒するのは当たり前ってもんだろ?」

「あ、それはわたしが」

「は?」

「煩かったから魔力を流し込んだ」

「……それで気絶した、と?」

「うん」

 うん、じゃねぇぇええええ!! でも言わない。何されるかわからないから。

「なぁ、俺をいたわるとか考えなかったのか? 無理やり気絶させて体にいいとは思えないんだが」

「…………」

 目を逸らすな。口笛吹いてごまかすんじゃねぇ。吹けてないけど。すーすーと空気の音しかしないけど。

「吹けてないぞ」

「こういう時は吹かないものって……」

 誰だ、そんな訳のわからん知識を植えつけたのは。

「それは置いておくとしよう。歩いてはいけないのか?」

「いけるけど……」

「よし、じゃあ歩こ――」

「3日かかる」

「――マジか」

「うん、マジ」

「これ、くぐっても気絶しないんだよな?」

「ん、大丈夫」

「何でこんなデザインにしたんだ?」

「この方がかっこいいって、ク――叔父さんが」

 魔王さん、あんた相当嫌われてますね。2度に渡って、恐らくはクソ親父と言われるところでしたよ。

「おっし、お前を信じよう。――行くぞ……!」

「ん?」

 首を傾げながら頷くという器用なことをやってのける。心情はこんなことでなんでそんなに気合入ってんの? とかそんな感じだろう。

 こうしておけば大概大丈夫なんだ。敗北イベントでもなんだかんだで生き残れるんだ……きと。

「せやぁぁぁああああっ!!」

 意を決して扉の中へ――

ガンッ!

「お――が――ぁ――……」

 痛い! 猛烈に痛い!! 痛いいたいイタイッ!!

「……君、何やってるの?」

 頭をぶつけてごろごろとのた打ち回る俺に、明らかに呆れたような声色で女性の声がかかる。

 ――くそっ、こんなことなら気合を入れてダイビングなんてするんじゃなかった……!

「……頭、大丈夫?」

 やめてくれっ、そんな言い方じゃ俺は頭が可哀想な人じゃないかっ!

「だ、大丈夫だ……」

「ああ、いらっしゃい。何か用かしら、メイちゃん」

「うん」

「で、そこで這い蹲ってるのは?」

「ん。――ん?」

「……どうした?」

 ようやく痛みが引いてきたぜ。テンションに身を任せると酷い目にあう、と。知りたくも無いことを知ってしまった……。

「名前」

「ん?」

「名前、知らない」

「……そういえば教えてなかった気がする。……そもそも、お前の本名っぽいのも聞いてない気がする。メイって単語以外の」

 気がするばっかりのような気がする。ごめんなさい、自重します。

「大丈夫? 貴方達。色々な意味で」

 駄目かも知れません。

「ま、改めて自己紹介と行こうじゃないか。で、お前の本名は?」

「―――−」

 口をパクパクと金魚のように開け閉めを繰り返すも結局何も喋らない。

「……どうした?」

「長いから面倒」

「おい」

「でも、メイが入ってるのは本当」

「てっきり渾名かなんかと思ったぜ。魔王の姪だから、なんて言ってたし」

「間違いじゃないからそれでいい」

「……わかった」

 なんだかなぁ。

 大変ねぇ、とかしみじみと呟かないでください。悲しくなるから。

「貴方の名前」

「……笑うなよ?」

「何故?」

「……保障は出来ないわね」

 しろよ。

「春哉。只野ただの春哉はるやだ」

「ハルヤ――うん、ハルヤ……」

「タダノハルヤ……タダの、春屋? ――プッ!」

 しみじみと復唱するヤツと、失礼にも大笑いするヤツ。

 どっちがどっちかは言わなくてもわかると思う。恐らくこちらの日本のことも知っているのだろう。

「アハハハハッ! それで何!? 春でも売ってるの!? 春ですよー、って……? ぶふぅっ!!」

 より一層強く吹くな!

「だぁぁぁああああっ!! だから嫌だったんだ!!」

「……――――!」

「アハハハハ――は、は……?」

 突然ピタリと笑うのをやめた女性。

「えー、っと……姪ちゃん? 何でそんな魔力のこもった指を私に向けてるのかしら……?」

「大丈夫。魔法は打たない」

「……その魔力をぶつけられるだけでも十分危険なんだけど……?」

「大丈夫。即死じゃなければ」

「……それは、貴女ならそうだろうけど……」

 こいつがとんでもなく強いヤツだってのは本当らしい。


ピロリロリン♪

 ――即死じゃなければ何とかできる凄いヤツに格付けされた。


 ……何だ、今の……?

「えー、とね? 何でそんなに怒ってるのか聞いていいかしら……?」

「ハルヤ、嫌がってる」

「えー、と……」

「笑わないで欲しいって、言った……!」

「わー! 謝る! 謝るからその魔力どうにかして!!?」

「なら早く謝る」

「ごめんなさい! 出来心だったんです! ついうっかりしてたんですっ! ついカッとなってやってしまいましたぁっ!!」

 うん、支離滅裂。人は極度の恐怖状態に陥ると訳わからん位に錯乱するようです。

 でも、感謝だぜ。俺のためにここまでしてくれるなんて……。おじさん、目から汗が出るよ……。

「わかったわかった。正直俺も目の前でスプラッタなんて見たくない。という訳でその手を下ろせ」

 その言葉を聞いて手を下ろすメイ。そしてホッとする目の前の女性。

 と思った次の瞬間もう一度指を向けた。

「ぶっ!?」

 頭が弾かれた様に後方へ。

「な、何……?」

「それで許してあげる」

「…………」

 下手な抵抗は身を滅ぼすと知ったのか、無言になる。

「……そういや、アンタの名前は?」

 空気を変える意味で切り出した。

「……へ?」

「いや、へ? じゃなくて。名前だよ。俺は名乗ったんだからそっちも名乗るのが筋ってもんだろ」

「あら、言ってなかったかしらね」

「言ってなかったかしらよ?」

「ハルヤ、変」

 うるせぇ。

「エリル。――エリル・フライドルよ。まぁ、好きに呼んで頂戴。――ああ、でも変な呼び方したら……わかるわね?」

「は、はい……」

 何かゾクッて来た! 背筋がブルッてなった! やべぇ、マジ怖ぇ!!

「わたしはエリィって呼んでる」

「へー、そーなのかー」

「……わたしはエリィって呼んでる」

「うん、わかった」

 何だ? 何故繰り返す?

「……わたしは、エリィって呼んでる……!」

 うぉあ! またゾクッて来た!?

 ふと隣を見ると無表情なんだけど何か凄い威圧を感じる。でも視線はこちらに向けてない。

 ……つーか、なんかオーラっぽいのが出てる……?

 俺の直感が言っている。下手な発言は身を滅ぼすと……! 発言しないのも危険であると……っ!

「じゃ、じゃあ、俺もエリィって呼ぼうかな?」

「うん」

 よし、乗り切った! 隣の威圧感が霧散した……! 俺、やり遂げたよ、皆……っ!

「まぁ、それは置いといて」

 置いといて、とジェスチャーをする。あれはこっちの世界でも共通なのか……。いやいやそうじゃない。置いておくなよ。俺の命が割と真面目に危なかったんだぞ?

「貴方達は何しに来たのかしら?」

「ハルヤ」

「ん?」

「携帯」

「ん? あー? あ、ああ。はいはいはい。そういうことか」

 何を言いたいのか察した俺。ポケットから携帯を取り出す。

「……それ、現界の?」

「うん」

「つまり、こっちと向こうで使えるようにってことね?」

「ん、そう」

「まぁ、確かにできるわ。でもな――ああ、そういうこと」

 何故、と繋げようとしたのか。だが途中で何か納得したらしい。

「つまり、そこの彼は現界から拉致ってきちゃったと」

「そうともいう」

「そうとしか言わん」

「……ハルヤ、細かい」

 何がだ。全然細かくない。このままでは話が進まないと思った聡明な俺は言葉を紡ぐのを堪えた。流石俺。偉いぜ。

「うふふ、うふふふふふふ……」

 な、何か急に笑い出した……?

「何て幸運なのかしら……。まさか現界のモノを弄れるなんて……。ねぇ、それ、バラしてもいいかしら?」

 まずいに決まってる。だがそう答えることこそ間違いなくまずい。

「あ、ああ。ちゃんと元通りにするなら」

「任せて頂戴! 依頼もちゃんとこなすわ! ああぁぁあああ、テンション上がって来たぁぁぁああああ! ヒャッホーゥイ!!」

 何だこのキャラ崩壊。

 とりあえず確信したこと。

 この人、間違いなくマッドだ――――……っ!!

大変お待たせいたしました。待っていた人がどのくらいいるかわかりませんが、とにかくお待たせいたしました。

感想、その他全力で待ってます。

誤字脱字があったらお知らせください。

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