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キュニョーの砲車

 ニコラ―ジョセフ・キュニョー、彼はフランスの砲兵士官、とも言うべき立場にあった人物である。何故士官と言い切れないかと言えば、当時砲兵士官はあくまでも軍内部で勤務する文官という扱いであったからだ。貴族でなくとも士官にせねばならんからだ。砲兵は極めて物理計算に通暁暢達せねばならぬ。人はこれを弾道学という。


 さて、大砲を動かす動力は当時は、と言うか第二次大戦まで基本は、馬である。馬。馬には大きな欠点がある。解るかね、諸君?

 生き物、というどうにもならない欠点がある。つまりはマグサを毎日食わせねばならぬ。たとえ軍を全く動かさずとも秣を日に何トンも消費するので金がかかる。しかも病気されても困るから管理も大変である。つまり、馬はとにかく金がかかるのである。同じ理由で日本陸軍も馬匹を廃止するために努力はした。結果トラック足りない、馬も足りない、なら人力という凄惨な戦争がだな…


 このとき砲兵総監だったか忘れたが、ともかくそれなりに高い階級であったニコラ―ジョセフ・キュニョーは、馬の代わりになる兵器を考えた。それは世界ではじめての動力車両であった。教科書に出ていたとかそんな話のある、あの茶釜の化け物が付いた代八車のようなあれである。

 しかもこのとき、『高圧』蒸気機関とした。ちなみにこの『高圧』とは、『大気圧より』という但し書きがつく。これはワットよりも早い。この人はやはり鬼才かもしらん。もしくはシリンダに砲身の技術を生かしたとかそんなことだろうか?そこまではわからん。もしかしたら砲の後座とかをみて思い付いたのかもしらん。私フランス語わかんないから誰か原典読んできて。


 で、あの茶釜の化け物はまるまるボイラである。しかしあの当時の作りであるから、熱効率は低い。そもそも熱効率だとかはさらに後の時代に様々な事象が解明されねばならなかったことを考えれば仕方あるまい。そして左右のシリンダで駆動し、クランクは無い。ピストンの直線運動を、車輪側に付いたカムで受け、さらに反対に動くときはカムとリンクが解けるという構造である。傘歯車みたいな気がせんでもない。そして時速五キロくらい。遅いというなかれ。歩兵の完全軍装での徒歩行軍でこのくらいだから必要十分である。しかし、熱効率の悪さから頻繁な燃料補給を必要とし、水も大変だった。さらに、前輪で舵をとるのにそこに動力(ボイラ・シリンダ)を着けたので重い。確か宮殿だかの壁にぶつけてる。人類初の自動車事故である。

 結局コストが引き合わず、この砲車のプロジェクトは闇に消えた。二号機が現存しているとの話があり、是非見に行きたいのだが私フランス語わかんない。

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