魔王ですか?いいえ、ただの日本人です
「......な、なんのことかさっぱりわからない」
ほほう、ここに確固たる証拠があるのに白を切るとはこの幼女、いいだろう。
貴様な罪を白日の下に晒してやろうではないか!
「・・・・ここに記載されている内容は極めて信憑性の高いものだ。何せ一番の古株がずっとコツコツと書いているものだからな。正直ここ数ヶ月支出と収入の額がまったく合っていない。これだけでも大問題だが一番問題なのはこの一週間前の支出金貨420枚銀貨30枚銅貨20枚これを現物と交換しているようだが・・・・何買ったんだ、話してみろステラ?」
「・・・・・・」
「そういえばさっきいい木材が手に入ったと言ってましたね」
「ぁあ、言ってたな、てことは一週間前に手に入れて今日まで徹夜してたわけか?たいした野郎だなおい」
「......すてら、5ちゃいだからわかんな~いきゃ☆」
「このクソ幼女もう12歳だろうがぁぁぁぁぁ!鯖読んでんじゃねぇぇぇ」
その歳で鯖読むとか将来悪女有望すぎるだろ。
反省の色もないとはこれは有罪だな。魔王ザハンド出したろか、おっ魔王拳開放するか?
「....うぅぅ、だって樹齢400年の太陽針樹なんてめったに出てこない
優れ物だしここで買わないと損するって商人のお兄さんが」
それ完全に商人の術中じゃないんですか?完全なカモられてますやん。
てか誰だ幼女に取引させたバカたれは。
「それで確認したいんだけどそのー、なんだ太陽針樹ってのは本当に樹齢400年だったのか?
もう嫌な予感しかしないんだが」
「ええと、現物確認したらね、太陽針樹じゃなくて黒陽針樹っていうのにすり替わってたの。
でもでもそれでも物はいいからこれでもいいかって思って」
「思って?」
「一週間かけて全部使い切ったゃった」
「使い切るなよぉぉぉ!なんで?商品違うのに納得して使い切るの?ねぇ馬鹿なの馬鹿なの!?」
しかもご丁寧に適正価格書いてくれたメモ用紙によると黒陽針樹は平均相場が金貨200枚程度って書いてあるのがまた悲しすぎるよ!倍以上の金取られてるじゃん。しかも使用前ならその商人探してクーリングオフできるのになんで全部使っちゃうのよー、俺が自室に引きこもっている間に何してんだよ。
「てか引きこもるなよ」
「おおい!、心の声を読むなよ!?」
「ステラ罰として一週間人形作り禁止な。作ったら備蓄している人形全部燃やすからな」
途端、眠たげな瞳がカッと見開いてマジマジとこちらを凝視したかと思いきや
「....ふぇぇ人形作れなかったら私は生きていけないよぉ」
あかん泣いてもうた、朝から幼女号泣なんだが
どんだけ人形に人生掛けているんだよ....
いやまて幼女泣かすって端から見たとんでもないクズに見えるのでは...
「うわぁ・・・・・魔王様ないわー」
最近働き出してようやく魔王の素晴らしさを体感し始めた用心棒兼メイドのミリアにまるで時間を守らず昼過ぎにゴミを出しているニートを軽蔑するような近所の叔母さんのような目をしている、、だと
「始めから素晴らしいなんて思った事ないですけどね」
だがしかしここで引いては今後に支障が出るような、いやでも今現実問題引かれているしだがだg・・・
この後ステラが泣き止むまでなぜか謝り続け、一週間人形作り禁止を一日人形作り禁止に譲歩したところでなんとか合意してくれました。魔王って一体なんだろう・・・・自分の中の魔王という偶像が四日目にして崩れ去る魔王でした。
皆さん、改めて始めましてこの世界に転生した元日本人の城ヶ崎美鶴こんな名前でも一応男だからね。勘違いしないでよね!
なぜ転生したかを要約して皆さんにお話しなければならない。この不運が不運を呼んだ悲しい物語をね。