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俺の初勝利



まず、俺は10に会うことにした。


10の居る場所はさっきまで俺が気絶していた洋館とは別の訓練場なるところでいつも鍛錬を積んでいるらしいのでそこに向かって歩いて来て、今その訓練場に足を踏み入れたところである。


中に入ると二人の男がバトルをしていた。

と言うより一人の30代後半に見えるがっしりとした黒人の男が10代ぐらいの白人の青年で遊んでいる様な感じだった。


「光輝、あの二人は誰だ。階級と名前と年齢を教えてくれ。」


光輝は順に指を指しながら答えた。


「余裕で相手の攻撃をかわしている方がクローバーの10のアレクで確か年は30後半ぐらいだったと思うけど良く覚えてない。で、必死にずっと攻撃を繰り出している方が3日前までここの最年少だった14歳のエディでまだあいつは入って半年も経ってないから弱くて階級は2だぞ。」


あれで2番目の弱さなのかよ。

本当にこいつら人間か?


目の前の光景はさしもの少年も驚いた。


少年から見たら二人の動きは普通の人間のそれとは思えない物で、2ランクと呼ばれる少年の攻撃でさえボクシングの大会になぞでれば、前ラウンド一撃K,Oができそうに見える。


「あいつら人間なのかよ。」


こんな言葉が漏れて出た。

すると、あいつはハハッと笑って答えた。


「一般人からみたらそう見えるらしいな。けどそう言ってるやつも何年かすればあの位は動ける様になったぞ。」


もう人間のそれじゃないね、あいつ等は。

何時までも見てる暇は無いな。


「おい!!少し止めてくれ!!」


すると、二人は直ぐに止めて20メートル程の距離があったにも関わらず一瞬で間を詰めて来た。


「今日は挨拶に来ただけだ。…俺の事はこれからジョーカーと呼ぶように、お前達の紹介は要らないから。これからよろしく頼むよ。」


アレクと言うおっさんの方は分かりましたと素直に答えたがエディの方は何か気に入らない様子で口を尖らせて厭味を呟いた。


「……ふん、こんな俺より弱そうな餓鬼が…何で全く…。」

当然この言葉は全員に聞こえて、アレクのおっさんは良い顔はしてなかった。


少し間違いがあるね。弱そうじゃなくて、弱いだ。強さで競ったら絶対に俺は勝てない自信があるね。


「クックックッ、俺を歓迎してくれない奴もいるみたいだな。別に良いんだけどな、どんな反応してくれても俺一人ではお前を此処から叩き出す権限なんてないし、皆が納得してくれるとも思えん。ましてや説得なんてしてる間に俺が叩き出されても洒落にならんからな。」


「何だと。」

エディが案の定噛み付いて来て今までより一層笑顔になる。


「シシシッ、俺の言いたい事が伝わらなかったか?じゃあお前の頭でも分かるように端的に言い換えてやるよ。……俺はお前が嫌いだ。」


その瞬間に襲いかかろうとしたが、アレクに服をがっしりと持たれているのでそれは出来なかった。


「このままだとお前にも俺にも不満が残るだろ。……そこでだ、どっちが強いかはっきりと決めよう。この戦いにルールを求めちゃいけないよ。それじゃ、お前のタイミングで始めよう。」


直ぐには襲いかからなかったが、アレクの力が微妙に少し、一瞬緩んだ隙を図って腕を弾いて、次に相手の方を見ると彼は笑っていた。このどう考えても自分が不利だという状況で彼はずっと笑っている。


「まあ少しだけ待てよ。名前ぐらい教えてくれ。」


この言葉を聞いて少しエディは拍子抜けしたみたいだったが、名前ぐらいならと思って1メートルぐらい前で立ち止まった。…これが罠だとも知らずに。


「そういえばまだ言ってなかったな。よーく聞いとけ俺はなぁ、グフォッ!!。」


この喋るのに気を取られる瞬間を彼は狙っていた。

誰でも心の奥底で意識しなくても自然に喋る言葉を自分の中で整理してから大抵の場合話す。

その一つの隙を付いて彼はいくら超人といえども鍛えることは出来ていないであろう急所を狙って蹴りを全力で喰らわした。


この行動にはその場にいた一人を除く全員(他にも修行している人がいて、この戦いを見ようと休憩を取って見ていた人もいる)が言葉も出ないほど呆気にとられ、その中の半数以上が自分の物も触りながらエディに同情を寄せた。


エディは何か言いたそうだが、うまく呂律が回らなくなっているのだが、どうやら言いたい事は伝わっているようである。


「ケケケッ、卑怯だって。別に俺はルールを破っちゃいないぜ。攻撃した場所はどうかって、そんなものは知らん。俺は言っただろ。これは戦いだ、って。そりゃあ試合であんなとこを攻撃しようとは思ってもやらんが、これは生憎そうじゃない。喧嘩と一緒だ、勝つ事それが前提でなんのルールもない。いや、一つだけあったけどそれも俺はちゃんと守った。・・・・・こんなことも分らないのかよ、それはお前のタイミングで始まる事だ。だからお前には俺に勝つチャンスが存在していたんだ。それにも関わらずお前は今無様にもそこでのた打ち回っている。

お前は俺の倍以上の身体能力が備わっているにも関わらずにお前はそれをミクロン程も使いこなせてはいない。年下相手になら勝てると思ったか?残念だったな。これで分かったか?自覚したか?お前は俺より弱いんだよ。


でも、今回の戦いでお前はかなりの代償と共にまた少しこの世を知れて成長したことだろう。これからも精進してくれ。じゃあ、俺は次があるから、いくぞ光輝。」


そして、まだまだエディは納得していない様子だったが、そんなことは気持ちの端に掛かっても全く無視して次の目的地に歩いて去って行った。







「………フフフッ、気にいっちゃった。」



この後、彼は一度寒気を感じて身震いしたらしい。






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