俺の名前は【ジョーカー】
俺がアイツと出合った時には既に家を出てから1ヶ月以上が経っていたらしい。
だが、その時間に十分見合うほどの対価は得られた。
資金源を得たのだ。
こいつの誘いに乗ったのは死なない様にするためで、訳のわからん事に力を貸す気なんて毛頭なかったのだが、組織の概要を聞いてその態度を150度程改めた。
組織名は【エピゴノイ】ネーミングセンスの無い名前だな、と言ったらアイツは御免と言ったので多分この名前を付けたのはアイツだろう。
ちなみに意味は〔後継者〕らしく何のだと問うたらポストモダンのと返された。
まず、この組織は結構様々な事業に手を出していて、その結果は全てを平均すると利益が出るといった成功しているのか失敗しているのか分からないような現状だった。
あと、もう一つ組織の人も含めて他に知っている者は世界でも数十人位らしい別の活動もあった。
それは戦争だった。
戦争とは言っても目立たないようにやっていて、仕掛けられた国も他の国に知られるのは得策ではなく、内争として処理をしている。
この組織の戦績は7割位の黒星らしい。
ちなみに組織は国連加盟などしていないが、一つの独立した国となっている。
テロ集団の総称を【クライシス】(危機)と呼んでいて、捻りがないと言ったら今度は顔を伏せてしまった。
経済組織の方は米国や英国や日本まで結構な数の支部が存在しているのだが、クライシスの方は基本は本部にいて用事がある時のみ離れるらしい。
クライシスは大きく分けて戦闘部隊と頭脳部隊があり当然戦闘部隊の方が圧倒的な数がいる、とは言ってもこのクライシスの方は基本的に他国からの引き抜きにより成り立っているのでそこまで大した数が存在している訳ではない。
そして、俺の自称相方は戦闘部隊の原則上から隊長、副隊長、隊長補佐、副隊長補佐此処までは1名ずつ部隊長4名、その下に各部隊9名ずつの空き有りの内の隊長という地位に経っているという信じがたい事を言ってきた。
なんせ、こいつはまだ若干17歳だったからだ。
他の人の年齢も随分若いらしいのだが、こいつの年はその中でも2番目である。
これもこいつが考えたらしいが、何か別名が欲しくて一晩考えた所トランプを思いついて隊長格はジャック、部隊長が順にスペードの10から4つ、その下は強い順に並ぶと言う事を思いつきそれをみんなに提案すると思いのほか呼びやすく、採用され皆からはジャックとも呼ばれているそうだ。
これを決める時ハートになった人はいきなり反対し始めたらしい。
頭脳部隊にもこの呼び方が流行り、キングとクイーンの名前を貰ったこの時ちょうど人数が8名だった。
しかし、男子は5名でこちらの方が不名誉な称号となった。
そして、俺の配属について問うとあいつはかなり突拍子もない事をのたまった。
「ああ、お前はトップだ。これから最近では違う方向に進みだした2つの部隊を纏めてもらう。
これからお前は
【ジョーカー】だ。
……お前には期待してるぜ。」
此処からこの物語は少しづつ始まっていく。